国内旅行編(沖縄 / 南大東島)

2000年2月の3連休は、最初は網走に流氷を見に行こうと思っていた。しかし北海道方面へ向かう飛行機があっという間に満席になってしまい、航空券を入手することができなかった。そのため網走行きは延期することにして、今回は方角を変えて沖縄方面へ行くことにした。

これまで沖縄本島には2回行ったことがあるが、離島にはまだ行ったことはない。離島で興味があるのは西表島、与那国島、波照間島、南北の大東諸島などで、今回は南大東島へ行くことにした。

航空料金は福岡~沖縄が片道19,750円、沖縄~南大東が往復39,840円で、合計で約8万円。季節によったらヨーロッパまで往復できる値段。


福岡から9時20分発のJAS891便(MD81型機)で那覇へ。機体は日本エアシステム仕様だが、乗務員はハーレクインエア(JASの子会社)だった。ハーレクインエアは普段はチャーター便専用だが、定期便にもときどき使用されていて、運がよければ乗ることができる。

沖縄空港での待ち時間は約3時間あったが、雨が降っていたので市街地には出ず、離着陸する飛行機を眺めたりしてすごした。

雨がやや小降りになった頃、北大東経由南大東行きの琉球エアコミューターDHC-8型機(通称DASH-8、39人乗りでシートは2列+2列)に搭乗。なんと1番と2番のシートが列車によくあるような向かい合わせのボックスシートになっていた。飛行機で後ろ向きのシートを見たのは、これが初めて。

大東諸島が絶海の孤島ということもあり、飛行中はまったく陸地は見えない。約1時間で北大東空港へ到着したのだが、この着陸が面白かった。次第に高度が下がっていくのに、窓からは水平線が見えるだけで陸地が現れない。海面まで数十メートルになったと思われるところでようやく海岸が見え、すぐに滑走路に着陸した。私の席(左側の窓際)が滑走路の海側を向いていたため、ぎりぎりまで陸地が見えなかったようなのだが、なんだかスリルを感じた。

北大東空港では、南大東へ行く乗客もいったん飛行機を降りて待合室へ。約30分後に再び搭乗して、離陸後約5分で南大東空港に到着した。この北大東~南大東は「日本一短い航空路線」として知られている。距離はわずか13キロ。

到着後、ホテル「吉里会館」の車で宿泊先へ。この島にはバスもタクシーもないので、空港からホテルまでは送迎の車に頼ることになる。今回泊まった「吉里会館」は南大東島で唯一のホテルで、設備はなかなかいい(ここの主人が唐沢俊一似)。島内の宿泊施設は、このホテルの他に民宿が2軒ほど。島に着くまで知らなかったのだが、今年が南大東島開拓100年目だそうで、つまり100年前まで無人島だったことになる。

吉里会館がある辺りが島の中心部で、地名は「在所」という。中心部といっても小さな集落なのだが、驚いたのはスナックの多さ。土木工事などで長期滞在している人も多いようだから、そういう人達を相手にしているのかもしれない。他にビリヤード場などもあった。

滞在中の移動手段は主にレンタサイクル。鍾乳洞めぐりが好きなので観光洞の「星野洞」には行くことにしていたが、その他は特に目的を決めずにぶらぶらと散策した。2月だというのに気温は20℃ほどで、自転車で走っていると暑いくらい。訪れた場所を順不同で以下に紹介する。

展望台からの眺め

島の南東にある「日の丸山展望台」からの眺め。大東諸島は火山島ではなく環礁が隆起してできた島なので、島の縁が高く真ん中が凹んだ形状になっている。このため島の中にいると海が見えず、写真のように平原に立っているような気分になる。

