国内旅行編(三重 / 元祖国際秘宝館再訪)

世古バス停で降りると目の前に秘宝館がある。約6年ぶりの再訪で、なんだか懐かしい。

さすがに営業最終日とあって各地から秘宝館マニアが集まっているらしく、駐車場はほぼ満車状態になっている。普段からこれだけ客があれば閉館になることはないのだが、時代の流れでは仕方がないのだろう。


館内に入る前に、少し周囲を歩いてみた。秘宝館の建物自体もあちこち剥げかかっていて、古びた印象になっていた。前回来たときに利用した漫画喫茶も閉鎖されているし、全体的に廃墟化が進行しているという感じがした。

閉館ということで各地から秘宝おじさんが集めてこられたらしく、一画に山積みになっていた。ちょっと哀愁を誘う風景だが、こうして回収してもらえるだけ幸せともいえる。

2018年に静岡県伊東市にある超B級スポット「まぼろし博覧会」を訪れた際、秘宝おじさんがたくさん集められている風景を見ることができた。そのときの風景は当サイト別館の以下の記事を参照。

すでにほとんどが廃棄されたと思っていたので、こんな風に保存してくれていたのは嬉しい。まぼろし博覧会の館長さんに感謝。

入口の前のクジラの生殖器は、まだ残っていた。以前はこの矢印の上に「伊勢志摩みやげ」という文字があり、みやげが生殖器を指しているように見えて面白かったのだが、この通り「伊勢志摩みやげ」の文字は別の場所に移されていた。

それでは、いよいよ秘宝館に入ることにする。階段の途中にある大量の張り紙は、前回来たときのままになっていた。

前回の訪問記にも書いたが「日本一のホモ太郎」「大女体池と女体丘」「への子林」「天女の舞」「八戒のブランコ」「ひらけモモ」「おいろけ射的」「伊勢の海女」「伊勢の遊郭」「飾り窓の女たち」「ビックリトイレ」「お色気スベリ台」「陰部神社」「スピンバスケットSEX」などなど、想像しただけで夜も眠れなくなるようなものばかり。

階段を上ると、いよいよ入口がある。鳥居や女神は、前回来たときのまま。

入場券売り場と、その横にある土産物コーナー。土産物コーナーは後で見ることにして、まずは秘宝館に入る。帽子を取って挨拶する秘宝おじさんの横でチケットを買い、館内へ。(前回来たときは料金は2,600円だったが、閉館前ということで2,000円に値下げされていた)

館内は残念ながら写真撮影禁止。最終日くらい撮影可になるかと思っていたが、ここは最後まで撮影禁止を通すらしい。通路の総延長が600メートルという日本最大規模の秘宝館に入り、これで見納めなので館内各所をしっかりと見ながら歩くことにした。

館内は多くの来訪者でにぎわっていた。前回来たときは客は私1人だったので、これだけ館内に人が多いのも不思議な感じがするが、かつて秘宝館全盛期もおそらくはこういう感じだったのだろう。来訪者は男性グループやカップルが多かったが、熱心にメモを取りながら1人で歩いている女性の姿も何度か見かけた。こういう場所に興味がある女性は案外多いのかもしれない。

まずはラクエル・ウェルチ(別府秘宝館でも見た、アメリカの女優)など、ロウ人形のコーナー。それから各種動物の標本(もちろん交尾した状態)が並んでいるエリア、拷問器具が並んでいる恐怖コーナー、陰部神社などを歩く。6年ぶりに見るので、どれもかなり懐かしい。

恐怖コーナーのロウ人形は本当によくできているので、破棄されるとしたらもったいない。誰か裕福な人が買い取ってくれないものだろうか。

それから、陰部神社の前を通ると次のようなアナウンスが流れる。

陰部神社を素通りする者は老若男女を問わずたちどころに珍罰満罰起こると思うべし。朝夕に春情を催せども性力突然として降り、女にありてはその泉は枯れはて冷感不感症の石女とあいなるべし。男にありてはおのが欲する時に役立たず陰毛カイカイ粗にしてもらす。いずれにしても家庭の不和は必定と心得るべし。アナカシコ。

