タイ&ラオス旅行記(ラオス入国、ブッダパーク)

朝9時、ラオスとの国境の町、ノンカイに到着した。まず駅の窓口で翌々日のバンコク行き夜行列車のチケットについて聞いたところ、帰りは2等寝台(上段)のチケットを購入することができた。料金は588バーツ(約1,700円)。

ノンカイ駅は市街から離れた場所にあるらしく、駅前に食堂が何軒かある以外、周囲には何もない平原が広がっている。駅前に待機しているトゥクトゥクに乗り、ラオスとの国境へ。

タイ出国~ラオス入国

ノンカイはメコン川をはさんでラオスの首都ビエンチャンの対岸に位置する町。ノンカイとビエンチャンの間には「友好橋」という橋が架かっていて、ラオスへ陸路で入国する最も容易なルートとして外国人旅行者にも人気がある。出国ゲートに到着すると日本人や欧米人の旅行者で賑わっていた(といっても数十人ほどだが)。車で両国を行き来している人もかなり多い。

タイを出国すると、ベンチがいくつか並んでいるバス乗り場がある。友好橋を歩いて渡ることはできず、ここからバスに乗ってラオス側に渡ることになる。

やがてやってきたマイクロバスに乗り、いよいよラオス側へ。車内は満員で、私は通路に立っていたため車窓風景の写真を撮ることはできなかった。このときに初めてメコン川を見たが、このあたりはまだ上流なので、それほど広い川ではなかった。

ラオスの入国ゲート前でバスを降り、まずはビザの取得を行う。ラオス入国にはビザが必要だが、この国境では簡単に取得できるということは事前に調べていて、必要な顔写真も準備していた。

カウンターに置いてあった出入国カードに記入し、パスポート、顔写真、料金31ドル(通常は30ドルだが、日曜日は1ドル高くなる)と共に “ARRIVAL VISA” の窓口へ。10分ほどでビザが発給され、パスポートが戻ってきた。

下の写真はラオス側の入国ゲート。

入国審査はパスポートをチェックしてスタンプを押すだけという簡単なもので、これで私にとって19ヶ国目となるラオスへ入国した。

ビエンチャン

この友好橋はビエンチャンのかなり郊外にあるので、これから中心部に向かわなければならない。路線バスがあることはわかっていたが、しかしどこがバス停なのかわからず、運行間隔もわからない。

(この日の午後に乗ったビエンチャン~タドゥア間のバスが友好橋経由だったため、そのときにバス停の場所がわかった。出入国ゲートから少し離れていて、それに特に表示もないため事前に知っていなければとてもバス停とは気づかないと思われる)

暑いバンコクを1日歩き回った後の夜行列車での移動だったので、このときは少し疲れていた。そのためバス停を探す気力がなく、エアコンタクシーの誘惑に負けてビエンチャンまでタクシーで行くことにした。車内は涼しくて快適だったが、料金は300バーツとかなり高い(ぼられているわけではなく、これは正規料金)。なお、ラオスでは国内通貨のキップの他、米ドルとタイバーツがそのまま使える。

30分ほどでビエンチャンの中心にある噴水広場前に到着した。しかしまあ、タクシーから街中の様子を眺めていて思ったのだが、本当にここが一国の首都かと思うくらい何もない町である。噴水広場の正面から続く道路も未舗装で、この道路に面して “Phonepaseuth Guest House” というホテルが1軒あったので、ここに2泊することにした。部屋はかなり小奇麗で、宿泊料金は1泊10ドル。

下の写真は、噴水広場前から見た道路とホテルの2階から見た噴水広場方面。

しばらく休憩した後、まずはメコン川を見にいくことにした。ホテルを出て噴水広場を通り抜け、しばらく歩くとやがて土手の上に出る。

下の写真がビエンチャン中心部から見たメコン川。東南アジア最大の川だが、このあたりではまだそれほど川幅は広くない。

土手の上にはプラスチック製のテーブルと椅子がたくさん並んでいて、夕方になると野外レストランがオープンする。

メコン川沿いに両替所が1軒あったので、ここで米ドルをラオスの通貨キップに両替した。レートは1ドルが約10,000キップだった。

ブッダパーク

続いて、今回の旅行の主目的地になるブッダパークへ向かう。まずは歩いてタラート・サオ(朝市という意味)へ。名前は「朝市」だが、実際には夕方4時ごろまで開いているという。ここは翌日ゆっくりと見ることにして、雑然とした感じのマーケット内を通り抜けて隣にあるバスセンターへ。

首都のバスセンターといってもかなり小さく、発着しているのはマイクロバス程度の小型バスのみ。どのバスも車体に日の丸が描かれているので日本の援助によるものらしい。「タドゥア」方面行きのバスに乗ればいいということは事前にガイドブックで調べていたので、案内図で位置を確認してからタドゥア行きバス乗り場へ。ここの乗り場案内図には英語も併記されていたので助かった。

