【星屑旅行社「機巧天球儀」の思い出】

個人的な話になりますが、親の死去に伴って実家の部屋に置いてある荷物を整理し、それと並行して自宅にある本やCD等の断捨離を行いました。おかげで部屋がすっかり広くなり、快適。

断捨離を行ってみると、残しておかないと困るようなものはほとんどないことがわかります。値段の高い文芸書(国書刊行会の幻想文学など)は専門店で買い取ってもらい、売れそうな文庫本やCDはメルカリで販売、残りはブックオフに送付、あとは資源ごみとして処分。アラフィフですが、終活の第一段階にはなったかも。


というわけでCDも大半を手放しましたが、CDに関してはPCに取り込めばいつでも聞けるようになるので、実物を所有しておく必要はありません。場所を取るプラスチックがなくなるので、気分的にもすっきりします。

ただ、CDの中でもいくつか残しているものがあります。そのうちのひとつが、この星屑旅行社「機巧天球儀」(からくりてんきゅうぎ)というCD。

発売は1994年。ほぼ自主制作盤みたいなCDで、作者の方から直接購入しています。ただ、このCDのことをどうやって知ったのかは全く憶えていません。おそらく、何かの文芸誌か雑誌で見かけて連絡を取ったように思います。

収録曲は以下の通りで、いい感じのタイトルが並んでいます。

  1. 暗黒星雲航路
  2. 月閣楼の惨劇
  3. 夜明け前の夢
  4. 邪宗門秘曲
  5. 月の錯視
  6. Mirage -幻影-
  7. 螺旋の記憶
  8. 星空へのSTATION
  9. 標本作成
  10. 遺跡

このCDのことを知った経緯は憶えていないものの、これらの曲名に惹かれて購入したのは間違いないはず。

それぞれの曲はどんな感じかというと、作詞も作曲もアレンジもなかなかいいんですよね。なんとなく ZABADAK や ALI PROJECT を感じさせるといえばわかる人もいるはず。

曲を作られているのは松尾典子さんと舩引浩平さんの2人(星屑旅行社とは、この2人によるユニット)。なので、普通であればお気に入りのCDとして繰り返し聴くことになったはずなんですが…

ここまで好意的に紹介しておいてなんですが、最大の問題はボーカル。歌っているのは松尾典子さんで、正直言って下手というレベルを超えています。音程は外しまくりだし「よくこれでCDを出そうと思ったな」と逆に感心するほど。

ちゃんとボイストレーニングしてからCD化すれば名作になったと思えるだけに、素人がカラオケで歌っているようなレベルなのが残念。

直接購入したときの手紙も一緒に保存していました。舩引浩平さんの名前で検索するとJAXAの研究者の方がヒットしましたが、まさか同じ人なんでしょうか。かなり珍しい苗字ではあるんですが…

「次回作等完成の際にはご案内等差し上げたい」と書かれていますが、案内は来ませんでした。次のCDは出なかったんでしょう。松尾典子さんは、この手紙では坂本典子さんになっています(結婚による改姓?)。

この手紙に書かれている武蔵野市の住所を検索したところ、マンションはまだあるようです。CDのジャケットに書かれている世田谷区の連絡先については、現在は「ジャズピアノ・ヴォーカル教室」になっていました。「もしかして星屑旅行社の方がやっているのか?」と思ったんですが、運営者の方の名前が違いますし、おそらくは別人だと思います。

このCDを処分せず手元に残しているのは、曲自体はいいのとマイナーな制作盤という希少性。おそらく、このCDを持っている人は日本でも珍しいはず。


今回はちょっと個人的なコラムを書いてみました。このお二人、今はどうされているんでしょうね。ボーカルに関してちょっと批判的なことを書いてしまいましたが、何か情報を知っている人がいれば教えて下さい。

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