【岡山にある実に不思議なスポット「鼻ぐり塚」を紹介します】

岡山市にある「鼻ぐり塚」をご存知でしょうか。場所はJR吉備線の吉備津駅近くで、観光地になっている吉備津神社から歩いて行ける距離にあります。

吉備津神社は参拝客が多く訪れる場所ですが、しかし鼻ぐり塚は一般には知られていないらしく、ここへ来る人はほとんどいません。

実に不思議な景色が見られる場所で、私は2005年7月と2016年12月の2回、訪問したことがあります。そのときの風景を紹介します。


吉備津神社からのどかな道を歩いていくと、それは唐突に現れます。

鼻ぐり塚
鼻ぐり塚

ここは「福田海」(ふくでんかい)という仏教系の宗教団体の寺院です。福田海について知りたい人はネットで検索してください。

では、先へ進みましょう。

鼻ぐり塚

鼻ぐり塚は木製の柵の向こうにありますが、「無断立ち入りはお断り」「鼻ぐり塚へお参りの方は受付で護摩木料一人あたり100円を納めてお入りください」と書かれているので、護摩木をひとつ受け取りましょう。

鼻ぐり塚

受付に誰もいないからといって100円を納めないと罰が当たりますよ。

先に進むと、いよいよ鼻ぐり塚が見えてきます。

鼻ぐり塚
鼻ぐり塚

圧巻ですねえ。こんな景色、世界中を探してもここだけだと思います。

うず高く積み上げられているのが何かについては、受付にあったパンフレットから引用します。

かつてわが国の農村では、牛を飼い、田畑の耕作の労役等に使用していました。牛は家族の一員のように大切に育てられました。その際、牛の鼻に穴を穿ち、鼻輪(鼻環、鼻ぐり)をはめ、それに縄を結んで使役していました。やがて牛は飼い主の手を離れて売りに出され、解体されて肉となり皮となりその最後を迎えます。牛はその一生のすべてを人間のために尽くしたといえましょう。

こうした牛の大恩に報いるため、死後残された鼻輪(鼻環、鼻ぐり)を牛の唯一の形見として集めて浄祭することを福田海開祖中山通幽師が発願されたのであります。篤信の方々のお力により全国から鼻輪は収集され、現在もその事業は続いています。

つまり「鼻ぐり」とは牛の鼻輪のこと。鼻ぐり塚とは牛を供養するために全国の屠殺場から「鼻ぐり」が集められた供養所で、その数は600万個を超えているとのこと。

鼻ぐり塚
鼻ぐり塚
鼻ぐり塚
鼻ぐり塚

しかし、これらの牛はみんな人間が食べてしまったんですねえ。この膨大な鼻ぐりを見せられると、改めて人間の食欲を実感します。

普段から焼肉ばかり食べているような人は、一生に一度はここへ来て牛の像にお礼を言いましょう。

鼻ぐり塚

受付で受け取った護摩木に願い事を書いて納めてきました。その後の供養で燃やされたはず。

鼻ぐり塚

なお、ここは「ウルトラマンA」に登場した場所でもあるので、もしかしたら見覚えのある人もいるかもしれません。

私は見ていないのですが、第16話の「夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男」で興味本位から鼻ぐりを持ち帰ったところ超獣カウラに変身してしまうというストーリーだそうです。

最後はウルトラマンAが登場してカウラを圧倒し、鼻ぐりが外れたことでカウラは無事に元の青年(演じているのは蟹江敬三)の姿に戻ってハッピーエンドで終わります。

というわけで、もしこの鼻ぐりを持ち帰ったりしたら人間ではなくなってしまうので気を付けましょう。ルールは守ってください。


岡山のちょっと変わったスポットを紹介しました。このページを見て興味を持った人は、ぜひ訪問してみてください。

2005年の訪問記は、当サイト本館に載せています。このときは吉備津神社と軽部神社も併せて訪れました。

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