南部アフリカ旅行記(ビクトリアフォールズ / ザンビア側)

ビクトリアフォールズ滞在2日目。この日はザンビアに入国してザンビア側のビクトリアフォールズ公園を歩くことにしていた。ザンビア側ではジンバブエ側とは違って滝の対岸だけでなく水が流れ落ちている縁まで行くことができた。


朝10時にホテルを出て、歩いて出入国管理所へ向かう。ビクトリアフォールズ公園の入口の前を通り過ぎ、やがて出入国管理所に到着した。

下の写真の奥に見える小さな建物が出入国管理所。近くから写真を撮っていいのかどうかわからなかったため遠くから控えめに撮ってみた。

まずはジンバブエをいったん出国する。ジンバブエにはシングルエントリービザで入国しているので、本来なら出国すればビザは無効になるわけだが、ここからザンビアへ日帰りで向かう場合は特別にシングルエントリービザで再入国できるようになっている。

窓口にパスポートを出し、出国スタンプを押してもらう。窓口は意外と混んでいて、両国間を行き来している人はかなり多いようだった。

窓口では、パスポートを返してもらう際にスタンプを押した紙切れを一緒に渡される。最初はこの紙切れの意味がわからなかったが、建物を出るとゲートがあり、ここで係員が紙切れを回収していた。この紙切れを渡さないとゲートを通れないようになっていたので、これからここを旅行する人はこの紙切れは忘れずに受け取るように。

ゲートを抜けると片側にフェンスが設置された道路がザンビア側へ続いている。いわばトランジットエリアといったところ。

地元の人たちにとっても物資の輸送ルートになっているらしく、頭の上に荷物を載せた人たちが何人も歩いている。荷物をまったく手で支えずに平然と歩いている人も多くいて、よくこんなにうまくバランスを取れるものだと感心してしまう。

やがて国境のビクトリアフォールズ橋が現れる。ここが本当の国境で、橋の中央に “Zimbabwe”, “Zambia” と表示されている。

ここで、今までに飛行機以外で国境を越えたケースが何回あったか思い出してみるとイギリス~アイルランド(フェリー)、ロシア~エストニア(鉄道)、エストニア~ラトビア(鉄道)、タイ~ラオス(バス)、ラオス~タイ(バス)の5回だった。今回が6回目ということになるが、考えてみれば「徒歩での国境越え」は今回が初めてになる。「いつか歩いて国境を越えてみたい」と考えていたので橋を渡るときは感慨深いものがあった。

しかし、ここは橋の上なので厳密に言えば「地面の上」ではない。次は「地面の上の国境」を歩いて越えてみたい。

橋の上からの眺め。滝から落ちた水が急流を流れてくるのが見える。

このビクトリアフォールズ橋では、中央からバンジージャンプができる。もちろんやってみるつもりだが、ここはまずザンビア側へ向かう。

橋を渡って少し歩くとザンビア側の出入国管理所がある。こちらも控えめに写真を撮ってみた。

ここで10ドルを払って日帰りビザを取得し、ザンビアに入国した。私にとって26ヶ国目だが、おそらくこの26ヶ国の中で日本人にとってもっともマイナーな国だと思う。そういう国に入国したことに対して自分でもなんだか感心する。


出入国管理所からしばらく歩くとザンビア側ビクトリアフォールズ公園のゲートがある。

この先に公園の入口があり、数軒の土産物店が並んでいる。ここで10ドルを払ってチケットを買い、公園の中に入る。

公園に入ると、先ほど渡ってきたビクトリアフォールズ橋が遠くに見える。

ますは南側の崖に沿って西へ進む。下の写真の橋は「ナイフエッジブリッジ」という名前で、水が多い時期には上下左右から水飛沫が飛んでくるため水の中を歩いているような感じになるそうだが、今は安心して渡ることができる。

橋を渡ったあたりからの眺め。今の季節はところどころに滝が見える程度。それぞれの滝はそれなりの大きさなのだが、周囲の景色が巨大なため細い滝に見える。

遊歩道の端まで行くと、滝を流れ落ちた水がはるか眼下を流れていくのが見える。川の向こうは前日に歩いたジンバブエ側のビクトリアフォールズ公園になる。

ここで引き返し、続いて滝がある北側の崖に移る。

水が多い時期は滝の北側にはとても近寄れないらしいが、今は岩が露出しているため歩き回ることができる。この直後に100メートルほど落ちるとは思えないような、かなり静かな流れになっている。

ここから見た滝の南側の崖。こちら側から見るとほぼ垂直に切り立っているのがわかる。先ほどはあの崖の縁から下を見下ろしたりもしていたわけだが、こうしてみるとちょっと怖いという気もする。

崖の縁に沿って西へ進む。やがて、わりと大きな滝が近づいてくる。横から見ると、かなり迫力を感じる。

水が流れ落ちている縁の辺りで、下を覗き込んでみた。こういう「足元から垂直に100メートルほど水が流れ落ちている風景」というのも、そう見ることはできないだろう。世界でも、こういう景色が見られるのは「水が少ない時期のビクトリアフォールズ」くらいではないかと思われる。水が多い時期には見ることができない絶景といえる。

いつものことだが、こういう場所へ来ると下を見下ろした写真を撮りたくなる。このサイトではおなじみの「高いところから自分の足先が写るようにして下を見下ろした写真」を撮ってみた。高所恐怖症の人にとっては、こういう写真を見ただけで怖くなるものらしい。

この後もしばらく滝の上流側を散策してみた。あちこちに岩が露出しているので、広範囲を歩き回ることができる。もっとも、岩場の間には川が流れているので、かなり注意して歩いたがそれでもズボンの膝から下がかなり濡れてしまった。

