スロベニア旅行記(洞窟城)

ポストイナの中心にある広場の前にタクシー乗り場がある。ここからタクシーに乗り、ポストイナ郊外の洞窟城へ向かう。

城の近くのブコヴィエという集落までバスの便が1日数本あるそうだが、スクールバスということで帰りの便の時刻がはっきりしなかったので、ここはタクシーを利用した。

スロベニアはもともとタクシーが少ない国なので、どの乗り場もタクシーが出払っていることが多い。タクシーを見かけたらダッシュで乗り場に向かわないと、再び長時間待つことになってしまう。私の場合はタクシーに乗るまで30分ほどかかった。


ポストイナから10分ほどで、ちょっと変わった城が現れる。小さな駐車場でタクシーを降り、1時間後に迎えに来てもらうことにして、歩いて洞窟城へ。

それにしても異様な景観といえる。崖の窪みに収まるように建っていて、城の背後には鍾乳洞が続いているという。こういう城は世界でも珍しいのではないかと思う。

公共交通機関で訪れにくい場所にあるためか、観光客はかなり少ない。周囲にはのどかな田園風景が広がっていて、実に静か。

奥行きがないため城の内部はそれほど広くはないが、通路が入り組んでいてちょっとした探検気分が味わえる。下の写真は下層の部屋(展示室になっている)と上層の部屋(おそらく応接室)からの眺め。

おそらく司祭の部屋。部屋はベッドと机くらいしかなく簡素だが、生活臭があってなかなかリアル。人形がいい味を出している。

最上階へ行くと、城の背後に鍾乳洞が続いているのが見える。あまり奥へ進むことはできないが、かなり先まで続いていそうな感じだった。

城からの眺め。周囲は一面の緑で、絵に描いたように牧歌的な風景が見渡せる。人家は数軒しか見えない。

このように城の周囲の風景は実にのどかなのだが、しかしながらここは中世の城なので、きれいな展示物ばかりというわけにはいかない。下の写真のように拷問に関する展示もある。置かれているのは身長を伸ばす器具と三角木馬。本物なのかレプリカなのかはわからないが、こういうものを見たのは初めて。

拷問風景も再現されている。下は囚人の拷問風景のアップ。これは痛そうだ。

それほど大きな城ではないが、構造や展示物が興味深いため歩き回っていると飽きない。しかし、帰りのタクシーの時間が近づいてきたので、ここで城を出ることにした。

城の背後にある鍾乳洞は、夏季のみ行われるガイドツアーに参加することで中に入ることができる。できれな参加したかったのだが、時間がなかったので諦めた。下の写真に写っている扉が、その鍾乳洞の入口。

洞口から流れ出している小川のほうへ、城から細い道が続いている。いったん下へ降り、そこから城を見上げるとこんな感じ。崖の窪みに収まるように建っているのがわかる。

その後、しばらく周囲を散策し、迎えに来てもらったタクシーでポストイナへ戻った。この洞窟城は公共交通機関では行きにくい場所にあるが、その特異な景観は一目見たら忘れられないくらいの感動がある。スロベニア旅行ではぜひ訪れてほしいスポットといえる。