TBS系のテレビ局で毎週日曜日の夕方に放送されている番組「世界遺産」。特に旅行好きの人は、よく見ているのではないかと思います。私も、自分が訪れた世界遺産が紹介されるときは見ることが多く、かつて自分が見た風景を再び見るのは懐かしいものです。
その「世界遺産」ですが、2021年12月5日の「トルコ・ネムルト山」の放送回において「これって放送事故じゃないの?」と思うような出来事がありました。それについて紹介します。
番組冒頭で、その回で紹介される世界遺産の場所が地図で示されます。このときは下のような地図でしたが、これを見て何か感じませんか?
すぐにわかった人も多いと思います。キプロス島の北側を占める「北キプロス・トルコ共和国」がトルコの一部として表示されているのです。
北キプロスについては、国家として承認しているのは世界中でトルコだけです。日本政府は北キプロスを国家承認しておらず、その領土については「トルコ軍実効支配地域」と呼称しています。つまり「トルコによる不法占拠地域」という扱いであり、南側のキプロス共和国しか国家承認していません。
もちろん、北キプロスが事実上トルコの傀儡政権であることは世界中の誰もが知っています。とはいえ、トルコも国家として承認しているわけですから、一応は「別の国」というのが建前のはず。つまり、北キプロスをトルコの一部として表示することは、日本政府だけでなくトルコ政府の定義とも異なっているわけです。
TBSがどういう意図で地図を作製したのかはわかりませんが、個人的には「世界情勢を知らないスタッフが現地スタッフの話を鵜呑みにして、うっかりやってしまった」「さらに、テレビ局のチェック体制も機能していないことが露呈した」という放送事故ではないかと考えています。まさか「この番組はトルコの主張に全面的に賛同する」という政治的な表明ではないでしょうから。
このため、いずれ訂正を迫られる事態になるのではないかと危惧しています。せっかく美しい映像の番組を作っているのですから、社内のガバナンスを強化してほしいと願っています。
以上、お節介かもしれませんが、気になったので記事を書いてみました。コメント等がある方はメッセージをください。
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