南部アフリカ旅行記(ケープタウン / ウォーターフロント)

午前10時半、福岡空港を出発して乗り継ぎ地のシンガポールへ。やはりシンガポール航空は快適で、モニターで映画の「ファンタスティック・フォー」を見たりしていたらあっという間にシンガポールに到着した。今まで様々なエアラインに乗ったが、やはりシンガポール航空が No.1 だと思う。


シンガポール・チャンギ国際空港に午後3時半に到着した。ヨハネスブルグ行きの便が出るのが深夜2時過ぎなので、半日ほどの待ち時間がある。いったん入国することも考えたが、今回はトランジットエリアで休むことにした。

ところで、チャンギ空港のトランジットエリアで爆笑もののパンフレットを見つけたので紹介する。タイトルの「機内液体にほとんどの飛行を買い持って来ることができる」からして笑えるが、中身は見事に翻訳ソフトで訳した日本語だった。

<パンフレット全体>

「買物をすることはひっくり返る」というのが何かと思ったら “Shopping Tips” だった(ここは「買い物のヒント」と訳すべき)。しかしシンガポールには日本人が大勢いるのだから翻訳くらい頼めばいいと思うのだが。

深夜2時15分にシンガポールを出発。


朝6時半に南アフリカ・ヨハネスブルグ国際空港に到着した。シンガポールから約11時間のフライトだったが、ほとんど寝ていたので特に疲れなかった。入国審査の長い列に並び、私にとって24ヶ国目となる南アフリカ共和国に入国した。ブラックアフリカ(サハラ砂漠以南の黒人の人たちの国)には初めて来たが、南アフリカはその中でも特殊な国なので、行列に並んでいたのは黒人と白人が半々、あと日本人ツアー客も多かった。本当に日本人ツアー客はどの国に行っても見かける。

南アフリカの中心都市 Johannesburg については、日本ではかつてはヨハネスバーグと表記されていたが今はヨハネスブルグと表記されることが多い。南アフリカには11の公用語があり、そのうちのアフリカーンス語ではヨハネスブルフ、英語ではジョハネスバーグなので、結局どちらも現地の発音とは異なることになる。個人的にはヨハネスバーグのほうが好きなのだが、やはり現在の一般的な表記に合わせたほうがいいだろうということで、ここではヨハネスブルグと表記することにする。

銀行で米ドルを南アフリカの通貨ランドに両替したところ、1ランドは約17円だった。最近は日本の投資家の間でもランドは高金利通貨としてお馴染みになった感がある。

これから国内線に乗り継いでケープタウンへ向かう。国際線ターミナルを出て、少し離れた国内線ターミナルへ歩いて移動し、ブリティッシュエアウェイズのカウンターでチェックインを行った。考えてみればブリティッシュエアウェイズに乗るのは今回が初めて。

この空港には展望デッキがあったので行ってみた。ここではオレンジ一色の Fly Mango や緑一色の kulula.com など、かなりカラフルな飛行機を眺めることができた。

午前10時半にヨハネスブルグを出発してケープタウンへ。ケープタウンまでは約2時間のフライトで、国内路線だが軽食のサービスがあった。

下の写真は着陸前の飛行機からの眺め。いったん海上に出てからUターンするため、ケープタウンの海岸線と遠くに(おそらく)ケープ半島を眺めることができた。

昼1時10分にケープタウンに到着した。日本は夏だが、南アフリカは春なので少し涼しい。


ケープタウンは人口約300万人の大都市だが、空港はそれほど大きくはなく、出迎え客などで混雑していた。多くが黒人の人たちで、ここを見る限りではアパルトヘイトの名残は感じられない。

空港からシャトルバスでホテルへ向かう。シャトルバスといっても8人乗り程度のワンボックスカーで、宿泊するホテルの前まで連れて行ってくれる。南アフリカは公共交通機関が発達していない国なので、空港から市街へ向かう場合もシャトルバスかタクシーくらいしか手段がない。シャトルバスの料金は180ランドだった。

天気は快晴で、ケープタウンの名所「テーブルマウンテン」がはっきりと見える。さすがにアフリカ南部でもっとも発展している国だけにインフラも整備されていて、快適な移動だった。

20分ほどでケープタウン駅の近くにあるホテル “FOUNTAINS” に到着した。予想以上に規模の大きなホテルで、チェックインした後しばらく部屋で休憩。

下の写真がホテルの外観。

休憩後、外出することにした。この日の目的地はケープタウン市内のウォーターフロント地区で、名前の通り港に面した場所にあり、ホテルからの距離は2キロほど。警備員が常駐しているショッピング地区で、安心して歩くことができる場所とされている。

ホテルのスタッフにウォーターフロントへの行き方を尋ね「タクシーを使ったほうがいいか」と聞いたら「いや、歩いても行ける」ということだったので歩いていくことにした。道順を聞き、スタッフの「いろいろと話しかけてくる人がいますけど、一切相手にせず、目的地までまっすぐ歩いてください」という言葉に思い切り不安になりながら、ともかくも歩き始めた。

この日は日曜日。ガイドブックには「南アフリカでは土曜日の午後と日曜日には街中でもほとんど人通りがなくなる」と記載されていて、実際にその通りだった。近代的な街並みの中、まったくといっていいほど人が歩いていない。不気味なくらいガラーンとした中を足早に歩いていると、ごくまれに人が近づいてくるのが妙に怖い。

