バルト諸国旅行記(4日目)

(1999.7.6) Tallinn ~ Valga ~ Sigulda

6時過ぎに起床し、1階のレストランへ行ったが、まだ朝食の準備はできていなかった。フロントには昨夜とは別の人がいるが、どうも話が伝わっていないようだ。仕方がないので朝食は食べずにチェックアウトし、トラムに乗って駅へ向かった。

タリン駅到着が7時25分頃。なんとか7時半の発車に間に合い、ヴァルガ行きの列車に乗りこんだが、乗客はそんなに多くはなく、座席には余裕がある。まだ何も食べていなかったので、真ん中辺りの車両にあったカフェでパンと紅茶の朝食を取ることにした。食べ終わったころ、車掌(年配の女性2人)がやってきて切符の検札があり、それから先頭の車両に移動して景色を眺めることにした。

何しろ平原の国なので、市街地を出ると車窓からはいつも地平線が見える。下の写真は、とある農村の風景。

エストニアの車窓風景

この列車は各駅停車ではないらしく、そんなに頻繁には停まらない。たまに駅に停車すると、この車両にも数人の乗客が入ってくるが、満員になることはなかった。

ぼんやりと異国の景色を眺めていると、久しぶりに日常から離れたような気になってくる。贅沢な時間の使い方を数時間楽しむことができた。

午後1時40分頃、国境の町ヴァルガに到着。

ヴァルガ駅に到着した急行列車

下の写真は、車内の様子(誰も乗っていないのは、ヴァルガ駅で降りるときに撮ったため)。旧ソ連地域では線路が広軌のため、車両の幅が広い。前の座席との間隔も広く、写真からわかるように車内はかなりゆったりとしている。

急行列車の車内

駅構内に出国審査を行うカウンターがあるが、すでに行列ができていた。自転車を持ち込もうとしている人も何人かいる。ここで帰りの飛行機のリコンファームをしようと思い、公衆電話からタリンのアエロフロートオフィスに電話してみたが、結局通じなかった。ラトビアに入ってから再度行うことにして、行列に並んでいると、20分ほどしてから行列が動き出し、無事に出国手続きを終えることができた。

出国を終えるともう駅構内に戻ることはできず、すぐにプラットホームに出ることになる。目の前にリガ行きの列車が停まっていて、列車に乗りこむときにラトビアの入国審査があり、ようやくラトビアに入国することができた。(パスポートには、ロシアの入国スタンプと出国スタンプ、エストニアの入国スタンプと出国スタンプ、ラトビアの入国スタンプが、同じページに奇麗に並ぶことになった)

列車に乗りこむと、数分後には動き出した。エストニアとラトビアの国境を見ようと思い、外を眺めていたのだが、結局どこが国境だかわからなかった。

最初はリガまで行くつもりだったが、車内にあった鉄道路線図を見てみると、途中にスィグルダがある。この町には行ってみたかったので、ここで下車してこの日はスィグルダに泊まることにした。

途中、車掌(こちらも年配の女性)から切符を買い、ずっと外の風景を眺めながらすごした。午後4時頃、スィグルダ駅に到着。

リガ行き各駅停車(スィグルダ駅)

ここで降りたのは数人だけ。駅前にはほとんど人がおらず、閑散としている。ラトビアでも有名な観光地と思っていただけに、これは意外だった。

まず、最初に駅前の公衆電話からリガのアエロフロートオフィスに電話してみたが、何度やっても話し中。リコンファームの期限は明日の朝7時だが、そんな時間にオフィスは開いていないので、実質はあと数時間。昨年のアイルランド旅行のときもそうだったが、余裕のあるうちにやってしまえばいいものを、こんなぎりぎりにやろうとするからあせることになる。結局、10回目くらいにようやく通じ、”I would like to reconfirm.” と言うと、ちゃんと英語で対応してくれた。最初は搭乗日が間違って伝わってしまい、「7月7日にはそういう名前は登録されていない」と言われたが、7月10日と言うと今度はちゃんとリコンファームできた。しかし、7月7日って明日なんだが。前日でもリコンファームできるのか?

続いて宿泊地の予約。”Riga In Your Pocket” には数件のホテルが紹介されているが、一番駅に近い「ホテル・スィグルダ」に電話してみると、空室があったのでそこに決めた。値段は20ラット(約4,000円)。

さて、リコンファームもホテルの予約も無事に終わったので、とりあえずホテルに荷物を置こうと思い、駅前の通りを歩き出すと、急に辺りが暗くなり、激しい雷雨となった。すぐに近くの郵便局に避難したが、あまりの天候の急変に唖然としてしまった。アエロフロートに電話しているときは晴れていたんだが、今はすさまじいばかりの大雨。山の中ではないのだから、こういうことはかなり珍しいのではないかと思う。

30分ほどすると、雨が小降りになり晴れ間が見えてきたので、ホテルへ向かうことにした。数分でホテル・スィグルダに到着。

ホテル・スィグルダ

チェックインして通されたのが、3階の天窓しかない部屋(上の写真で屋根に天窓が3つ見えるが、向かって右側が私が泊まった部屋)。部屋はなかなか奇麗なのだが。多少圧迫感がある。しかもまた雨が降り出したので、窓が開けられない。しばらく部屋で休憩。

1時間ほどすると雨が上がったので、外出することにしたが、道路は水浸しで、いたる所に大きな水溜りができている。町自体はそう大きくはなく、すぐに一回りできた。何か食べようと思い、とあるカフェに入ったのだが、日本だと1個150円くらいで売っているような菓子パン2個と、コップ1杯のジュース(かなり濃い苺ジュース)で合計60円ほど。食料品はかなり安い国のようだ。

その後、食料品店で食料をいくつかとフィルム、土産にするチョコレートを買ってホテルに戻った。

ホテルに戻ってみると、停電しているらしく電気がつかない。遅い時間まで明るいのだからそれはまあいいのだが、そのうちに水も出なくなった。これは困るのでフロントに言いに行ったところ、先ほどの雷雨の影響でこの付近一帯が停電し、水が出なくなっているという。そういうことなら仕方ないので、諦めて部屋に戻った。

しばらくすると再び雨が降り出したが、よく見ると天窓から雨が室内に漏れている。しばらくそれを止めようとしてみたが、どうやっても無駄だったので諦め、それからはベッドでガイドブックを読みながらすごした。明日はこの近くにあるガウヤ国立公園を散策する予定だったが、天候がこのままなら難しくなる。結局、断水が続いていてシャワーを浴びることができないので、天候の回復と電気の復旧を期待して寝ることにした。