タドゥア行きは20分間隔で頻繁に運行されているが、しかしながらそれ以上に乗客が多く、小型バス内は動けないほど満員になっている。しかもエアコンが無いのでちょっと暑い。

ブッダパークは友好橋のさらに南にあるので、来た道を逆戻りすることになる。最初は超満員だった車内も次第に乗客が降りていき、友好橋を過ぎるころには座れるようになった。

ガイドブックには「友好橋を過ぎてしばらく行くと、やがて右側に見えてくる」と記載されているが、しかし一向に見えてこない。結局、友好橋から約30分(ビエンチャンから約1時間)でようやくブッダパークに到着した。気づかずに通り過ぎてしまったのかと不安になっていたので、このときはほっとした。ちなみにバス料金は距離に関係なく一律3,000キップ(約30円)だった。

では、いよいよブッダパークへ。入場料は5,000キップ(2005年時点)。

ブッダパークというのは通称で、正式名称は「ワット・シェンクアン」という寺院である。寺院といっても坊さんが管理しているわけではなく、今は広い敷地内に多数のコンクリート像が並ぶ宗教公園という感じの場所になっている。

インターネットで少し調べてみたところ、ここは「ルアン・プー」という僧侶(新興宗教の開祖らしい)が設立した寺だそうである。この坊さんが1977年に活動の拠点を対岸のノンカイに移したため今は単なる公園のようになってしまったが、それでも見所の少ないビエンチャンでは最大の名所になっているということだった。(この翌々日、ノンカイでルアン・プーが設立したワット・ケークという寺院を訪れることになる)

中に入ると、奇妙なコンクリート像が多数並んでいるのが見える。そして、入口のすぐ右側には回転楕円体のような形をした建物がある。この上から敷地内を見渡すことができるので、まずはこの中に入る(口の部分が入口)。

この建物の中もいろいろと面白いのだが、そこは後で説明するとして、まずは上から見た敷地内の眺め。面白そうなコンクリート像が多数並んでいるのが見渡せる。この公園の向こう側はメコン川の川原になっている。

この建物の上には3人ほどの日本人グループと欧米からの観光客数人の他、オレンジ色の衣装を着た坊さんが数人、記念写真を撮りあっていた。世俗的な坊さんだ。

バックに見えるのは涅槃像だが、しかしこの涅槃像、かなり薄い。

しばらく景色を眺めた後、再び建物内へ。この建物は3階建てで、中央に円形の部屋があり、その周囲を回廊がリング状に囲むような構造になっている。回廊には等間隔で四角形の窓が開いているためわりと明るいが、中央の部屋の内部はほぼ真っ暗。このことは旅行前からわかっていたので、ちゃんと日本から懐中電灯を持参していた。建物中央にある階段など、懐中電灯がなければ危なくて通れたものではない。(もちろん回廊部分にも階段はあるので、懐中電灯を持っていなくても上の階へ上がることはできる)

中央の部屋の内部にも、小さなコンクリート像がたくさん並んでいる。明かりが懐中電灯だけなので全体像がつかみにくいが、どうやら1階が地獄界、2階が人間界、3階が天上界を表現しているらしい。意外と手の込んだ像もあるので、真っ暗なのがちょっともったいない気がする。

その後、園内を散策。歩き回っているとかなり面白い。主なコンクリート像を下に載せているが、実際にはもっと大量に並んでいる。興味のある人はぜひ直接訪れてほしい。

これらのコンクリート像はルアン・プーが開いた新興宗教の教義に基づくものらしいが、本人でないものには何だかさっぱりわからない。まあ、いわばルアン・プーの脳内風景ともいえるので、他人が理解するほうが無理なのだろう。

下の4枚の写真のうち、左上は四方に顔を持つ象。右上は何かを食べている水棲人らしき生物のようだが、食われているほうにも顔がある。いったい何を食べているのか?

そして、これらのコンクリート像の中で最も面白いと思ったのがこれ。3面の顔と6本の腕を持つなんとも奇妙な物体だが、いったい何なのだろうか。これを見たときは「回転してほしい!」と強く思った。

園内にあった屋台で遅めの昼食を食べたりしながら、1時間半ほど園内を散策した。それにしても、これらのコンクリート像はオリジナリティにあふれていて期待以上に面白かった。これだけ大量に作り上げたエネルギーには感服する。

ここは珍しいスポットが好きな人だけでなく、造形に興味がある人にもかなりおすすめだと思う。日本からそう遠くないので、ぜひ訪れてみてほしい。


バスでビエンチャンに戻り、しばらくメコン川沿いを散策した。夕方になると土手の上の野外レストランが営業を始める。食事にはまだ少し早かったので、ここでパイナップルシェイクを注文してみた。南国だけあってこれは実にうまい。

その後、暗くなるまでメコン川沿いから噴水広場付近を散策し、ホテルのレストランで食事をしてから部屋に戻った。ビエンチャンは街灯が少ないため市街中心部でも夜はかなり暗くなるが、噴水広場周辺を歩いている限りは特に危険という感じはしなかった。