なんだか書き写すのも恥ずかしくなるが、このアナウンスのイントネーションが伝えられないのが残念。せっかくなので、私も陰部神社は素通りせずに参拝してきた。

このあたりで、ちょっと不思議な感じがしてきた。最終日ということで館内はかなり人が多いのだが、その多くが自由に写真を撮っている。後で調べたところ、B級スポット愛好家の間では有名な「東海秘密倶楽部」のオフ会が行われていて、その参加者には写真撮影が許可されているということだった。事前に知っていれば私も参加申し込みをしたのだが、残念。

前回来たときも激しく感動した「壁一面に女体のパーツが貼り付けられたトンネル」を通り、先へ進む。このトンネルはまさに江戸川乱歩の「盲獣」の世界だと思う。触感は残念ながら実物とは違うが、視覚的には圧巻。乱歩マニアにはぜひとも見てほしい光景だった。

その後、手術風景のジオラマ(看護婦が胸を出している)やポルノ映画館(ずいぶんとテープが劣化している成人映画を上映中)を過ぎ「秘宝の里」へ。ここは昔話をモチーフにしたコーナーで、鬼とやっている桃太郎やら妙に色っぽいこぶとり爺さんやら、さらに「八戒のブランコ」の前には女体が実っている木があったり、最後まで笑える。

秘宝の里を出ると、いよいよ秘宝館は終わり。名残惜しいが、これで外へ出ることになる。本当に、これだけ素晴らしいスポットが消えてしまうのが残念だ。展示品の一部でも、誰かマニアが買い取って保存してくれたら嬉しいのだが。

以前来たときは、秘宝館を出ると「馬の交尾ショー」が行われていた場所へ続く通路があったのだが、ここはふさがれていた。担当者が辞めたときに馬の交尾ショーもやめたそうで、年間を通して馬を発情させるという技術は伝承されなかったという。前回来たときも馬の交尾ショーはやっていなかったので、結局私は一回も見ることができなかった。この元祖国際秘宝館に関しては、これだけが心残りとなった。

これで元祖国際秘宝館の鑑賞は終わり。館内の写真がないのが残念だという人は、以下のサイトを見てほしい。インターネット上ではほとんど見ることのできない館内の様子が公開されている。

映像で見たいという人は以下のDVDを購入してほしい。私は2枚とも持っているが、どちらも秘宝館マニアには入手して損はない出来だと思う。

再び正面から中に入り、チケット売り場横の土産物コーナーを見てみた。元祖国際秘宝館公式パンフレットはすでに通販で入手していたので、ここでは秘宝おじさんのシール(10枚で300円)と、お楽しみ福袋(1,000円)を購入した。福袋の中は、いくつかの宴会グッズの他「愛のローション」とアダルトビデオが1本入っていた。愛のローションは値段が1,000円と書かれていたので、これだけで元が取れたことになる。

それでは、名残惜しかったがそろそろ帰ることにした。駐車場を少し歩いた後、バス停へ行くと秘宝館マニアが十数人、バスを待っていた。

世古バス停で待っていると、やがて小型の路線バスがやってきた。車内は秘宝館マニアで満員になり、バスが動き出すと秘宝館に向かって誰からともなく「さよなら!」という声が上がっていた。時代の流れでは仕方がないのかもしれないが、秘宝館が消えていくのは本当に寂しいものだ。合掌。


バスで伊勢市駅に戻り、駅の待合室で赤福を食べながら少し休憩した。この旅行の約半年後、赤福は様々な問題を起こして営業停止処分(現在は営業再開)となるわけだが、このときはもちろんそんなことは知らず、異常に甘い伊勢名物をおいしく頂いた。

この後、せっかく伊勢に来たのだから伊勢神宮へ行ってみることにした。普通、伊勢を訪れる観光客は伊勢神宮参拝が目的だと思うが、私の場合は「秘宝館のついでに伊勢神宮」という何とも失礼な理由で訪れることになった。

日本の神社界の頂点に立つという伊勢神宮は、皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)に分かれていて、今回参拝したのは駅に近い外宮(祭神は豊受大御神)。鳥居をくぐると周囲は薄暗くなり、夕方ということもあって境内は少し閑散としていた。「二礼二拍手一礼」形式で参拝。

さすがに日本一神聖な場所ということもあって、境内には警備員らしき人が常駐していた。今回は行けなかったが、いつか内宮(祭神は天照大御神)にも参拝したい。

この後、伊勢市駅から松阪へ戻り、この日は松阪駅近くのビジネスホテル泊。

(2007.3.31)