トルコ旅行記(イスタンブール / トプカプ宮殿)

イスタンブール滞在2日目。この日の目的地はトプカプ宮殿のみ。夕方、フェリーでアジアサイドのハイダルパシャ駅へ行き、パムッカレエクスプレスに乗ることにしていた。

トプカプ宮殿はボスポラス海峡を見渡す丘の上にある。オスマン帝国のスルタン皇帝の居城で、ガイドブックによれば1465~1478年に建造され、約370年の間、帝国の中心だった場所だそうである。総面積は約70万平方キロ。

おそらく見て回るのに1日かかるだろうと思い、トプカプ宮殿に夕方までいることにしたのだが、これは正解だった。

トプカプ宮殿

朝9時半ごろ、ユスフパシャ駅からトラムに乗り、ギュルハネ駅で下車。坂道をしばらく上っていくとトプカプ宮殿の正門(表敬の門と言うらしい)の前に着く。まだ早い時間ということもあり、チケット売り場はそれほど混んではいなかった。ここでチケットを購入し、宮殿内へ。宮殿内への入場料は1500万リラだが、その他に宝物館の料金が1500万リラ、ハレムの入場料が1500万リラ必要になる。

下の写真は表敬の門の中にある第2内庭。

まずはハレムへ。ここは、約30分おきに50人ほどのグループに分かれて行われるガイドツアーに参加しないと内部を見ることはできない。混んでくるとかなり待たされるらしいので、最初に見ることにしていた。

約20分待った後、扉が開き、ハレムの内部へ。英語を話すガイドからハレムの概要について説明があり、それからガイドについてハレム内を見学。

ここは、かつて常時500~1000人の女性が生活し、出入りできたのはスルタン皇帝の他は宦官だけという男子禁制の場所だったところ。予想よりも広くはなく、意外とこじんまりとしていたが、内装はなかなか豪華なものだった。

下の写真はハレム内でも一番豪華なスルタン皇帝の大広間。緊急時に避難できるように、鏡が隠し扉になっている。

おそらく、スルタン皇帝か、またはその母親か、もしくは正妻の寝室。ハレムにいる女性の中で、最も権力を持っていたのはスルタンの母親だったという。

ハレム内のトイレ。ガイドの説明がよく聞き取れなかったので、皇帝が使用していたものかどうかはわからない。トイレの他、広い浴室もあった。

出口付近では足場を組んで若い女性が壁の修復を行っていた。右側で見上げている黒い服の女性がガイド。

約20分で見学を終え、外に出た。それにしても、それほど広いわけではないスペースに常時500人以上の女性が生活していたというのが驚き。しかしまあ「こんな豪華なものばかり作るから国が滅びるんだよ」という気もしなくはない。

宮殿の奥にある第4内庭には東屋風の建物や花壇が点在していて、ここからはボスポラス海峡や反対の陸側が一望できる。

ボスポラス海峡が見渡せる場所にはセルフサービスのカフェがあり、ここでボスポラス海峡を眺めながら昼食。ほとんど外国人専用ということもあって値段はかなり高いが、景色がいいから許せる。ヨーグルトを水で薄めた「アイラン」という飲み物を初めて飲んでみたが、油の多い料理にはぴったりだった。

海峡と宮殿の間には国鉄の線路があり、ときどき列車が通る。客車列車ではなくディーゼル列車だというのに、なぜがドアがどれも全開になっているのが不思議。人が落ちたりしないのだろうか。

昼食後、宝物庫へ。宝物館では、かの有名な「トプカプの短剣」を見ることができる。柄の部分に3つの大きなエメラルドが埋め込まれているというものだが、他にも1000個以上の宝石と真珠が埋め込まれた玉座や、86カラット!というダイヤモンドなど、数え切れないくらいの財宝が展示されている。見ているうちに溜め息をつきたくなるくらいで、これでは普通の指輪など買う気が失せてしまう。宝物館内は写真撮影禁止なので、これらの宝物の写真はない。

この宮殿にこれだけの財宝がそのまま残されているのは、オスマン帝国時代以来、イスタンブールが一度も他国の侵略を受けたことがないからだそうで、どのくらいの点数があるのか未だにわからないそう。たしかオーパーツとして有名な「ピリ・レイスの地図」も、ここで発見されたものだったはず(南極大陸が描かれているという説は、どうやら怪しいらしいが)。

宝物館の他にも、歴代スルタン皇帝の肖像画が展示された肖像画展示室や、銀製品や陶磁器の展示室などがいくつも並んでいる。陶磁器展示室には日本の有田焼なども展示されていた。

その後、ボスポラス海峡を眺めたり内庭を散策したりしながら夕方まで過ごし、宮殿を後にした。じっくり見ていると丸1日かかるので、イスタンブールを訪れる際にはトプカプ宮殿のために1日空けておくべきだろう。


午後4時前、トプカプ宮殿を出てガラタ橋の近くにあるフェリー乗り場へ。ここでハレム行きのフェリーに乗って対岸のアジアサイドへ向かう。通勤、通学客が大勢乗っていて船内は満員。料金は、たしか55万リラだったと思う。トプカプ宮殿を海上から眺めながら4時40分ごろハレムに到着。

ハレム港からハイダルパシャ駅まで、地図上では 2km ほど。駅方面へ歩き出したのだが、なぜか道に迷ってしまった。時間がないので、そこからタクシーでハイダルパシャ駅へ。列車が出る15分前の5時20分に到着。

駅構内で夜食としてケバブサンドとミネラルウォーターを買い、列車内へ。5時35分、ハイダルパシャ駅を出発し、次の目的地のデニズリへ向かった。