ベトナム旅行記(ホーチミン / マングローブ林ツアー)

福岡空港を午前11時に出発し、台北、香港を経由して夕方5時40分にホーチミンのタンソンニャット国際空港に到着。飛行機を降りてターミナル内を歩いているときに、ちょうど日没になった。

ベトナムに入国し、ロビーに出る前に銀行があったのでここで米ドルをベトナムドンに両替。1ドルは約16,000ドンだった。


これからロビーに出るわけだが、旅行前にインターネットで見たいくつかの旅行記によると、ここはタクシーの客引きがすごいらしい。高い額を吹っかけてくる運転手も多いという。

そこで、ちょっと身構えてロビーに出たのだが…予想に反してロビー内は閑散としていた。結局、ターミナルを出てタクシー乗り場に着くまで誰からも声をかけられることもなく、タクシーも何も言わなくてもメーターを使ってくれた(市内までの料金も、ほぼガイドブックに記載されていた金額)。ちょっと身構えていたぶん、なんだか拍子抜けという感じだった。

それにしても、噂には聞いていたがやはりホーチミンはバイクの量がすごい。ちょっと大げさに言えば「バイクの洪水の中を車がぬうように走っている」といった感じ。信号で停車すると、たちまちのうちに大量のバイクに囲まれてしまう。車のほうもクラクションを鳴らしまくりで、これでは運転手もかなり疲れるのではないかという気がする。

バックパッカー向けの安宿が集まっているファングーラオ通りでタクシーを降り、とりあえず目に付いた “Le Le Hotel” に入ったところ、空きがあったのでここに泊まることにした。料金は1泊15ドル。

別に悪いホテルではなかったし部屋の設備やスタッフの対応にも特に不満はないが、夜にファングーラオ通りを散策したところ他にもきれいで安そうなホテルがいくつもあったので、後になって簡単に決めてしまったことをちょっと後悔した。そこで、このホテルは1泊だけにして、翌日は別のホテルを探すことにした。

夜はファングーラオ通りを散策。欧米人や日本人旅行者が大勢歩いていて、特に安全上の問題は感じられなかった。この通りには安宿、レストラン、旅行代理店などが並んでいて、ここで翌日のツアーを予約することにしていた。

当初は英語のツアー(こちらのほうが安い)を考えていたが、歩いているときに「TNK トラベル」という旅行店の日本人スタッフに声をかけられ、話を聞いているうちに面白そうなのでここの日本語ツアーを予約することにした。予約したのはホーチミンの少し南、サイゴン川の下流にあるカンザーという地域のマングローブ林ツアーで、料金は32ドル。

その後、旅行者向けの安いレストランで食事をしてからホテルへ帰った。なお、このあたりのレストランの値段はビール1本(普段酒はあまり飲まないが、旅行中は現地のビールをときどき飲むようにしている)、料理2品(肉料理と御飯もの)、デザートにミックスフルーツ、さらに食後にアイスコーヒーまで頼んで全部で75,000ドン程度(約500円)。日本と比べてかなり安い。おかげでベトナム滞在中は毎日夕食を腹いっぱい食べることができた。


翌日の朝7時半、ホテルを出て TNK トラベルへ。各ツアーの参加者が大勢集まっていて、バスに乗って次々と出発して行く。カンザーのマングローブ林ツアーは最後の出発で、バスではなくワンボックスカーだった。

このツアーの参加者は8名で、内訳は男女のペアが2組、男性1人参加が3人、女性1人参加が1人。女性1人参加というのも珍しいと思ったが、話してみると旅行自体は1人旅ではなく、たまたまこのツアーには1人で参加することになっただけということだった。

ガイドは日本人ではなくベトナム人男性で、日本語はわりと堪能だったが日本へは行ったことはなく、すべてホーチミンの日本語学校で覚えたということだった。

市内を走行中、このガイドさんがホーチミンのバイクについて話してくれた。ホーチミン市の人口400万人に対しバイクが800万台と、人口の2倍のバイクがあるという。一番人気は言うまでもなくホンダで、後はヤマハ、スズキ、カワサキと、やはり日本製が圧倒的に信頼されているそうである。最近は価格が安いということで中国製も増えてきたが、寿命は日本製の3分の1以下ということだった。そのため最初は中国製を買い、壊れるまでの間に金を貯めて日本製に乗り換えるのが主流らしい。

街中の様子も、あちこちで再開発が行われていてかなり発展してきているようだった。かつて日本にもベトナム難民が押し寄せていたころはその日の食べ物にも困るほどだったらしいが、十数年でここまで発展したのだからたいしたものだと思う。

やがて市街を離れ、いったんフェリーに乗って川を渡ることになる。10分ほどで対岸に到着。

ここから再び車に乗り、1時間ほどでカンザーに到着した。ここではチケット売り場の前で飼い犬が呑気そうに熟睡していて、ツアー参加者一同「結構なご身分だな」などと感想を言いあっていた。

最初にカンザー地区のジオラマがある小さな展示室へ。この一帯はベトナム戦争当時の激戦区で、アメリカ軍の枯葉剤によってマングローブはほとんど壊滅したそうである。ゲリラの隠れ場所がなくなるように森ごと消してしまう作戦を実行したためで、当時の写真を見ると見事にマングローブがなくなっている。

つまり、現在カンザーに広がっているマングローブ林はすべて戦争後に人間が植林したものということになる。ここには戦争当時の状況についての資料の他、現在生息している鳥や魚についても展示されていた。屋外には朽ち果てた砲弾も置かれている。