無人島時代には島全体が原生林で覆われていたそうだが、現在は大半がサトウキビ畑になっている。スティーブン・キングの「トウモロコシ畑の子供たち」を思わせる風景。

海岸

港を除けば海岸は島の回り全部がこのような感じで、100年以前になかなか上陸できなかったのも理解できる。

この日は天候がそんなに良くなかったので、海は少し荒れていた。といっても、晴れた日でも波は高いらしい。

北大東島を望む

島の北側の海岸からは北大東島を望むことができたが、そんなに遠くには見えないのに島の間の水深は1,000メートル以上ある。

大東諸島(北大東島、南大東島と無人島の沖ノ大東島)は海底から指を立てたように突っ立っている島で、台風のときに風と波の影響で地震を記録したこともあるそうだ。

島の中央部

星野洞の近くの村道。道をはさんで片方にはサトウキビが高く伸び、反対側はまだ芽を出したばかり。

これも南国らしい景色といえる。

星野洞

大東諸島は石灰岩地帯なので、島内には鍾乳洞が数多くある。その中で唯一の観光洞が、この星野洞。

一般に鍾乳洞の中はひんやりしているものなので、涼もうと思って急いで中に入ったのだが、思いきり当てが外れた。今までの常識とは異なり、洞内はむっとするほど暑い。沖縄本島の玉泉洞の中はひんやりしていたような記憶があるので、この暑さはこの島の鍾乳洞特有のものかもしれない。

洞内の景色はすばらしい。鍾乳石はまるでロウ細工のように真っ白で、さすがに「日本一美しい鍾乳洞」といわれるだけのことはある。

写真は夜景モード(シャッタースピード2秒)で撮ったものなので、多少手ぶれがある。(この旅行当時はフィルムカメラを使っていた)

海軍棒プール

島の東側にある、岩場を掘り下げて作った人工のプール。この島には砂浜がないので、泳げるのはこのようなプールだけ。付近で釣りをしている人はいたが、気温20℃といってもさすがに2月に泳いでいる人はいなかった。

海軍棒というのは海軍が測量用に建てた標柱のことで、それがこの辺りの地名になっている。左の写真の端に写っているのがそれ。

塩屋プール

海軍棒プールと同じく、岩場を掘り下げて作った人工のプールで島の西側にある。こういうプールが東西2ヶ所にあるのは、どちらから風が吹いても泳げるようにするため。

プールへ降りていく道はヌルヌルでよくすべるので細心の注意が必要。私も、かなり注意していたが1回すべった。

北港

島の北側にある北港。島にはいくつか港があり、どこにも釣り人がいたのだが、ここは波が高いからか誰もいなかった。

それにしても、この岸壁に船を近づけるのは大変だろうなあ。有名な「貨客船の乗客をゴンドラに乗せてクレーンで下ろすシーン」をいつか見てみたい。

飛行機から見た北大東島

大東諸島への飛行機は日によって飛行ルートが変わる(那覇~北大東~南大東~那覇または那覇~南大東~北大東~那覇)。帰りの飛行機は、来たときと同じく北大東経由だった。

北大東空港を離陸すると、飛行機はほぼUターンし南大東島の上空を飛んでから沖縄本島へ向かう。南大東島は飛行機の真下だったため一部しか見えなかったが、北大東島は全景を見ることができた。

南大東島よりやや小さく、人口も少ない。今回は滞在できなかったが、燐鉱石採掘所の跡という廃墟マニアにはたまらないスポットがあるそうなので、いつか訪ねてみたい。


那覇空港には無事に着いたのだが、ここでアクシデントが発生。帰りの飛行機(JAL便)が2時間ほど遅れていて、これでは福岡から佐世保への最終列車に間に合わない。なんでも、関西空港からの便が折り返し福岡へ向かう予定だったのが、関西空港で故障が見つかり修理していたそうだ。JALのカウンターで交渉して、福岡空港からはタクシーで帰ることになった。

JALにもらった食事券(1,000円分)で食事をした後、待合室でひたすら待つ。ようやく関西からの便が到着し、結局2時間半ほど遅れて那覇空港を出発した。

福岡空港の滑走路が使えるのは午後11時までだそうだが、ぎりぎりの午後10時50分ごろ福岡空港に到着。カウンターでタクシー利用券をもらい、深夜1時ごろ家に到着した。(タクシー料金は3万9千円ほどでした)

(2000.2.11~13)