アイルランド旅行記(6日目)

(1998.7.16) Clifden ~ Galway ~ Dublin

朝8時頃起床。8時半からパブのテーブルで朝食。アイルランド旅行中は毎日このパターン。

今日はクリフデンの町を散策することにしていた。9時ごろ、荷物をパブの隅に置かせてもらって自転車で出発。1時にゴールウェイ行きのバスが出るので、それまで4時間ほどある。

クリフデンの中心部はメインストリートとマーケットストリートの2つの通りだが、どちらも長さは短い。人口は1万人以下ではないかと思う。今の季節は観光客が多いが、おそらく夏以外は静かな町なのだろう。

CENTRAL CLIFDEN
マーケットストリート

町の北側には2つの教会があり、大きな方の教会は中に入ることができた。といっても、かなり厳粛な雰囲気だったので一番後ろにしばらく座っていただけだったが。

小さな方の教会は中に入ることはできず、外を歩き回っただけだった。

CHURCH (CLIFDEN)
町はずれの教会(小さい方)

スカイロードの入口には、大きなケルトの十字架が立っていた。何かの記念碑だろうか。

CELTIC CROSS
ケルトの十字架(右側の道がスカイロードの入口)

ケルトの十字架が立っているところを左へ行ってみると、海辺に出た。そこから町の方を見ると、ほぼクリフデンの全景を見ることができた。

FAR VIEW
クリフデン遠景

それにしても美しい町だ。これまで「行ったことのある町の中で一番住みたいと思ったのはどこか」と聞かれたとき、ニュージーランドのオークランドと言うことにしていたが、これからはクリフデンにする。

所持金が少なくなっていたので、銀行で日本円を両替したが、窓口の女性が紙幣を受け取ってから “Oh, nice paper !” と言っていた。たしかに、これまで行った外国(特にニューカレドニア)では、ほとんどの紙幣がくしゃくしゃになっていて、きれいな紙幣は滅多になかった。日本ではそこまで汚い紙幣は見ない。それだけいい紙を使っているということなのだろうか。

12時半ごろまで町をぐるぐると走り回った後、自転車を返してから荷物を取りにパブに戻った(スーパーマーケットでパンなどを買っていたとき、急に日本語が聞こえてきて驚いた。クリフデンで見かけた日本人はこのときの2人組だけだったが、こんなところにも日本人が来るのかと感心した)。パブでは、ミセスがビスケットと紅茶を出してくれたので、これを昼食にした。それからしばらくミセスと話したが、今日ダブリンまでいってそれから泊まるところを探すと言うと、ミセスはそれは難しいと思っているようだった。(「地球の歩き方」には、ダブリンのツーリストインフォメーションは午後8時まで開いているとあったので大丈夫だろうと思っていたが、後になってこれが間違っていることがわかった)

それから、以前泊まった日本人からもらったという浅草寺の提灯や、壁一面に貼ってある絵葉書を見せてもらったが、それらの絵葉書はすべてこの B&B に泊まった人が送ってきたものだそうだ。日本に帰ったら絵葉書を送ることにして、バスの出発時間が迫ってきたので礼を言ってパブを出た。

マーケットストリートのバス乗り場から、1時にバスで出発。往きと同様、時々現れる小さな町以外は荒涼とした地域をゴールウェイへ走りつづけた。途中、車が多く駐車していてバスが通るのに苦労している町があり、何かイベントでもやっているのだろうかと思っていると、小さな遊園地が見えてきたが、近くまで来て驚いた。これは移動式の遊園地、つまりカーニバルというものではないのか。レイ・ブラッドベリの小説などではよく出てくるが、見るのは初めてだ。アイルランドでは今でもカーニバルが残っているようだ。

さらに、バスが湖に沿って走っているとき、対岸に3軒ほどぽつんぽつんと家が立っていた風景が印象に残っている。一体何をやって生活しているのだろうか。B&B には見えないが。

ゴールウェイには3時過ぎに到着。ダブリン行きの列車の発車時刻は3時15分で、ほとんど時間がない。急いで切符を買って列車に乗り込んだ。座席はすでにいっぱいで座れない。ドアのところに立つことにした。

ところで、なぜ帰りはバスではなく鉄道にしたかというと、バスと鉄道と両方乗ってみたかったからである。私は鉄道ファンでもあるのだ。

最初の駅(駅名は忘れた)で老夫婦が降りたが、降りるときに自分たちの座っていた座席を指差して “Vacancy” と言ってくれたので、そこからダブリン・ヒューストン駅までは座ることができた。アイルランドには親切な人が多い。

ダブリンまでは3時間ほどだったが、ほとんど外の景色を見てすごした。途中、車掌の検札で切符を回収されてしまい、手元に残すことができなかったのが残念。

6時過ぎにダブリン・ヒューストン駅に到着。

DUBLIN STATION
ゴールウェイ~ダブリンのインターシティ(ダブリン・ヒューストン駅)

とりあえず駅の外に出たが、ダブリン中心部の方向がわからない。道に迷っているうちにインフォメーションが閉まってしまうと困るので、タクシーを使うことにした。駅前のタクシー乗り場からベンツのタクシーに乗って6時半頃ツーリストインフォメーションに到着。ところがこれが閉まっている。入口に営業時間が表示されているが、午後5時までになっている。「地球の歩き方」には確かに8時までとあるんだが。騙された。

さてどうしたものか。ツーリストインフォメーションがある辺りはオフィス街のようなところで、泊まるところはありそうにない。おそらく、B&B は郊外にあるのだろう。(アイルランド到着初日にダブリン港からバスで移動した際、ダブリン中心部で何軒か B&B を見たが、何か胡散臭い感じだった。やはり泊まるなら郊外の方が良い)

これから B&B を探すのも大変である。高いからなるべくなら泊まりたくなかったのだが、今日だけはホテルにすることにした。

「地球の歩き方」に載っているホテルから、値段と場所を考えてコノリー駅の近くの North Star Hotel を選び、電話をかけて予約をした。B&B の2倍の値段だが仕方がない。いったん荷物を置きにホテルまで行くことにした。

これまで人の少ない地方都市にいたから余計にそう思うのかもしれないが、それにしてもダブリンは人が多い。大通りは絶え間なく人が歩いているし、歩行者専用の通りなどはいたるところで人だかりができている。ストリートミュージシャンがいるのだろう。

コノリー駅の近くまで来ると、North Star Hotel はすぐに見つかった。部屋は普通のビジネスホテルという感じだったが、B&B と違ってテレビがあり、アイルランドで初めてテレビ番組を見ることができた。

しばらくテレビを見ていたが、まだ明るいので外出することにして、オコンネル通りへ出てリフィ川を渡り、グラフトン通りを通ってセント・スティーブンス・グリーンまで歩いてみた。グラフトン通りにはあちこちにストリートミュージシャンやストリートアーティストがいて、歩いているとなかなか面白い。大きなデパートやショッピングセンターも多く、さすがに首都である。考えてみると、郊外の B&B に泊まっていたらこんな時間まで歩き回ることはできなかっただろうから、今日だけホテルにしたのは正解だったかもしれない。

夜10時ごろまで歩き回ってからホテルに戻り、しばらくテレビを見てから寝た。(旅行2日目の7月12日が日本では参議院選挙の日で、結果を知りたかったのだがテレビではやっていなかった。橋本首相の退陣は、翌日会った日本人に聞くまで知らなかった)