国内旅行編(長崎 / 西海楽園)

(注)2007年9月で、西海楽園は閉園になりました。

2003年のGWは曜日の配置が悪く、最大で3連休しかないので旅行に行くのは諦め、代わりに「西海楽園」へ行ってみることにした。所在地は長崎県西彼杵郡西海町で、自宅から車で1時間弱のところにある。

今まで興味はあったものの、「いつでも行ける」という距離のため、かえって行く機会がなかった。ここは仏教系のテーマパークなのだが、鹿児島のムー大陸博物館のように宗教団体が母体になっているわけではない。噂では、近くの観光ホテルのオーナーが「天の啓示」を受けて設立したものだという。この機会に行ってみることにした。


昼過ぎに自宅を出て、西彼杵郡方面へ。長崎県内では観光地として知られている「西海橋」を過ぎ、やがて「七ツ釜鍾乳洞」に到着した。ここは長崎県で唯一の観光鍾乳洞で、ちゃんとした観光地。

七ツ釜鍾乳洞の前に七ツ釜観光ホテルがある。西海楽園はこの七ツ釜観光ホテルが経営しているもので、ホテルの近くに「西海楽園・いのりの里」と書かれた入口があるのだが、ここから入るわけではなくまずは送迎バスに乗って楽園の中枢にある観音像へ向かうことになる。入場料は800円。

バスといってもトラックを改造したもので、下の写真のように南国調にデザインされている。10人ほどが乗り込み、楽園へ出発。

運転手がマイクで説明しながら、ほとんど人が歩いていない閑散とした園内をひとまわり。「1万人コンサート広場」というものがあったが、1万人規模で使用することなどあるのだろうか。

ここの売りは、季節によって花の種類が変わる「四季の花園」と「日本一の石灰藻化石群」。石灰藻化石については、ホームページには「3億年~2億5,000万年前に赤道直下にできた珊瑚礁が大陸移動でここに到着し、その地層が虚空蔵山の数回の噴火(3,500万年~3,000万年間)により隆起し地表に出現したものです(この地層を三郡山変成岩という)。この三郡山変成岩層は、現在地より北東の方(平尾台~秋吉台)へと続いています。石灰藻がこれだけ集中して見られるのは世界的にも珍しいことです」と書かれていた。

四季の花園については、訪れた時期がツツジの季節からアジサイの季節への変わり目だったこともあり、ちょっとさびしい感じだった。しかしながら、写真を見た感じでは梅雨のアジサイの季節や秋のコスモスの季節にはかなり綺麗な景色を楽しむことができそうだった。

途中、休憩所のようなところでお茶のサービスがあり、再びバスに乗って観音像へ。

観音像の前でバスを降り、あとは自由に散策。この観音像は高さが40メートルあり、台風で一度首が取れたときは地元でニュースになっていたらしい。残念ながら内部に入ることはできない。

下の写真は観音像付近からの眺め。観音像の近くには、釈迦三尊堂、十二支・七福神が円形に並んでいる広場、仁王門などのエリアがある。

そのエリアの反対側には、モノレールの線路の先にレジャーランドとウォータースライダーが見える。夏にはプール利用客で賑わうのかもしれない。

まずは釈迦三尊堂へ。堂内に入ると、金色の五百羅漢がずらりと並んでいて壮観。その前に十数体の仏像が並んでいるが、その中に笑顔を見せているものがあった。ここでは、ロウソクと線香が無料で置いてあったので、ロウソクに火を灯して線香をあげてきた。

釈迦三尊堂の前にはいくつかの観音像が並んでいて、その中に慈母観音像があった。慈母観音といえば普通は子供を抱いた姿を想像するが、これは自分の胸をつかんで子供の口に含ませようとしているもの。こんな生々しい慈母観音像は初めて見た。

仁王門をくぐり、小さな「楽園鍾乳洞」を見た後、八十八ヶ所遊歩道を通ってレジャーランドへ。レジャーランドの横には以前は小さな動物園があったらしいのだが、閉鎖されたらしく私が訪れたときには動物はまったくいなかった。

下の写真がレジャーランドの遠景。不釣合いなくらいに立派なメリーゴーラウンドと、小さな公園に置いてありそうなブランコとシーソーという組み合わせがすばらしい。空間の使い方が実に贅沢。

客はひとりもいないが、それだけでなくチケット売り場にも誰もいなかった。

レジャーランド内には、下の写真のようなアトラクションもあった。かなりさびが浮いているライドは、今でも動くのかどうかわからない。

この戦車は自分で乗って操縦するというもので、これはなかなか面白そう。今はパンクしてるけど。

これが場内のモノレール。料金は1回100円で、乗ってみたい気もしたが、今でも動いているものかどうかわからなかったのでやめておいた。

最後に石灰藻の化石が並んでいるエリアへ。前年のトルコ旅行で訪れることのできなかったカッパドキアの景色を想像しながら、しばらく散策。もちろんカッパドキアはここよりすごいでしょうけど。

以上で一通り見終わったので、歩いて出口へ。人でごった返すような所より、こういう閑散としたスポットのほうが好きなので、個人的にはかなり楽しめた。

こういう場所を楽しめるかどうかは人それぞれなので万人にお勧めはしないが、興味を持った人は訪れてみてほしい。ただし、公共交通機関では実に行きにくい場所にあるので、レンタカーを利用したほうがいい。

その後、近くにある「七ツ釜鍾乳洞」に入ってから、佐世保方面へ帰ることにした。この鍾乳洞は鍾乳石などの景観はそれほどたいしたことはないのだが、洞内の気温が常時14℃なので、涼むにはちょうどいい。


西海楽園からの帰り、西海橋で少し休憩。「針尾瀬戸」という狭い水道に架かっている橋で、この針尾瀬戸は最大8ノットに達する強烈な潮流が見られることで有名。春の大潮の時期には「観潮会」というイベントも行われる。

西海橋が見渡せる場所に土産物店が並んでいるエリアがあり、ここに「マリンキャッチャー」というちょっと面白いものがあった。UFOキャッチャーのような仕組みでクレーンを操作して景品を吊り上げるというものだが、ガラスケースの中には水が溜まっていて伊勢エビが蠢いている。つまり伊勢エビが景品のUFOキャッチャーになる。

1回200円だから1回で取れればかなり得をしたということになるのだが、他の客が操作しているのを見ていたところクレーンがエビをはさむ力が弱く、とてもつかみあげられるものではなかった。ちょっとボッタクリか。

(2003.4.29)


※閉園前の2007年9月に西海楽園再訪を果たした。再訪記はこちら。