それから陸上のマングローブを近くで見てみた。意外と根はしっかりしていて、人間が登っても(たわみはするが)折れそうな感じはしない。

ここには猿が多く棲息していて(もちろん観光客向けだろうが)、キャンディーを投げたりして遊んでみた。

続いてマングローブ林の中の細い水路をモーターボートで移動し、ベトコンの拠点があった場所へ。しばらく細い水路を通った後、ちょっと広い川に出たが、再び細い水路に入っていった。このあたりは密林の中を細い水路が迷路のように続いていて、ちょっとした探検気分を味わうことができた。

ここにはベトナム戦争当時、ベトコンが実際に居住していた集落が再現されている。ガイドさんの案内で宿舎、食堂、病院などを見学してきた。

各建物をつなぐ通路は観光客用に設置されたものだが、それ以外は当時のままだそうである。食堂では当時の兵士の食料を実際に食べることができ、私も一応食べてみた。固い御飯の上に魚の塩漬けをのせたもので、食後は喉が渇いて仕方がない。

下の写真は作戦司令室と病院。司令室に掲げられているのがホーチミンの肖像、共産党旗と北ベトナムの国旗。北ベトナムの国旗は、下側の水色の部分が南ベトナムを表していて、ベトナム統一後に現在の赤一色に星のマークの国旗になったそうである。

病院では負傷者の手術の様子が再現されている。病院といってもちゃんとした医者がいるわけではなく、ほとんどが農民出身の素人だったという。医療器具もろくなものがなく、麻酔も足りないので手足を縛り付けて手術をしていたそうで、これにはツアー参加者一同「これなら死んだほうがましだ」という感想を持った。

ここにはベトナム戦争の犠牲者の慰霊塔がある。私もここで線香をあげてきた。

その後、再びモーターボートに乗って元の場所へ戻る。あとは猿にキャンディーをあげたり、飼われているワニを見学したりしてすごし、やがてカンザーを後にすることにした。

それにしても、戦争当時の写真と比べると、よくここまで回復したものだと思う。しかしながら若いマングローブしかないため、見る人が見れば不自然さがわかるらしい。この不自然さが薄れたころ、いつかまた訪れたいものだ。

ワンボックスカーに乗り込み、しばらく走ると海水浴場が見えてくる。

海沿いの野外レストランで遅めの昼食を取ることになった。ここではガイドブックに載っているベトナムのシーフード料理(蒸した花ガニ、ライギョの煮付け、赤貝の甘辛ソース煮など)が次々と出てきて、ちょっと感動した。

食事中に他の参加者と話したところ、みんな旅行経験豊富な人ばかり。私もすでに20ヶ国以上を訪れているわけだが、上には上がいるものだ。

食後にしばらく海岸沿いを散策し、ホーチミンへ戻ることになった。ちょっと疲れたのでうとうとしているうちにフェリー乗り場に到着していて、再びフェリーに乗って対岸に渡り、ホーチミンへ戻った。


午後4時、TNK トラベルの前で車を下り、ツアーは解散。せっかくなので、その場で翌々日のクチトンネルツアーを予約することにした。日本語のツアーを希望したところ、連休中ということもあって日本語ガイドが足りないらしく、その日は1日ツアーはなく半日ツアーのみだった。1日ツアーではクチトンネルのほかカオダイ教総本山という寺院にも寄るそうで、写真を見ると面白そうな場所だったのだが、これは諦めることにした。ツアー料金は14ドル。

翌々日の予定も決まり、これから泊まるホテルを探すことにした。細い路地を歩き回った結果、この日からは “GIANG” というホテルに泊まることにした。下の写真がホテルがある路地とホテルの正面。

部屋はツインルームでかなりきれい。ホットシャワー、エアコン、TV、冷蔵庫付きで宿泊料金は1泊10ドル。これなら中級ホテルに泊まるより断然お得だと思う。下の写真がホテルの部屋。

家族経営のホテルらしく、昼間は母親らしき女性が客室の掃除をやっていたし、夕方ホテルに帰るといつも一家がロビーで涼んでいた。ここの娘さん(おそらく10代後半)が、福原愛をもっと可愛くしたようでなかなかいい感じ。実を言うと、玄関の掃除をしていた娘さんの姿に惹かれてロビーに入ってしまったのが、このホテルに泊まることになったきっかけだった。いや、べつにこの娘さんとの間に何かあったわけでもないが、日本語が話せる人だったら連れて帰りたいくらいだった。

この日の夜、食事から帰って部屋でTVを見ているとネコとネズミが登場する面白いアニメをやっていた。画面を直接写したためあまり鮮明ではないが、一応写真も撮ってみた。

ネコとネズミが追いかけっこをするというもので、ネズミのほうが頭が良く、ネコは最後にはやられてしまう。なかなか面白く、ベトナム語が分からなくても十分に楽しめるアニメだった、って…

おいおい、これはあの有名アニメの偽物か?

キャラクターの形は多少変えてあるようだが(トムはほとんど2頭身になっているし)、それにしてもねえ。なお、途中でネズミのほうが書類にサインするという場面があり、よく見たら “JERY” とサインしていた(言うまでもないが本物は “JERRY” )。最近はアメリカ人の観光客も増えているというのに、大丈夫なのか? こういうものを堂々と製作するという姿勢に、驚きを通り越してちょっと感動した。


(注)帰国後にいろいろと調べてみると「トムとジェリーキッズ」という作品が存在するらしい。

トムの外見がちょっと似ているので、もしかしたらこれだったのかもしれないという気もする。しかし、たしかに “JERY” とサインしていたし、最後のクレジットも英語ではなかったので、やはりこれは偽物の可能性が高いと思う。