ペルー旅行記(クスコ~アレキパ)

この日でクスコを離れ、アレキパ経由でナスカへ向かう。本来はクスコから鉄道でチチカカ湖畔のプーノへ行きたかったのだが、10日間の旅行ではどうしても日数が足りないので諦めた。

クスコ~プーノ間は、中国のチベット鉄道が開通するまでは世界最高地点(標高4,335メートル)を通ることで有名だった路線で、一生に一度は乗ってみたい路線のひとつ。次回ペルーへ来るときは乗ってみたい。


朝10時にチェックアウトし、昼過ぎまで荷物を預かってもらうことにしてホテルを出た。次の目的地アレキパ行きの飛行機が出るのが午後3時半なので、この日は昼ごろまでクスコ市街を散策することにしていた。多少とも体が高地に慣れたのか、まだ高山病は再発していない。

すぐにアルマス広場へ向かうつもりだったが、ホテルのすぐ近くに小さなインターネット店が見つかったので入ってみた。日本語表示可能なPCが何台か設置してあったのでメールチェックを行うことができたが、それにしても便利な時代になったものだ。

続いてアルマス広場へ行き、3日前の市内ツアーでは訪れなかったラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会に入ってみることにした。下の写真はラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会をバックにしたアルマス広場の噴水。

1650年に建てられた教会で、カテドラルほどではないが、大きな祭壇や壁画を見ることができる。教会内は写真撮影禁止だったので、これらの写真はない。

教会の2階の窓からはアルマス広場を一望できる。

教会を出て、アルマス広場周辺を土産物等を買いながら散策していたときに坂道を登っていったら小学校の敷地内に入ってしまい、校舎内から子供たちの騒々しい声が聞こえてきた。ちょっと迷ったが、特に関係者以外立ち入り禁止とも書かれていないようなのでそのまま歩いていくと、絶好のパノラマビューポイントが見つかった。

上の写真の左端に写っているのがラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会とアルマス広場で、あとは町中が赤茶色の屋根で覆われているのがわかる。これら町中にひしめく赤茶色の屋根と、遠くの荒涼とした山並みの構図がすばらしい。クスコが盆地になっていることがよくわかる。

アルマス広場周辺では多く見かける観光客も、このビューポイントにはまったくいなかったことから、案外ここは隠れスポットだったのかもしれない。これからクスコを訪れる人は、ここからの眺めは見逃さないように。


午後1時過ぎ、いったんホテルに戻って荷物を受け取り、ホテルのスタッフに別れの挨拶と「数年以内にまたここへ来たい」と伝えてからタクシーで空港へ向かうことにした。タクシー料金は3ソル(約100円)。今回はクスコ近郊のサクサイワマン遺跡などをよく見ることができなかったので、ぜひとも再訪したい町である。

ベラスコ・アステテ空港に到着し、ランペルー航空のカウンターでの搭乗手続きと空港使用料の支払いを済ませてから搭乗口へ。

旅行前にランペルー航空のサイトで購入したクスコ~アレキパの航空券だが、購入の2日後、出発時刻が変更になったという連絡がなんとスペイン語のメールで来た。

幸いスペイン語 → 英語の無料翻訳サイトがあり、大まかな意味をつかむことはできたが、それにしてもどうして外国人にスペイン語のメールを送るのかねえ。しかも出発時刻が45分早くなったという通知だったので、メールの内容が理解できなかったら乗り遅れていた可能性がある。

ランペルー航空はわりと頻繁に出発時刻が変更になるようなので、これから購入を計画している人は注意してほしい。

飛行機に乗り込む際、操縦室のドアが開いていたので乗客の多くが写真を撮っていた。私も操縦室を覗き込んで写真を撮らせてもらったが、こういうのは安全管理上、問題にはならないのだろうか。操縦席に座っていた機長は、写真を撮っている乗客のことはまるで気にしていない様子だったが。

午後3時半にクスコを出発し、アンデス山脈の上空を飛行してアレキパへ向かう。リマ~クスコのフライトと同様、飛行機はそれなりの高度を飛んできるのだろうが、なにしろアンデス山脈の上空なので眼下にずっと地面が見え続けている。

