国内旅行編(岩手 / 滝観洞)

朝8時40分、快速はまゆり1号で盛岡駅を出発し、釜石線を経由して10時に遠野駅に到着。この日の予定は遠野駅でレンタカーを借り、まずは車で1時間ほどの距離にある滝観洞と白蓮洞へ。

鍾乳洞を見た後、遠野市街へ戻って時間の許す限り各観光スポットを回ることにしていた。(結局、あまり時間がなかったためコンセイサマとカッパ淵の2ヶ所しか回ることはできなかったが)


遠野市街を抜け、国道340号線を東へ。途中から釜石方面へ向かう県道に入ると、道幅は急に狭くなった。遠野から約1時間でJR上有住駅のすぐ近くにある滝観洞に到着した。周囲はすっかり雪景色になっている。チケット売り場を兼ねたレストランが1軒あるが、他には人家はまったく見当たらず、秘境感が漂う。

「滝観洞(ろうかんどう)」というのは、名前の通り滝を観ることができる鍾乳洞。この鍾乳洞は鍾乳石などの景観はそれほど発達していないそうだが、最奥部に落差29メートルの滝があり、なかなかの迫力らしい。

周囲は閑散としていて、チケット売り場には誰もいない。「入洞する人はこちらへ」と書かれた電話機で連絡すると、やがて係りの人がやってきて近くの小屋の鍵を開けてくれた。料金は白蓮洞とのセットで800円。

小屋には各サイズのヘルメットと長靴が並んでいる。滝観洞はかなり狭い鍾乳洞で、足元もそれほど整備されていないため、こうやってヘルメットと長靴を借りて入洞することになる。係りの人に洞内の電気を点けてもらい、滝観洞内部へ。


洞口からは、曲がりくねった狭い通路が最深部まで続く。観光洞の長さは880mで、背をかがめないと通れないようなところも多く、ヘルメットがかなり役立った。比較的若い鍾乳洞ということなので、鍾乳石や石筍はあまり発達していない。

結構有名な鍾乳洞と思っていたのだが、このときは他の観光客は1人もおらず貸切状態だった。洞内でまったく人に出会わないため、ちょっとした探検気分を味わうことができた。

下の写真は終点近くにある洞窟観音。ここに載せている写真は一番下を除いてシャッタースピード2秒の夜景モードで撮っているため明るく写っているが、実際の洞内はもっと暗い。(この旅行当時はフィルムカメラを使っていた)

洞窟観音を過ぎると、次第に大きな水音が聞こえてくる。そして、下の写真のようにほとんど這って進まないといけないくらい天井の低い通路の先に、いよいよ「天の岩戸の滝」が現れる。

ここが観光洞の最深部にある天の岩戸の滝。なかなかの迫力だと思う。シャッタースピードが長いため写真には水があまり写っていないが、実際は結構な水量が流れ落ちている。

途中の通路が単調だった分、最後に現れる滝を見たときは感動も大きい。

「洞窟内にある滝としては落差が日本一」という話も聞いたが、本当かどうかはわからない。しかし、それが本当でなくても「ここまで来てよかった」と思わせるだけの景色といえる。

下の写真が滝上部の水が流れ出してきている部分。天井に開いた穴から水が回転しながら滑り落ちてくる様子がわかると思う。

観光洞はここまでだが、洞窟はもっと奥まで続いている。この水が流れ落ちてくるところを越えてさらに奥へ進んだ探検隊がいたそうで、それによると奥にもいくつかの滝があるらしい。それにしても、よくここを登攀できたものだ。

滝の近くは水しぶきがひどく、フラッシュを使って写真を撮ると心霊写真でおなじみのオーブがたくさん写る。

この翌日に訪れた龍泉洞もよかったが、この滝観洞も龍泉洞に劣らず素晴らしい鍾乳洞だった。他の観光スポットから離れている上に交通の便が悪いので(JR上有住駅からは徒歩数分だが、こちらは列車の本数が少ない)気軽に訪れるというわけにはいかない場所にあるが、洞内の滝はなかなか迫力がある。東北旅行の際は、ぜひ訪れてほしいスポットといえる。

洞内には映画「八墓村」についての案内板もある。この洞窟内で撮影が行われたそうだが、私は横溝正史の原作は何度も読んだものの、映画については見たような気もするがほとんど記憶に残っていない。原作は金田一耕助がたいして活躍らしい活躍をせず、後半はまるで冒険小説のようになっているところが横溝作品では結構異色だと思うが、映画版ではどうなっていただろうか。なお、撮影されたのは洞窟内で屍蝋が見つかるシーンということだった。

滝観洞を出て、続いて近くにある白蓮洞へ。ところが「冬の間は氷柱が凍っていて入れない」という理由で、この時期は営業していなかった。係りの人は「白蓮洞との共通チケットになっているから、冬に来たときに入れなかったと言えば次回もこのチケットが使えるよ」と言ってくれたが、次回ここへ来るのはいつになるだろう。ぜひ再訪して、天の岩戸の滝をもう一度見たいものだ。

(2004.12.24)