タイ旅行記(死体博物館)SIRIRAJ MUSEUM

「死体博物館」というと見世物的な雰囲気の場所を想像する人が多いと思われるが、シリラート病院の付属施設であるため、実際にはアカデミックな場所。広い病院内に以下の6つの展示室が点在している。

 ・ Forensic Medicine Museum 「法医学博物館」
 ・ Pathological Museum 「病理学博物館」
 ・ Parasitology Museum 「寄生虫博物館」
 ・ Anatomical Museum 「解剖学博物館」
 ・ Prehistoric Museum & Laboratory 「先史博物館」
 ・ Museum of History of Thai Medicine 「タイの医学の歴史博物館」

ただし、5番目の先史博物館だけは閉まっていたので入ることはできなかった。

Forensic Medicine Museum 「法医学博物館」

わりと広い展示室で、展示棚の間隔もゆったりとしている。見学者は意外と多い。

パンフレットによれば、ここに展示されているのは殺人、自殺、事故死などによる死体(の一部)と、犯罪者の死体だそう。犯罪者の死体は数体あり、処刑後に樹脂漬けにされて電話ボックスのようなガラスケースに入っている。どれも黒光りしていて、少し不気味。

下の写真の左上に写っているのは人間の頭を半分に切ったもの。切れ味の鋭さがいい。

Pathological Museum 「病理学博物館」

こじんまりとした展示室で、窓が広く明るい。フラッシュなしでも下のような明るい写真が撮れる。

先ほどの法医学博物館が主に「犯罪」に関する死体を展示しているのに対し、こちらは「病気」に関するもの。下の写真は特に印象に残った標本。

なぜか、何も入っていない空の展示スペースがいくつもあった。これから増える展示品に対応しているのかもしれない。

Parasitology Museum 「寄生虫博物館」

寄生虫の博物館。日本の目黒寄生虫館で買ったパンフレットには「ようこそ、世界でただひとつの寄生虫の博物館へ」と書いてあったが、実際にはここにも寄生虫の博物館はある。さまざまな寄生虫の拡大模型が展示してあるが、内容に関しては、やはり目黒寄生虫館のほうが上。ただ、展示室内がなんとなく薄暗いので、なんだか怪しげな雰囲気がある。

Anatomical Museum 「解剖学博物館」

ここが死体博物館のメインといっていいだろう。標本数は、この博物館群の中ではもっとも多い。

ここは法医学博物館や病理学博物館とは別の病棟にあるのだが、この病棟が木造でかなり古く、なかなか立派なのである。さらに建物の中はホルマリンの匂いが立ち込めていて、雰囲気は博物館にふさわしい。解剖学博物館はこの病棟の3階にあり、階段をミシミシいわせながら上っていく必要がある。

展示室に着くと、制服を着た中学生ぐらいの少年少女が十数人見学していた。その後も入れ代わり立ち代わり制服姿の一団が現れたので、どうやらグループに分かれてあちこちを見学している様子だった。学校の社会見学なのかもしれないが、そこでこういう場所を訪れるとは、さすがタイ。

展示品はたくさんの陳列棚に所狭しと並べられているが、少しほこりがたまっていたりホルマリン液が濁っているものも見られ、小学校の理科室の雰囲気に通じるものがある。もっとも、これだけ展示品が並んでいたら、きちんと手入れするのは大変だと思われる。

展示品のうち、小さなものでは成長過程ごとに並べられた胎児の標本が多数あったが、日本の遮光器土偶を思わせるものがいくつも見られた。もちろんタイなのでシャム双子の標本も多数並べられているが、これを見ると江戸川乱歩の「孤島の鬼」を思い出す。また、K.N. 氏の小説により名前だけは知っていた「無頭児」の標本も初めて見ることができた。(未読の人のために一応イニシャルにしました)

一方、大きなものでは下の写真のような人体標本の他、神経だけや血管だけを取り出した標本がガラスケースに収められていた。骨格標本も数体あったが、ケースの上に顔写真が掲げられていたので、どうやら献体による標本のようだった。

下の写真は、窓際に陳列してあった(おそらく)水頭症の子供。頭が一部カットされているが、中は空っぽで何も入っていなかった。

あと、印象に残っているものとして中年男性の上半身のホルマリン漬け標本がある。なんだか無理して目を閉じているような表情だったので、今にも目を開けそうな気がして不気味だった。

私が博物館内にいたとき、制服姿の中学生のグループを除くと見学者のほとんどは日本人だった。やはり日本人は潜在的にこういうものが好きなのだろう。

Museum of History of Thai Medicine 「タイの医学の歴史博物館」

ここには、タイの伝統的な医学療法がマネキン人形を使って展示されている。出産や病気治療風景、伝統的な医薬品が展示されていたようなのだが、解剖学博物館の印象が強烈だったので、実はここの内容はよく覚えていない。


というわけで死体博物館を一通り見学してきたのだが、やはり一番記憶に残っているのは「解剖学博物館」になる。展示品もさることながら、展示室の雰囲気がいい(何しろホルマリンの匂いが立ち込めているのだから)。

バンコク市街からシリラート病院へは、王宮裏の船着場から渡し舟で行くことができる。タイへ行く機会があればぜひ訪れてみてほしい、お勧めスポットといえる。


<2000年 / タイ旅行記のインデックスページ>

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