ただし、あまり先まで行くとザンビアを出てジンバブエに入ってしまう。このため、行き過ぎないように注意しないといけない。

滝の上流側では水浴びをして楽しんでいる地元の人たちも何人かいた。どこから来たのか聞かれたので、日本と答えるとみんな一様に “Japan, Zambia, Friend !” と話していた。この旅行のときは知らなかったのだが、帰国後にインターネットで調べてみると日本はかなりザンビアに経済援助しているそうで、その額はアフリカ諸国の中で3番目に多いということだった。また、いろいろな事情により中国に対する感情が悪化していることの反動もあって、実はザンビアはかなり親日家が多い国らしい。

ここで会った人と崖の縁で一緒に写真を撮ってみた。ズボンがかなり濡れているのがわかると思う。

それにしても、一般に黒人の人たちはみんなかなり強そうに見えてしまう。こういう人たちとはけんかしたくない。

地元の人たちと別れ、もう少し公園内を歩いた後、帰ることにした。ジンバブエ側とは違って滝の縁まで行くことができたり、水浴びしている地元の人たちと会ったり、なかなか楽しかった。時間がなくてザンビアには入国しない旅行者も多いようだが、やはりそれはもったいない。水が多い時期もザンビア側から見たほうが迫力を感じるという話もあるし、ビクトリアフォールズを旅行する場合はぜひザンビアにも入国してみてほしいと思う。


公園を出て出入国管理所へ。ザンビアを出国し、再びジンバブエ側へ戻ることになる。私がザンビアに入国していた時間は10時半~3時半の約5時間だった。

トランジットエリアを歩き、国境のビクトリアフォールズ橋へ向かう。

ビクトリアフォールズ橋では、ちょうど他の旅行者がバンジージャンプをやるところだった。欧米人の女性旅行者で、横から見ていてもかなりの迫力を感じる。

ジャンプ後は係りの人がワイヤーを使って下りてきて、上まで引っ張り上げてくれる。今まで落ちるところはTV等で何度も見たことがあるが、上がってくるところは見たことがなかったので、こんな仕組みになっているのかと感心した。

実は、本来の予定ではザンビアからの帰りにバンジージャンプをやってみるつもりだった。しかしながら、この日の朝うっかりホテルのセーフティボックスに予備の現金を入れたままにしてきてしまい、このときは十分なお金を持っていなかった。値段を聞いてみたらバンジージャンプの料金は90ドルだという。約1万円を払ってこんなことをやるのも、興味がない人にとっては馬鹿じゃないのかと思うのかもしれないが、やはり私はやってみたい。

翌日は朝11時にホテルを出て空港へ向かうことになる。営業時間を聞いてみたら朝9時からということだったので、バンジージャンプをやってみる時間はありそう。そこで翌日また来ることにして、係りの人に “I’ll be back again.” と言ってビクトリアフォールズ橋を後にした。

翌日のバンジージャンプを想像しながらトランジットエリアを歩き、再びジンバブエに入国していったんホテルに戻った。


ホテルでズボンを履き替え、外出することにした。今回の旅行では予備のズボンを持ってきていたので助かった。

ガイドブックの地図を見ると、ここから2キロほどのところにビッグツリーという巨大なバオバブの木があるということなのでそこへ行ってみることにした。時間を考えると、暗くなる前に戻ってこれそう。

市街から一本道を北へ向かって歩く。市街地のはずれに、高いホテルばかりのビクトリアフォールズで唯一のバックパッカー向け宿泊施設といっていいキャンプ場があり、そこを過ぎると周囲にはサバンナのような平原が広がる。

距離を考えると30分ほどでビッグツリーに着くはずなのだが、なかなかそれらしい案内などが見えてこない。次第に心配になりながら歩き続けた。

かなり不安に思ってきたころ、路肩に停車しているマイクロバスが見えてきた。ちょうど十数人の乗客が乗り込んでいるところだったので、そこで聞いてみるとやはり道を間違えていた。現在地はビッグツリーのかなり西側、エレファントヒルズホテルの近くだった。

ガイドブックの地図では、道なりに歩いていけばビッグツリー、途中で左へ折れるとエレファントヒルズホテル方面ということになっているが、実際は道なりに歩けばエレファントヒルズ、途中で右に折れるとビッグツリー方面だった。これからビックツリーへ歩いて行くことを考えている人は注意してほしい。

私が道を間違えてここまで来たことに対してバスの人たちは苦笑していたが、もう太陽も地平線に近づいているし、見かねて市街地まで送ってくれるという。私もビッグツリーは諦め、市街地へ戻ることにした。このバスはエレファントヒルズホテル(5ツ星)の送迎バスで、私が宿泊している THE KINGDOM よりもランクが上のホテルらしい。

送迎バスといっても乗っているのは宿泊客でなく、この時間は従業員の帰宅用に使われているらしくホテルの制服を着た人たちばかりが乗っている。隣に座っていたモーガン・フリーマンみたいな感じの初老の男性といろいろと話をしたり、ビッグツリーへの分かれ道を教えてもらったりしているうちに、40分ほど歩いてきた道を5分ほどで市街地に戻ってきた。バスの人たちにお礼を言い「次回ここへ来るときはエレファントヒルズホテルに泊まります」と伝えてからバスを降りた。

降りたのはセブンイレブンの近く。しばらく周囲を散策し、やがて薄暗くなってきたのでホテルに戻った。セブンイレブンの近くに “SPAR” もあったが、こちらは前日に続いて閉まっていた。日本では “SPAR” はコンビニエンスストアだが、こちらではわりと大きなスーパーで(しかし店のロゴは日本と同じ)、ハイパーインフレによる物不足のため一時的に閉店しているような感じだったが、詳しいことはわからなかった。