台湾旅行記(石門 / 金剛宮)

台湾最北端の石門郷という場所に、今回の台湾旅行での一番の目的地である「金剛宮」という寺院がある。日本人観光客など滅多に来ることのない最果ての地で、ものすごい姿をした神像を見ることができた。

この金剛宮については、写真が多いのでページを2つに分けている。


なぜ今回この寺院を訪れたのかというと、私がときどき旅行の参考にさせてもらっている以下のサイトで、この寺が取り上げられていたため。

この珍寺大道場を運営されているKさんの旅行記から、この寺院の中にまさに驚愕の姿をした神様の像があることがわかり、ぜひとも見たいと思ったので訪れることにした。

ちなみにこの金剛宮については、旅行前に書店で台湾のガイドブック(地球の歩き方、個人旅行、ワールドガイド等)を一通り見てみても、どのガイドブックにもまったく記載されていなかった。そのため、ここを訪れたことのある日本人は極めて少ないと思われる。実際、私が日本人とわかると寺の人や他の参拝者はかなり珍しがって、いろいろと親切にしてくれた。


淡水を出発したバスは、海沿いを快調に飛ばし、基隆方面へ向かう。目的地の金剛宮は、台湾最北端に近い「石門郷」という地区にある。詳しい場所はわからなかったので、途中の三芝という町を過ぎたあたりから「金剛宮」という文字が現れないかと思い、周囲の景色を注意して眺めることにした。そして、淡水から約40分、「新十八王公」という寺の前で金剛宮の看板を発見! さらに車窓から寺の門を眺めることができた。

しかしながら、ここで降りるとは運転手に伝えていないので、当然ながらバスは止まらない。どうしようかと考えたが、せっかくなのでこのまま石門まで行くことにした。時間は十分あるし、そうそう来る機会のない町だと思うので、少し石門を歩いてみることにしたわけである。

新十八王公から5分ほどで石門のバス停に到着した。しかしながら、周囲をちょっと歩いたものの特に何もない町だったので、すぐに金剛宮へ戻ることにした。下の写真は、石門を歩いているときに見かけた台湾総統候補、国民党の馬英九氏の看板。

実は今回の台湾旅行中に総統選挙があり、旅行前は多くの人から「選挙を見に行くのか?」と言われたが、まったくの偶然でたまたま選挙だっただけ。

石門のバス停で淡水行きのバスを待っていると、対立候補、民進党の謝長廷氏の選挙カーがやってきた。

音楽を鳴らしながら十数台の車を連ねて通り過ぎていったが、日本とは違って候補者の名前を大声で連呼したりはしない。こういう名前の連呼は日本だけの悪習と思うので、個人的にはやめてほしいと思う。


やがて淡水行きのバスが来たので、新十八王公へ向かった。なお、この区間のバス料金は20元だった。

(注)2019年時点で、バス停の名前が「新十八王公」から「富基漁港」に変わっていました。詳しくは次の「金剛宮 / 地獄風景」のページを参照。

バスを降り、少し歩くと金剛宮が見えてくる。

では、早速門の中に入る。中は小さな駐車場になっていて、その周囲にもいくつか派手な神様が並んでいる。そして、寺院の入口は龍の形をしている。

ところで、寺院なのになぜ神様なのかという疑問が浮かぶが、実は台湾では仏教と道教がかなり混在していて、どの寺院も神仏混交が甚だしいのである。そのため、寺院に神像があってもみんな特に気にしない。

龍の入口を入ると、様々なブロンズ像が並ぶ通路が続いている。このブロンズ像は、古来からの親孝行のベスト場面を再現したものだそうである。

通路の先には、本尊が安置されている八角形のお堂がある。中央に安置されているのが、四方に顔を持つ四面佛。この寺の外壁に「泰國四面佛」と書かれていたことから、タイが起源の仏像ということがわかる。

ここにいると、わりと頻繁に参拝者がやってくる。参拝の仕方を見ていると、長い線香(花火くらいの長さ)を数本持ち、四面佛を一回りしながらそれぞれの顔の前に線香を差し出して参拝を繰り返している。私もそれに習い、四面佛を一回りして参拝してきた。

それでは、参拝を終えたので先へ進むことにする。寺院内には神様をモデルにした様々な場面が作られていて、見ていると面白い。下の写真は四面佛の近くに作られていたもので、最初は晩餐風景かと思ったがテーブルの上にいるのは小型サイズの神様たち。どういう光景なのかよくわからない。

2階に上がると、長い回廊が続いている。様々な神像を楽しみながら先へ進む。

「金玉満堂」と書かれていた区画。中央に座っていた神様がなんだか錦野旦に似ていたのでアップで写真を撮ってみた。

この部屋の中は、おそらくは神様の授業風景が作られていた。

ガラス越しに覗き込んでみたところ、後ろには父母らしき人たちも座っていた。授業参観なのだろうか。

しかし頭に載せている冠は脱いだほうがいいと思う。これでは後ろの人は前が見えない。

長い回廊の壁際には、大勢の神様がずらりと並んでいる。そして、この列の中に今回の目当ての神様がいるのである。

この神様の列の端のほうにいました! 今回どうしても見たかった神様が。

下の写真がその神様なのだが、驚愕の姿がわかるだろうか。これを見ると、私も珍寺大道場のK氏と同じ反応にならざるを得ない。

うわあっ! 目から手があっ!!!

いやあ、やはり実際に見ると強烈だ。この姿を見るために台湾へ来たわけだが、十分その価値はあった。実に素晴らしい!

目から手が出てさらに手のひらに目があるわけだから、普通に考えれば「あらゆる方向を見渡すことのできる神様」ということなのではないかと思うが、それにしてもこの造形は見事。関節の辺りの作りがちょっと雑に見えなくもないが、そういうのは気にしない。

驚愕の神様を見ることができ、今回の台湾旅行最大の目的は果たせた。ほっと一安心。


目当ての神像は無事に見ることができたが、しかし寺院はまだ先へ続いている。進んでいくと、いったん屋外の回廊に出て、十八羅漢がずらりと並んでいた。

十八羅漢の先には4階建ての大きな建物がある。ここの1階に大きな涅槃像がある。

この建物の最上階には五百羅漢がずらりと並んでいて壮観だった。五百羅漢の間を細い通路が続いている。

一体一体、格好と表情が違う五百羅漢を見ながら通路を一回りしてみた。

以下、金剛宮その2へ続く。