2023年4月、旧西海楽園の跡地に立ち入ることができるイベント「さいかい里山の春まつり」へ行ってきました。その帰り、ちょっと興味があった場所に立ち寄ってみたので紹介します。
場所は、佐世保市と西海市の境にある針尾瀬戸に面したこの辺り。西海橋の上から眺めることができる位置にあります。
かつて、ここに「西海橋水族館」という施設がありました。水族館自体は昭和63年に閉館していますが(オープンは昭和33年)、建物の廃墟はまだ残っています。今回は、その廃墟に近づくことができるかどうか、確認のために訪れてみました。
西海橋公園の駐車場に車を停め、まずは西海橋の上を歩いてみました。ちょうどコンクリートブロックを積載したバージが通航中で、今が憩流の時間帯ということがわかります。
針尾瀬戸は最大で8ノットに達するという強烈な潮流が見られる狭水道なので、憩流の時間帯以外は小型船しか通航できません。
タグボートに曳かれたバージは、やがて大村湾に入っていきました。あの半島に建っている宮殿みたいな建物は西海橋コラソンホテルで、宿泊したことはありませんが温泉に入ったことはあります。
コラソンホテルの手前に、目当ての廃墟があります。
あれが、かつての西海橋水族館。入り江をふさぐように桟橋の跡がありますが、水族館が現役の時は桟橋の内側がイルカのプールになっていたそうです。
ここで告白しておくと、私は新西海橋(2006年開通)の建設前に行われた「新西海橋が針尾瀬戸を航行する船舶に与える影響について」という調査に少し関わっています。1990年代後半の話なんですが、このときに実施した通航実態調査(現地に滞在して通航する船舶の名前、種類、大きさ、時間帯などを記録する作業)の際、あの建物の前まで行ったことがあります。
さすがに建物の中に入るのは不法侵入になると思ったので自制しましたが、すぐ近くで眺めることはできました。はたして今はどのような状況になっているのか、興味があります。
コラソンホテル方面へ歩いていくと、木々の間から建物が見える場所がありました。
しかし、ここからは下りることができません。コラソンホテルの前まで歩いていくと、視界が開けて西海橋(手前)と新西海橋(向こう)が重なって見えてきました。
下に赤いゴンドラのようなものが見えます。これは水族館が現役当時に使われていたケーブルカーです。
2023年時点で閉館して35年が経つというのに、レールもそのまま残っているのが不思議。車両自体も大きく朽ちてはいません。
水族館の建物へ続く桟橋も眺められます。
しかしながら、下へ続く階段にはしっかりと「立入禁止」の標識が置かれていました。
もっとも、その前に桟橋がところどころ落ちているのが見えたので、立ち入るのが危険というのはわかっていました。
というわけで、この階段を下りるのはやめましょう。
事前に少し調べたところ別ルートもあるということなので、続いてそちらを調査してみましたが、ここも閉鎖されていました。
西海橋コラソンホテルから、明確に立入りが禁止されています。
バリケードの隙間から覗き込むと獣道が見えます。かつては通れたのでしょう。
別の場所に階段もありましたが、こちらも閉鎖。
有刺鉄線で閉鎖というのが威圧的です。
奥を眺めると、先ほどの獣道とは違ってちゃんとした遊歩道になっていました。しかしながら閉鎖されているので進めません。
しばらく周囲を歩いてみましたが、どこも完全に塞がれていました。
というわけで、今は西海橋水族館の廃墟に近づくことはできません。これで諦めます。
まあ、こうなることはある程度予想していましたし、そもそも不法侵入になりかねない行為でもあります。ネット上では廃墟探訪記がいくつか見つかりますが、許可を取って立ち入るならともかく、今後は無断で近づくのはやめましょう。
調べてみたところ、2019年にフジテレビ系の番組で西海橋水族館が紹介されたようです(私は見ていませんが)。もしかしたら、この番組の影響で廃墟探訪者が増え、対策として明確に立入禁止になったのかもしれません。
というわけで廃墟に近づけるかどうかの確認はここまでにして、続いて対岸から眺められる場所がないか探してみました。西海橋公園に戻り、新西海橋に設置されている遊歩道を歩いて対岸の西海市側へ。
西海橋の向こうに、あの廃墟が見えます。
遊歩道で対岸に渡り、新西海橋を眺めてみました。私はこの橋のデザインにほんの少しだけ関わっているので、愛着のある橋です。
西海橋付近は、針尾瀬戸の両岸が公園になっています。案内図を見て、まずは下の写真に示しているポイントへ行ってみました。
長い階段を下りて海面近くまで来ると、西海橋が迫力あるアングルで眺められます。
水族館方面の眺めがこちら。
ちょっと遠いものの、ところどころ崩落している桟橋の向こうに建物の廃墟が見えました。
続いて、下の写真に示すポイントへ。
ここからは建物は見えません。
崩落している桟橋だけが眺められました。
このポイントからの大村湾の眺め。
これら2つのポイントの中間地点が、ちょうど水族館の建物の対岸になるはず。しかしながら、その場所には遊歩道がないのでベストアングルで眺めることはできませんでした。
ちなみにこの公園にはアスレチック広場や長いローラー滑り台やソリゲレンデなどがあり、家族連れで賑わっています。ゲレンデを勢いよく滑ればコラソンホテルまで飛んでいきそう。
最後に、こういう案内書きがあったので紹介。
おそらく、これがその伊ノ浦台場跡でしょう。
西海橋公園には何度か来たことがありますが、こういう史跡があったとは知りませんでした。
これで、今回の西海橋水族館跡地探訪は終わり。繰り返しますが、今は立入りが禁止されているため、近づきたい場合は必ず許可を取るようにしましょう。捕まっても当サイトは責任を負いません。
こちらも西海橋公園から眺められる針尾無線塔については、以下の記事で紹介しています。
私がなぜ新西海橋のデザインに少しだけ関わっているのかも、上記ページで触れています。
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