カンボジア旅行記(バイヨン遺跡)

午前10時、カンボジアのシェムリアップ空港に到着した。タラップを降りて小さな入国ターミナルへ歩いて移動し、まずはビザの取得を行う。ビザカウンター前には長い行列ができていたが、ここの役人さんたちは意外と作業が早く、短時間でビザを取得することができた。

ビザの料金は20ドル。入国審査もパスポートを見るだけという簡単なもので、スムーズにカンボジアに入国できた。


建物を出ると、タクシーやバイクタクシーの運転手が大勢待機している。ここからシェムリアップ市街までの料金は交渉ではなく予め決められていて、バイクタクシーの場合は1ドルになっている。ここでジェイム君という20代前半の若者の運転するバイクタクシーに乗り、シェムリアップ市街へ向かうことにした。バイクタクシーというのは客が後部シートに乗るバイク版タクシーのことで、つまり「2人乗り」をすることになる。

空港を出発し、シェムリアップ市街へ向かう。空港と市街地を結ぶ道路は赤土がむき出しの未舗装道路になっていて、あちこちで(おそらく)舗装工事が行われている最中だった。

移動の途中で旅行の日数や予算などを話し、滞在中はジェイム君のバイクタクシーをチャーターすることにした。それから、宿泊するホテルについても紹介してくれることになった。

10分ほどでシェムリアップ市中心部に到着。車やバイクや自転車が頻繁に行きかっている、かなり活気のある町だった。その中を縫うように走るものだから、気をつけていないと他のバイクや車に腕が当たりそうになったりして、かなりひやひやものだった。

やがてジェイム君が紹介してくれたホテルに到着。”KRAVAN ANGKOR VILLA” というホテルで、なかなかきれいな部屋だったのでここに泊まることに決めた。ツインルームのシングル使用、ホットシャワー付き(ということになっていたが、実際はぬるま湯程度)で宿泊料金は1泊8ドル。

ホテルで5分ほど休んだ後、バイクタクシーでアンコールワット方面へ出発。シェムリアップ市街を離れると、やがて政府観光局のチェックポイントに到着する。ここで遺跡内に立ち入るためのパスポートを購入しないといけない。写真付きのパスポートなので、まず写真を撮影し(写真撮影は無料)20分ほどで出来上がり。有効期間は3日間で、料金は40ドル。

チェックポイントを出発すると、下の写真のような並木道がアンコールワットまで続く。風が涼しいので気持ちいいが、しかしここは30年ほど前は命がけで通らないといけなかった道のはず。今は観光客を乗せたバスやバイクタクシーが行きかっているが、当時を知る人にとっては信じられないような光景ではないかと思われる。

やがてアンコールワット前に到着したが、ここは夕方見ることにしていたため、通過してアンコールトムへ。下の写真はアンコールトムにある5つの門のうちのひとつ、南大門。

南大門をくぐり、アンコールトムの中心にあるバイヨン寺院に到着。バイヨン寺院の前は小さな土産物店や食堂がたくさん集まっていて、バイクタクシーの運転手が大勢休憩していた。ここでジェイム君といったん別れ、バイヨン寺院の中へ。


バイヨンとはアンコールトムの中心にある160メートル四方ほどの寺院で、笑みを浮かべているたくさんの観世音菩薩で有名。林立する尖塔の四面に大きな顔が刻まれている。観光客は日本人が半分、欧米人が半分といったところ。かなり高低差のある遺跡で、歩き回っていると結構疲れる。

遺跡の上の方まで登ると、顔を近くで見ることができる。それぞれの顔は少しずつ微妙に異なっていて、見る位置によって3つ並んで見えたり、暗い通路の向こうに明るく見えたり、歩いているとなかなか面白い。

アンコールワットはヒンドゥー教の遺跡だが、アンコールトムの時代には大乗仏教が信仰されていたそうで、それで観世音菩薩像が刻まれている。現在は遺跡内部にはあちこちに仏像が置かれていて、何人かのお婆さんたち(つまり尼さん)が仏像の世話をしている。

観世音菩薩の他にも壁面には多数のレリーフや神像が刻まれていて、見ていて飽きない。40分ほどバイヨン寺院内を散策。

続いてバイヨンの近くにある遺跡へ。「王宮」「象のテラス」など、いくつかの遺跡がある。ただ、この一帯は自称ガイドの子どもたちが多く、歩いているとすぐに寄ってきてガイド料を取ろうとする。必死さは十分に伝わってくるが、ゆっくり歩きたい者としてはちょっと鬱陶しい。

下の写真は象のテラスの側面に刻まれている神鳥ガルーダ像。

バイヨン寺院前に戻り、小さな食堂で昼食。このとき食べたのは白米の上に焼肉を乗せたもの(”Beef on Rice” という名前だったと思う)だったが、この肉がとにかく固く、食べ終わった後はしばらくあごの筋肉を動かせない状態だった。

バイヨン周辺には物売りが多く、食事をしていると小さな子供が何人も寄ってくる。特に欲しいと思うものもなかったので何も買ってはいないが、驚いたのはこの子供たちが日本語をある程度話せること。「後で」と言うと「じゃあ食べ終わったら買ってくれる?」などと言うし、ヒアリングだけでこれだけ覚えたとはたいしたもの。「大きくなったらいいガイドになれるよ」と言って別れた。

その後、バイクタクシーで次の目的地のアンコールワットへ向かった。