国内旅行編(壱岐 / 塞神社)

この年の3月に「地底王国ムーバレー」へ行ったとき使用した青春18きっぷが2日分残っていたので、これを使って近場へ出かけることにした。

目的地は以前から見てみたいと思っていた「塞神社」で、所在地は長崎県壱岐の郷ノ浦町。


前日の夜に普通列車を乗り継いで福岡へ移動しておき、博多駅近くのホテルに宿泊。翌日朝にバスで博多埠頭へ行き、ジェットフォイルで郷ノ浦へ。速力45ノットという高速船で、乗り心地はなかなか快適だった。博多港から約1時間半、11時半ごろ郷ノ浦港に到着。

フェリーターミナルから歩いて郷ノ浦町の中心部へ。小さな商店街があるのだが、驚いたのは何ヶ所かある駐車場の値段。「30分40円」という、都会では考えられない破格の値段になっている。これなら12時間停めても1,000円以下。

中心部を歩いていると、塞神社は町の真ん中にある「ふれ愛通り」の奥に見つかった。

下の写真は正面から見た塞神社。予想よりもかなり小さく、こじんまりとした神社だった。

ここがどういう神社かは、この写真を見ればわかると思う。つまり、当サイトで好んで取り上げている「男根を御神体にした神社」になる。

神社の前にあった「塞神社由来」という案内板には、以下のように書かれていた。

神代の昔、天岩戸の裸踊りで知られる女神天宇受売命は、後に異形の男神猿田毘古神と結ばれ、猿女君として以来一対の神となった。元来猿田彦が庚神様となり、防塞の神(疫神の防障、道路主護)として信仰されたが、この地の神はいつ頃より祀られたか定かではない。

ここに祀られているのは猿女君だそうだが、女神ということで良縁安産、夫婦和合、性の病などに御利益があるとされている。

また、案内板の最後のほうに「本来道の神であるため交通安全を祈る人も多く、明治初期までは壱岐の島に上陸した男達は男根を女神に見せないと怪我をするといってこの塞神に一物の御照覧を願った」という記述があった。なかなか影響力の大きい神社だったようだ。

神社の前には、実に立派な御神体がある。私がこれまでに見た御神体の中でも屈指の大きさといえる。ただ、一見写実的だが実物にはこんな段々はないと思う。

神社内にも、いろいろなものがある。この中では、やはり金色の大きな張子の男根が目立っていた。紙を貼りあわせてこれを作っているところを見てみたい。

また、壁に沿ってたくさんの春画が並べられている。

神社内にはこういうものもあった。これと同じようなものを愛知県小牧市の間々観音でも見たことがある。奉納品なのかもしれないが、ここは男根を御神体にした神社であって「おっぱいの神社」ではないと思うが。

社の前にはこういうものがあった。「ちょっとのぞいて見てごらん」と書かれていて、下から覗くとご覧の通り。まあ、なかなかよくできている。

なかなか面白い神社だった。このような神社としては、愛知県小牧市の田縣神社、和歌山県白浜の歓喜神社、神奈川県川崎市の金山神社などが有名だが、この塞神社のようにひっそりと存在している神社も日本全国に多数あるはず。これからもライフワークとして訪れていきたい。

郷ノ浦の滞在時間は1時間弱だったが、日曜日の昼頃だというのに閑散とした感じだった。


郷ノ浦から壱岐バスで印通寺港へ。ここからフェリーに乗って佐賀県の呼子へ向かう。畳敷きのザコ寝席も、場所さえ確保できればなかなか快適なもの。約2時間半で呼子港に到着。

ここからバスで唐津へ向かうのだが、バスセンターはフェリーターミナルから2キロほど離れたところにあり、港沿いにしばらく歩く必要があった。港内には漁船が多数停泊していて、道路には海産物の露店がたくさん出ている。イカをずらりと並べて干している風景を初めて見た。下の写真に写っている船は本物の帆船ではなく帆船を真似た遊覧船。

その後、バスセンターからバスで唐津駅へ行き、唐津線で佐賀へ。佐賀で佐世保行きに乗り換え、夕方佐世保に帰着した。


塞神社とは関係ないが、ちょっとおもしろい話題をひとつ。

壱岐旅行から帰って数日後、近所のパン屋でおもしろい形のパンを見つけたので、ひとつ買って写真を撮った。

形については説明するまでもないが、それにしてもこのパンがトレイにずらりと並んでいるのを見たときには絶句した。これは絶対に愉快犯だと思う。

(2003.4.6)