済州島旅行記(済州競馬公園)

済州ラブランドから20分ほどで済州島の競馬場「済州競馬公園」に到着した。

旅行前に済州島についていろいろと調べたところ小さな競馬場があることがわかり、もともと競馬は好きなので今回訪れてみることにした。私にとって、外国で競馬場を訪れるのはベトナム・ホーチミンのフートー競馬場についで2ヶ所目となる。


かなり立派な入場門があり、ここで料金の850ウォンを払って中に入る。競馬公園というだけあって競馬場以外にも広場や庭園などがよく整備されている。馬車もいたりして、散策している市民も多かった。

まずは競馬場のスタンド内に入ったところ、建物内が予想以上にきれいなことに驚かされた。無論、世界最大の胴元といわれるJRAの競馬場と比べるのは酷だが、日本の地方競馬場や競輪場などよりはきれいと言っていいと思う。

上の写真が、スタンド前の風景。いやあ、いるわいるわ、人間のクズども・・・じゃなくて熱心な競馬ファンが。競馬新聞やモニターのオッズを真剣に眺めている光景は、日本の競馬場と変わらない。まったく、土曜日だというのに他にやることはないんかい、なんてことを思ったりもするが、まあ私も旅行に出ていないときの土日は似たようなもの。

昼食がまだだったので、スタンド内の小さな食堂で小龍包(かなりうまい)を食べてから、コースとパドックを見に行くことにした。芝コースはなくダートのみだが、かなりきれいといっていい。電光掲示板や大型ビジョンなどもなかなか立派なもので、ゴールの横には済州島名物のトルハルバン(島の守護神とされている石像)もある。

下の写真が、スタンドから見たパドックの全景。まずまずの広さと言っていいだろう。パドックの横には飲み物や軽食の売店も並んでいて、この日はちょっと寒かったので、ここで何度か缶コーヒーを買うことになった。缶コーヒーの値段は500ウォン(約60円)で、日本の約半額。

スタンドではレースプログラムなども配られているのだが、表記はもちろんハングルのみ。それはまあいいとして、問題はマークシートもほとんどがハングルということ。”RACE COURSE” は済州島だから “J” でいいというのはわかったし、レース番号や馬番号もわかる。馬券の種類についても、”W” が単勝、”P” が複勝、”E” が馬単、”Q” が馬連、”Q-P” がワイドというのは推定できるが、困ったのが “AMOUNT” の欄で、数字の単位がわからない。

これがマークシート

まさか最低購入金額が100ウォン(約12円)ということはないだろうから、おそらく一番左が1,000ウォンだろうと思い、最初のレースでは3,000ウォンを購入しようとした。ところが、実際に窓口で購入してみたところ、なんと一番左は100ウォンだった。というわけで、最初のレースは300ウォン(約36円)分の馬券を持って観戦することになった。

やがてレースが始まった。レース中の雰囲気はかなり熱く、相当に盛り上がっている。私がコース前の柵に寄りかかってレースを見ていたときなど、すぐ後ろで「3番!、3番!」と大声を出していたおばさんがいて(発音が日本語とほぼ同じ「サンバン」だったので、おそらく3番という意味だと思う)、そのまま卒倒するのではないかというくらいの勢いだった。下の写真はゴール付近の光景。

このように、日本と同様にサラブレッドが走るレースがほとんどで、先行した馬が明らかに有利なところなど、レースの様子は日本の地方競馬場とそれほど変わらない。しかしながら、ここでは1レースだけ、まったく違う感じの馬が走るレースがある。済州島固有の「チョランマル」という小型馬で、このレースを見ることがこの競馬場を訪れた一番の目的といっていい。

やがて、チョランマルが走るレースが始まった。下の写真を見れば、馬の頭が人間の頭より低い位置にあり、かなり小さな馬ということがわかると思う。ちょっと調べてみたところ、チョランマルは元寇の際にモンゴル軍が連れてきた馬の子孫ということだった。