下の写真が飛行機からの眺めで、これは着陸直前というわけではなく飛行中はずっとこんな感じ。

クスコから40分ほどでアレキパに到着した。この町の標高は2,300メートルほどで、高山病になるほどの高度ではなく、快適な気候の町。空港の周囲にはかなり広大な景色が広がっていて、乗客の多くがさかんに写真を撮っていた。

滑走路の向こうに見えるのがミスティ山(標高5,821m)で、この山は日本人の間ではアレキパ富士と呼ばれているらしい。

とりあえず次の目的地のナスカへ向かう夜行バスのチケットを入手しないといけないので、まずは空港からタクシーでバスセンターへ向かうことにした。バスセンターはアレキパ市街を挟んで空港の反対側にあり、市街を通り抜けて20分ほどで到着した。

バス会社の窓口でチケットを買おうとしたところ、窓口に座っていた女性がスペイン語しか話せない。こちらが英語で何か言っても、返ってくるのはスペイン語だけ。そのため、ここでは筆談を使って “NAZCA” などの単語を並べ、何とかナスカまでのチケットを購入することができた。料金は60ソル(1,900円ほど)。ここで告白しておくと、実は私は学生時代に第二外国語としてスペイン語を選択していた。しかしながら、さすがに今では簡単なあいさつ程度しか憶えていない。

チケットも入手でき、さらにバスセンター内に荷物預かり所があったのでバックパックを預け、しばらくアレキパ市街を散策することにしてタクシーで市街中心部にあるアルマス広場へ向かった。

この町のアルマス広場は、噴水のある四角形の広場の周りをカテドラルなどの石造りの建物と2階建てのアーチが囲むような構造になっている。大勢の市民が散策しているが、それにしても驚くのがハトの多さ。「ちょっと多すぎないか?」と思うくらい大量にいる。

しばらくアルマス広場を散策した後、カテドラルに入ってみることにした。1612年に建てられ、その後に修復と増築を繰り返されてきた教会で、さすがに外見はかなり立派な作りになっている。

中に入ると、ちょうどミサが行われている最中で、神父が演壇で話していた。教会内はかなり広く、前のほうの席には多くの市民が座っていたが、後ろのほうは空いていたので邪魔にならないようにしばらく座っていることにした。

この近くには大型のパイプオルガンも設置されている。

しばらく内部を見学した後、カテドラルを出て周辺に並んでいる教会群を散策し、暗くなってきたころアルマス広場に面したレストランに入った。ペルーでは、アルゼンチンから安い牛肉が入ってくることもありステーキなどはかなり安い。このときもステーキを注文したが、しかしこの旅行中はなんだか肉料理ばかり食べているので、正直言ってちょっと飽きてくる。

このレストランはアーチ建築の2階にあり、アルマス広場の夜景がきれいに見える。食後に夜景の写真を撮っていると、ウェイトレスが「屋上のほうがきれいだから」と言ってレストランの屋上に案内してくれた。下の写真が屋上から見たカテドラルとアルマス広場の夜景。

そろそろバスセンターに戻らないといけない時刻が近づいてきたので、これでアレキパ市街を離れることにした。今回は短時間で通過するだけになってしまったが、このアレキパの近郊には「カニョン・デル・コルカ」というグランドキャニオン並みの大峡谷があり、コンドルが舞う姿を見ることができるらしい。いつか訪れたいものだ。


タクシーでバスセンターに戻り、預けていた荷物を受け取ってから待合室でしばらく待つことにした。今回乗るのはアレキパ発ナスカ経由リマ行きで、ナスカには翌日の早朝に着くことになる。このアレキパ~リマ間は複数のバス会社が運行していて、帰国後に調べたところ「オルメーニョ社」のバスが最も豪華ということだったが、今回乗るのはちょっと安い “Flores Bus” というバス会社。(このオルメーニョ社のバスは、翌々日のナスカ~リマで乗ることができた)

ちょっと安いといっても、やがてやってきた2階建てバスはそんなに悪いものではなく、車内は満員だったもののわりと快適だった。夜8時半に出発した後、しばらくして軽食のサービスがあり(たしか骨付きチキンの入ったピラフのようなものだったが、残念ながらそれほど美味しくはなかった)、やがて周囲は寝静まってしまった。