タイ&ラオス旅行記(ノンカイ / ワット・ケーク)

ラオス出国の日。2泊したホテルをチェックアウトし、歩いてバスセンターへ。写真はその途中にあるタート・ダムという仏塔。ガイドブックによると、いつごろ作られたのかもわかっていない古い塔らしい。一昨日も乗ったタドゥア行きのバスに乗り、ビエンチャン市街を離れた。


30分ほどで友好橋に到着し、しばらく免税店で買い物をすることにした。免税店といえば出国する人しか買い物できないはずだが、ここは出入国ゲートの前とはいえ、誰でも出入りできるような感じになっている。出国しない人が買い物しても特に問題なさそうな感じで、ちょっと管理がいい加減という気がした(たしかに “DUTY FREE” と書かれていたような記憶があるのだが、それは表示だけで単なる土産物店だったのかもしれない)。ここでは知人に配るための菓子類を買った。

ラオスを出国し、バスで友好橋を渡ってノンカイのイミグレーションに到着した。再びタイに入国し、今度は無料の送迎バスに乗って近くにある小さなバスセンターへ向かった。ここにはたくさんのトゥクトゥクが待機していたので、ここからノンカイの中心部にあるター・サデット(船着場)へ向かうことにした。

約10分でター・サデットに到着し、ここでしばらく休憩。「船着場」という名前の通り、ここから対岸のラオスへボートが出ている。ただし、このボートは地元住民専用なので外国人が乗ることはできない。下の写真はター・サデットから見たメコン川とター・サデットの建物。”WELCOME TO THE KINGDOM OF THAILAND” と書かれている。

近くにあった銀行で米ドルをバーツに両替した後、ター・サデットの前から再びトゥクトゥクに乗り、郊外にあるワット・ケークという寺院へ向かった。

ワット・ケーク

ワット・ケーク(正式名称は「ワット・サーラー・ゲーオクー」)というのは、ビエンチャンのワット・シェンクアン(ブッダパーク)を作り上げた僧侶ルアン・プーがラオスの社会主義化によりノンカイに移住し、新たに作り上げた寺院。単なる公園になってしまったブッダパークとは違い、ここは現在も寺として機能しており、ちゃんと僧侶もいる。ブッダパークと並んで今回の旅行の主目的地のひとつになる。


ター・サデットから露店が立ち並んでいる細い路地を抜けると大通りに出る。ター・サデットから遠くはなく、10分ほどで巨大なコンクリート像が見えてくる。

下の写真が入口の横に立つコンクリート像。横にある露店のテントと比べても、その巨大さがわかると思う。

トゥクトゥクの運転手にはここで1時間ほど待っていてもらうことにして、ワット・ケークの中へ。

入口の巨大コンクリート像を見ればわかるとおり、ここはブッダパークと比べても格段に規模が大きい。敷地も広く、さらに暑いので歩いているとちょっと疲れる。

下の写真は寺院内の風景。涅槃像やら大仏像やら七つの首を持つ蛇をバックにした仏像やら、奇妙なコンクリート像がたくさん並んでいる。それぞれがどういう意味を持つのか、すべてルアン・プーの脳内風景なので私にもわからない。

寺院内の一画に、たくさんの奇妙な仏像によって円形に囲まれた区域がある。下の写真に写っている口の部分が入口で、早速入ってみた。

円周に沿って、3面の顔を持つ仏像、何やら銭勘定している女性、夫と奥さんと愛人の3人で喧嘩している場面(何だこれは?)、手をつなぐカップル、仲良さそうにベンチに座った夫婦など、様々な種類のコンクリート像が並んでいる。右下の写真は同じ姿勢のまま骨になった夫婦。「骨になるまで仲睦まじく」という意味ですかね。

こちらは、寝ている人を指差しながら何やら説教しているらしき人。となりの仏陀まで左手で指差している。いったいどういう光景なのだろう。

そして、この円形区域の中央にあるのがブッダパークでもおなじみだった3面の顔と6本の腕を持つ謎の物体。本当に、この物体には回転してほしい。そして手の上に乗せてほしい。

別の場所には、この物体の腕なしバージョンもあった。いったいこれらの物体にはどんな意味があるのだろう。

さらに、ブッダパークでも見た「何かを食べている水棲人らしき生物」もあった。後にインターネットでいろいろと調べてみたところ、どうやら食われているのは「月」で、これは月の満ち欠けを表しているらしい。

「象に向かってさかんに吠えている犬たち」というのもあったが、これはかなりきれいな白色だった。こういうものは放っておくとすぐに薄汚れてしまうので、コンクリート像のメンテナンスはかなりしっかりと行われているのだろう。

寺院内には池もある。近くの露店では魚の餌を売っていて、他の観光客が投げているのを見ているとナマズが飼われているようだった。

池の横にあるのが、おそらくこの寺院の本堂。

靴を脱いで本堂に入ると、奥に仏像が安置されていた。ここで参拝していると、寺院の関係者らしい男性に話しかけられた。「あなたは日本人か」と聞かれたところまではわかったが、その後この人の英語がまったくわからない。何かを伝えたいらしいのだが、彼の発音に問題があるのか、または私のヒアリングに問題があるのか、断片的にすら理解できない。しばらくして諦め、互いに苦笑しながら別れた。

この本堂の2階には1996年に亡くなったルアン・プーの遺体が透明なカプセルの中に安置されているという。このことは旅行前にインターネットでいろいろと調べていたときにわかったのだが、しかし2階には信者でない者は上がれないらしい。ぜひ見たいという気もするが、そういう決まりであれば仕方がないので、これは諦めた。

その後、時間まで寺院内を散策。本当に、これだけのコンクリート像を作り上げたエネルギーはすごい。今回のタイ・ラオス旅行はルアン・プーの脳内風景を見ることが主目的だったわけだが、訪れた価値は十分あった。奇妙な造形に興味がある人は、ぜひ直接訪れてみてほしい。

その後、露店でアイスクリームを買ってしばらく休憩し、再びトゥクトゥクに乗ってワット・ケークを後にした。


ター・サデットに戻り、夕方まで周辺を散策してみた。路地には日用品や食料品を売る小さな店が並んでいて、歩いていると面白い。しかしビエンチャンで買ったウィスキーや缶ビールをバックパックの中に入れていたため、荷物が重くて疲れた。

そろそろ駅へ移動しないといけない時間になったので、通りにあったセブンイレブンで飲み物を買い、トゥクトゥクでノンカイ駅へ向かった。

駅に着くと、まだ列車は入線していなかったがバンコクへ向かう大勢の乗客で賑わっていた。ちょっと時間があったので駅前に並んでいる食堂で夕食を取り、やがて入ってきた列車に乗り込んだ。ノンカイへ来たときと違って今回は2等寝台車で、まだ寝台は準備されておらず座席になっている。

周囲が暗くなった午後7時過ぎ、ノンカイを出発した。すぐに乗務員がやってきて寝台のセットを始める。私は2段寝台の上段で、寝台がセットされるとすぐに上段に上がった。各寝台のスペースはわりと広く(日本の寝台列車のB寝台と比べても遜色ないくらい)、それに通路側を完全にカーテンで覆うことができるので、これなら1等寝台よりもこちらのほうがいい。ただ、エアコンが効いているので寝ているとちょっと寒い。

しばらく寝台内でガイドブックを読んでいたが、暑い中を1日中歩き回って疲れていたので、やがて眠ってしまった。