パドックを周回中のチョランマル。日本の競馬を見慣れた者からすると、なんだか人間が大きく見える。サラブレッドとは違い、馬体にいろいろと模様があったりして、かなりかわいらしい感じがする。

済州島の人たちもチョランマルには愛着があるらしく、レース中はかなりの声援が上がっていた。

下の写真は、レース中の風景とレースを終えて戻ってきたチョランマル。

サラブレッドほどの迫力はないかもしれないが、しかしちょっとかわいい感じで面白かった。最近は、このチョランマルを観光資源にして、この競馬場をもっと観光客が多く訪れるようなスポットにするという計画もあるようだが、このときはまだ日本人観光客らしい人はまったく見かけなかった。しかし、数年後には日本人ツアー客が訪れる定番スポットになっているかもしれない。

この競馬場はスタンドの周りにもいろいろと公園が作られているので、レースの合間に散策してみた。その中でも一番良かったのがポニーなどの小型馬が見られるコーナーで、これは日本の競馬場でもやってほしいと思う。

ここで小型馬が見られるのはレース開催中だけらしく、最終レース前に再び行ってみたら馬運車がやってきて馬の運送が始まるところだった。柵から出されて馬運車へ入る途中、あちこちを走り回っていたので、ちょっといい写真を撮ることができた。

やはり小さな馬はかわいいものだ。

午後5時半、最終の第10レースが終わり、旧済州市街へ戻ることにした。2レースほどが的中したものの、収支はマイナス。まあ、情報もほとんどないことだし、これでプラスにするほうが無理だろう。チョランマルのレースも見られたことだし、なかなか楽しかった。


競馬場の門を出ると、タクシーが十数台ほど待機していた。すでに客が乗っているタクシーも、運転手が行き先を言いながら客集めをしていたので、どうやら乗り合いタクシーというシステムになっているらしい。運転手の一人に「クチェジュ(旧済州)」と言うと、その方面へ行くタクシーを教えてくれた。

タクシーに乗り、運転手に「チュアン・ロータリー(中央ロータリー)」と伝えてから、しばらく車内で待機。運転手の客集めの結果、あと2人が乗ってきて、旧済州方面へ向かうことになった。

旧済州に近づくと次第に周囲は渋滞してきて、すっかり暗くなったころに中央ロータリーに着いた。他の乗客2人はいずれも途中で降りていったが、見ているとそれぞれ降りる時点でのメーターの金額を払っていた。これだと一回の運転で数人分の料金を得ることができるわけで、競馬場で運転手たちが一生懸命に客集めをしていた理由が理解できた。

料金の15,200ウォンを払ってタクシーを降り、昨日に続いて中央ロータリー地下の商店街で夕食を取ってから、しばらく周囲を散策してみた。さすがに土曜の夜ということで人出は多く、人ごみに混じって市場やデパートの中を歩いたあと、ホテルへ戻った。


翌日、朝9時半にホテルをチェックアウトして歩いて旧済州市街へ。済州島を発つのが午後1時半なので、それまで散策することにしていた。

中央ロータリーを過ぎると、やがて海岸に出る。ここで防波堤に沿って歩いていると、タコがいたり海女さんがいたりする。(クリックで海女さんが拡大)

しかしずいぶんと艶かしい海女さんだ。

この後、近くにあったEマートという大型ショッピングセンターで土産物などを買うことにした。帰国後に周囲に配る土産物は、こういうショッピングセンターで買うのが一番だと思う。

途中、Eマートの最上階にあるフードコートで昼食。

注文したのは冷麺。今回の済州島旅行で初めての韓国らしい食事といえる。しかし、はさみで麺を切りながら食べるというのも初めての体験だった。

味は十分にうまいのだが、さすがに今の季節はちょっと寒くなる。ピビンバか何かにしておけばよかったと、少し後悔。

Eマートの前からタクシーで空港へ行き、12時に韓国を出国して福岡へ帰った。今回が私にとって初めての韓国旅行だったが、済州島は治安はいいし、食べ物はうまいし、人は親切だし、いい島だと思う。次は韓国本土を旅行してみたい。


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