【長崎県西海市の石原岳森林公園を紹介します】

2022年3月に西海市で行われた「さいかい里山の春まつり」を訪れ、旧西海楽園の跡地を散策してきました。その風景は当サイトにも載せています。

その際、せっかくなので周辺に何か面白そうなスポットがないか調べたところ、同じ西海市内にある「石原岳森林公園」というところが気になりました。場所はここ。

ここは明治時代に佐世保港の防衛のために作られた堡塁跡だそうで、石組の要塞が「長崎県のラピュタ」などと呼ばれているそうです。隣の佐世保市に住んでいながら、この公園のことはまったく知りませんでした。

堡塁とは、敵の攻撃を防ぐために石・土砂・コンクリートなどで構築された陣地のこと。戦争が大砲主体だったときに発展し、航空機の登場とともに消えていった小型要塞で、日本では和歌山県の友ヶ島や神奈川県の猿島が有名。

ネット上の写真を見ているうちに行ってみたくなったので、春まつりからの帰りに立ち寄ってみました。


七ツ釜鍾乳洞前から国道202号線を北上し、西海市の最北端付近で横道へ。しばらく走ると公園の入口がありました。

5台分ほどのスペースがある駐車場に車を停め、堡塁の方へ。途中、こういう案内板がありました。ここが完成したのは明治32年だそうです。

この公園はトイレや炊事場が設置されたキャンプ場になっています。テントを張るエリアを過ぎ、少し歩くと要塞が見えてきました。

スロープを下りたところに石組のアーチが見えます。なんだかゾクゾクするような雰囲気。

スロープを下り、アーチの列を眺めてみました。保存状態はかなり良好です。

それぞれの部屋はそんなに奥行きはないので、おそらく保管庫みたいな区画だったと想像します。

もちろん、中に入ることもできます。

保管庫の中に入ってみました。

奥の壁にあった染みが人間の形に見えなくもありません。なんとなく「三角帽子をかぶった魔法使い2人」のようにイメージしたんですが、どうでしょうか。

あるいは パイラ星人 といってもマニアックな人にはわかるかも。

こんな風に保管庫みたいな建物がメインで並んでいるんですが、ひとつだけ違ったものがありました。それが、こちらの暗闇へ続く地下トンネル。

中を覗くと、先は真っ暗です。どこまで続いているのか見えません。

この地下トンネルのことは事前に調べていたので、それに備えて懐中電灯を持参していました。これで先へ進めます。

それにしても、こんな真っ暗なトンネルが立入り禁止になっていないのはすごいと思います。ちょっとした探検気分を味わえるので、開放してくれている西海市に感謝。

トンネルの通路部分の長さは50メートルほど。終点に階段がありました。

ここで入口の方を振り返り、懐中電灯を消してみました。真っ暗な通路を歩いてきたことがわかると思います。繰り返しますが、ここが立入り禁止になっていないのはすごい。

では、この階段を上がってみます。

階段の先は通路が左右に分かれていて、さらに階段がありました。先から光が見えてきています。

階段の先には小さな部屋がありました。カメラの感度を上げているために写真では明るく写っていますが、実際は懐中電灯がないと歩けないくらいの明るさです。

壁に並んでいる穴から光が差し込んできています。

並んでいるのは銃眼でした。ここから敵を監視したり銃撃するのが目的だったんでしょう。

銃眼から外を眺めた風景。明るい野外と、こちらの部屋の暗闇が対照的です。

外は眺められるものの、ここから出ることはできません。閉所恐怖症の人には、意外とつらい場所かも。

しばらく外を眺めた後、入口の方へ戻ることにしました。注意しながら階段を下ります。

長さ50メートルの通路を入口へ戻ります。そして、このとき予想外の心境になりました。

背後は完全な闇。さらに水が滴るような音が聞こえてきます。歩いていると今にも何かが肩を掴んできそうな気がして、妙に怖い。歩くスピードが無意識に速くなってしまいます。

このときの動画を下に載せておきます。この不気味な雰囲気が少しは伝わるでしょうか。

予想もしていなかった怖い雰囲気を味わい、外に出たときはほっとしました。この地下トンネルは肝試しスポットとしても利用できそう。


続いて、公園内に作られている遊歩道を散策してみました。明るい陽光の中を歩いていると、先ほどまで異世界にいたような気持ちになってきます。

途中、こういう石組がありました。

並んでいたのは銃眼。つまり、先ほどはこの石組の向こう側にいたわけです。

ここから銃撃されたら、防ぎようがありません。ただ、先ほどの地下トンネルを壊されたら狙撃手は外に出られなくなってしまいますが。

戦争が大砲で行われていた時代には効果的でも、航空機で上から攻撃されたらひとたまりもないことがよくわかります。


公園の中央は、小高い丘になっていました。この石段を上がって公園中心部へ。

こちらにも、階段の下に保管庫らしい区画がありました。

作りとしては、先ほどの保管庫と同じような感じです。

さらに公園内の遊歩道を散策。

直立する杉林がきれいです。

キャンプ場エリアを見下ろした眺め。明るい昼間はいいとして、夜になったらなんだか怖い雰囲気になりそうな気もします。ここでソロキャンプなんてやってみたら、本当にテントから出られなくなりそう。

ここでは実際に戦闘は起きていないので心霊スポットというわけではないでしょうけど、物好きな人はここでキャンプをやってみてはどうでしょうか。

キャンプまではやらないとしても、要塞のゾクゾクするような雰囲気は他ではなかなか味わえないと思います。わりと辺鄙な(失礼)ところにあるので人も少なく、このときはバイクで旅をしているらしいライダーに出会っただけでした。このページを見て興味を持った人はぜひ。


私が訪れたときは真っ暗だった地下トンネルですが、管理人がいるときは明かりを点けてもらえることもあるようです。YouTube で探したら、こういう動画がありました。

真っ暗なときとは雰囲気が違いますね。背後から何かが襲ってきそうな怖さを感じたくない人は、管理人が駐在していることを願いながら訪問してみて下さい。

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