国内旅行編(北海道 / 釧路湿原)

午前9時、札幌から特急スーパーおおぞら3号で釧路へ。列車が石勝線に入ると、周囲は北海道らしい広大な景色となった。

もともと、石勝線は札幌から釧路方面への短絡線として作られた路線なので、ほとんど人が住んでいないような地域を通っている。そのため駅間距離が異常に長く、トマム~新得間は33.8キロにも達する。かつてはこの区間が駅間距離日本最長区間だったが、この旅行当時は石北本線の上川~上白滝間の34.0キロに抜かれていた。

その後、2004年3月に石勝線の楓駅が廃止になったことで新夕張~占冠間34.3キロに抜かれ、さらに2016年に上白滝駅が廃止されたことで上川駅~白滝駅間37.3キロが駅間距離最長区間になっている(2021年時点)。

なお、参考までに駅間距離日本最短区間はどこかというと、これが私が住んでいる長崎県佐世保市の佐世保中央~中佐世保間(約200メートル)になる。しかしながら、こういう日本一があることをほとんどの佐世保市民は知らないようなので、ちょっと残念。


午後1時ごろ、釧路駅に到着した。この日の午後は、釧網本線の列車で釧路湿原方面へ行くことにしていた。駅で列車の時刻を調べ、まず普通列車で塘路駅へ行って付近を散策した後「ノロッコ号」という列車で釧路へ戻ることにした。

1時50分、1両編成の普通列車で出発。釧路市街を離ると、やがて左側に湿原風景が広がるようになった。環境保護のためか、道路は湿原から少し離れたところを通っているようなので列車のほうが湿原を近くで見ることができる。

ログハウス風の塘路駅で降り、歩いてサルボ展望台へ。駐車場まで30分ほど歩き、そこからさらに遊歩道を400mほど上ったところに展望台がある。遊歩道はアップダウンが多く、結構疲れた。ここからは目の前に塘路湖を眺めることができる。

持っているガイドブックにはサルボ展望台としか記載されていなかったが、ここにはサルボ展望台の近くにサルルン展望台という場所もあった。サルボ展望台からさらに15分ほど山道を歩き、ようやく展望台に到着。ここからはいくつかの湖沼群を見ることができる。下の写真の手前がサルルン沼で、奥が塘路湖。天気がいいので気持ちがいい。

この翌日に訪れた細岡展望台やコッタロ展望台と比べて、ほとんど人がいないので、かなりゆっくりと眺めることができた。塘路湖とサルルン沼の間は道路と線路が通っていて、SLの撮影スポットになっているということだった。

塘路駅へ戻り、一度乗ってみたいと思っていた「釧路湿原ノロッコ号」という列車で釧路へ。「日本一遅い列車」ということになっていて、景色のいい場所ではスピードを落としたり、ときどき停車するサービスがある。

下の写真は列車内から見た釧路川。

列車が釧路湿原を離れたころ、列車内に「ノロッコ号の応援歌」というのが流れた。大して期待せずに聴いたのだが、これが意外といい曲でびっくり。後にインターネットで調べてみたところ 福沢恵介 さんという北海道在住のシンガーソングライターが作った曲ということだった。


釧路駅近くのホテルで1泊し、翌日はレンタカーで釧路湿原と摩周湖、屈斜路湖方面へ。最初の目的地は釧路湿原駅近くにある細岡展望台。

かなり広い駐車場に車を停め、少し歩くと展望所がある。

いやあ、この景色はすばらしい。ここからの眺めはかなり広大で、釧路川が蛇行する景色を見ることができる。それに、ここへ来るためには大型バスが通れないような細い道を通る必要があるため、それほど人が多くなく景色をゆっくりと眺めることができる。ここでしばらく休憩。

ところで、この展望所で次のような出来事があった。オートバイで来ていた30歳代くらいの男性の携帯電話が鳴り、会社からだったらしく「今日は有休を取っているんですが…」などと言いながらも結局は仕事の話になっていた。私は今では絶滅寸前になった「携帯電話を持たない人間」なので特にそう思うのかもしれないが、なぜ旅行に携帯電話を持っていくのだろう。旅行とは「現実から離れること」が目的ではないのか。遭難時の連絡用という意味もあるのかもしれないが、それなら電源を入れておく必要はない。私は旅行中は誰からも連絡を取れないようにしておかないと旅行自体楽しめないと思っているので、どうもこういう人たちが理解できない。まあ人それぞれということかもしれないが、携帯電話を持って旅行に行く人の意見を一度聞いてみたい。

細岡展望台の後、続いてコッタロ展望台へ。昨日訪れたサルボ展望台の駐車場付近から脇道に入り、未舗装の道路を数キロ行ったところに駐車場がある。ここから急な階段を上ったところが展望台。

こちらの景色もなかなかのもの。細岡展望台からの景色は釧路川が主だったが、ここは湿原らしい湿地帯になっている。ただ、ここは多くの観光客がひっきりなしに上ってくるので、あまりゆっくりと見ていられなかったのが残念。

コッタロ展望台の駐車場には、キツネが何匹かうろついていた。観光客慣れしていて近寄っても逃げないので、かなりアップで写真を撮ることができた。

キツネを見たのはこれが初めて。私は猫より犬派ということもあり、こんなに近くで見ることができて嬉しかった。

この後、釧路湿原を離れ、摩周湖方面へ向かった。

(2003.9.21~22)