この翌々日、同様にホテルからウォーターフロント地区まで歩いたのだが、このときはビジネスマン風の人たちが多く歩いていて危険な感じはしなかった。曜日によってこれほど雰囲気が変わるものかと驚かされた。

金をせがんでくる若者に1人だけ遭遇したが、なんとか無事にウォーターフロント地区に到着した。しかし平日はともかく土日にウォーターフロント地区まで歩くのは勧められるものではないかもしれない。


ウォーターフロント地区に入ると、外の地区とは一転して大勢の観光客が歩いていた。まずは、ここにあるツーリストインフォメーションで翌日のツアーを予約した。喜望峰があるケープ半島は公共交通手段がないためツアーかレンタカーくらいしか行く手段がない。ここでは、ハウト湾、喜望峰、ケープポイント、ボルダーズビーチなどケープ半島を一周する1日ツアーを選択した。ツアー料金は480ランド。

翌日の予定も決まり、あとは夜までウォーターフロント地区を散策してすごした。それほど広くはなく、歩いているとすぐに一周できる。

ツーリストインフォメーションの前にあるのが時計台。

時計台の横にロベン島へ行く船の乗り場がある。ロベン島というのはかつてアパルトヘイト時代に政治犯のための刑務所があった島で、現在は観光地として整備されている。この島へは個人で渡ることはできず、ツアーに参加することになる。

人気のあるツアーらしく、この日のチケットはすべて売り切れていた。ちょっと興味のある場所なので、ここは翌々日に訪れることにした。

ここから橋を渡り、ショッピングセンターが立ち並んでいるエリアへ。この橋はヨットなどマストの高い船が通るときは回転するようになっている。

橋を渡ったところに世界各都市への距離と方角が表示されていた。地球一周が約4万キロなので、日本の反対側に近い場所にいることが実感される。しかしなぜ東京ではなく大阪?

土産物店を見たりしながら歩いていくと大道芸人のエリアがあった。なかなか面白かったので、しばらく眺めた後コインを数枚置いてきた。下の写真は火の下をくぐる芸人。

ビクトリアワーフという大型のショッピングセンターの前に世界各国の国旗が掲げられていた。下の写真はショッピングセンター前から港の方向を写したもの。

ここで日本の国旗を探してみて、かなり驚いた。

なぜ旭日旗?

以下、ウォーターフロント地区の主な風景を載せておく。それほど広いわけではないが、様々な大道芸人や土産物店、大型スーパーマーケットなどがあり、歩いていると飽きない。遠くにはテーブルマウンテンも眺めることができる。

夜になると、かなりきれいな夜景を眺めることができる。ただし、この時間になるとときどき物乞いをする人たちが現れるようになる。

この日は到着初日ということであまり精力的に観光地を回ることはせず、ウォーターフロント地区を散策するだけにしておいた。ビクトリアワーフショッピングセンター内のフードコートで夕食を取り、帰りはタクシーでホテルへ戻った。フードコートといってもハンバーガー店、寿司店、タイフード店など数軒しかない小規模なものだったが、他には高そうなレストランばかりが並んでいたので、おそらくここがウォーターフロントで最も安く食事ができるところだと思う。

ホテルまでのタクシー料金は約30ランドだったが、ホテルに到着してもメーターが止まらない。財布から金を取り出している間にも金額が次第に上がっていく。これは、この後にケープタウンで乗ったどのタクシーも同様だったので、ここでは「タクシーのメーターは降りるまで止まらない」と考えておいてよいと思う。目的地に着いたらすぐにメーターを確認し、その金額を払ってさっさと降りるようにしないといけない。これからケープタウンを訪れる人は、タクシーに乗る際にこのことに注意しておいてほしい。


部屋に戻ると、ここでカメラにトラブルが発生した。私は未だにデジタルカメラではなく普通のフィルムカメラを使っているのだが、撮り終わったフィルムが巻き戻せなくなった。部屋を真っ暗にしてカメラを開けてみたが、どこかが引っかかっているらしくフィルムを取り出すことができない。無理に引っ張ると切れそうな感じだったので、諦めてこのまま日本へ持って帰ることにした。

どうしたものかと思ったが、ウォーターフロント地区のカメラ店ならフィルムカメラを扱っているかもしれないと思い、再びウォーターフロントへ戻ることにした。

時刻は8時半過ぎ、大急ぎでタクシーに乗ってウォーターフロントへ戻ると、幸いにもまだ開いているカメラ店があった。展示してあるのはデジタルカメラばかりだったが、店員に聞いてみたら1種類だけ OLYMPUS のフィルムカメラがあるということで、それを購入することができた。値段は189ランド(約3,200円)で、これで日本から持ってきた十数本のフィルムが無駄にならずに済んだ。

故障したカメラについては、帰国後にカメラ店でフィルムを取り出してもらうことができた。原因を調べてもらったら、巻き戻すためのモーターが動作していないということだった。1998年のアイルランド旅行前に買って以来、10年ほど愛用してきたが、とうとう寿命が来たらしい。次回の旅行からは私もデジタルカメラに乗り換えることにする。

無事にカメラも入手でき、再度タクシーでホテルへ戻った。それにしても故障がわかったのがケープタウン到着日で良かったと思う。翌日のケープ半島1日ツアー中だったら、喜望峰などの写真が撮れなくなるところだった。最悪の事態は回避でき、ほっと一安心。