ヨルダン旅行記(アカバ~アンマン)

アカバ滞在最終日。この日のうちに首都のアンマンに戻ることになる。あと何日か滞在し、紅海でのバカンスを楽しみたいものだが日程上仕方がない。


朝9時半にホテルをチェックアウト。すぐにアンマンへ向けて出発してもいいが、せっかくなので荷物をフロントに預けて公共ビーチ周辺を散策することにした。

公共ビーチはすでに多くの海水浴客でにぎわっている。付近には露店も多い。

ビーチに並んでいる「海の家」のような感じの露店に入り、ジュースを飲みながら周囲を観察してみた。ここは海の透明度が今ひとつということもあり、外国人の姿はまったく見られず、ほとんど地元ヨルダン人専用のビーチになっている。また、前日と同様に泳いでいるのは男性だけで、女性は浅いところで服を着たまま水浴びをやっている。もし、ここに外国人女性が水着姿で現れようものなら痛いほどの視線を浴びることだろう。

露店で休んでいると、なんと馬がやってきた。見事な白馬だが、何かの見世物だったのか、詳しいことは結局わからなかった。

ビーチ周辺をしばらく散策した後、ホテルに戻って荷物を受け取り、バスセンターに移動した。当初はバスでアンマンへ戻るつもりだったが、バスセンターの隣にあるセルビス乗り場の客引きに声を掛けられ、気が変わってセルビスを利用することにした。後になって、この判断が正解だったことがわかった。

セルビスというのはサービスタクシーのことで、おそらくはアラビア語読みでセルビスになる。各都市間などの長距離を運行している乗り合いタクシーで、乗客が集まってから出発するというシステムになっている。アンマンからアカバまでは路線バスを利用したので、セルビスに乗るのは今回が初めて。

ヨルダンの路線バスは、ごく一部の路線を除いて決まった出発時刻がなく「満員になったら出発する」というシステムになっている。この点は路線バスとセルビスは同じだが、乗客数が大違いでセルビスは3~4人で出発するのに対し路線バスは数十人が集まらないといけない。このため路線バスは出発まで半日かかることもあるそうだが、セルビスはわりと出発しやすくなっている。

このときは私がアンマンまでの最初の乗客だったため、出発まで待機することになった。他の乗客が現れるのをひたすら待つが、なかなか集まらない。バス乗り場を見るとアンマン行きの大型バスが停車していてときどき乗客が乗り込んで行くが、満員には程遠いらしく、こちらもなかなか出発しそうにない。

下の写真は待機中に撮ったもの。白い車体がセルビスで、奥にバスも写っている。

結局、待ち始めてから1時間半、1時15分になって乗客がそろい、アンマンへ向かって出発した。バスはまだ停車したままだったので、結果的にセルビスを選んでおいてよかったということになる。ちなみにアンマンまでの料金は8.5ディナールで、路線バスよりはやや割高。

車内は、足を怪我して松葉杖を使っている人が助手席に座り、小さな子供を連れた夫婦と私が後ろに座った。つまり後部座席は大人3人と子供1人になり、ちょっと狭い。

アカバは関税のかからないフリーポートなので、町を出る際に荷物のチェックがある。ハイウェイ沿いにチェックポイントが設けてあり、ここで役人が荷物の確認を行うが、私の場合は外国人ということもあって特に厳しくは調べられずバッグの中を簡単に確認しただけだった。

チェックポイントを過ぎると、後はデザートハイウェイをひたすら走る。

移動中、遠くに竜巻を見ることもできた。

ハイウェイ沿いの小さな店でトイレ休憩があり、夕方5時半、アンマン郊外のバスターミナルに到着した。アカバから約4時間のドライブで、座席が少し窮屈だったこともあって疲れたが、しかし楽しかった。子供連れの夫婦に別れの挨拶をして、タクシーでダウンタウンへ向かうことにした。


タクシーを降りたのは4日前に滞在していたキング・ファイサル通り付近。この通り周辺には安宿がたくさん並んでいるが、今回はその中から「クリフホテル」に宿泊することにした。

この建物の3階がホテルになっている。

3階に上がるとフロントがあり、泊まれるかどうか聞いたところシングルは空いていないがツインでよければ空きがあるということだった。値段はシングルより高く1泊9ディナールになる。(シングルだったら5ディナール)

今回このホテルに泊まったのは、ちょっとした理由がある。2004年に香田証生さんという人がイラクで殺害されるという事件があったが、あの香田さんがイラクへ出発する前に最後に泊まったのがこのクリフホテル。ここでホテルのスタッフにバグダッドへ行く手段について相談を行い、スタッフが止めるのを聞かずにイラクへ行ってしまった。

この当時とはスタッフも変わっているため、このホテルに泊まったからといって当時の話が聞けるわけではないが、好奇心から泊まってみた。部屋はやや殺風景で、典型的な安宿という感じ。もちろんツインルームなのでここが香田さんが宿泊した部屋というわけではないと思う。

少し休憩し、散策に出かけることにした。


夕方で涼しいこともあって人通りが多く、街中は多くの人であふれている。アンマンのダウンタウンは品物の種類ごとに多くの市場があり、歩いていると洋服店が集まっている地区、靴屋が集まっている地区、薬屋が集まっている地区などが次々と現れる。散策していると面白い。

食料品の市場も、区画ごとに肉、魚、野菜などに分かれている。下の写真は果物のエリア。

果物はかなり豊富で、色も鮮やかだと思う。買っていこうかとも思ったが、泊まっている部屋に冷蔵庫がないこともあり、やめておいた。

さらに散策を続け、キング・ファイサル通りにある「ハーシェム」という安食堂で夕食をとってからホテルに戻った。

シャワーを浴びた後、通りに面したベランダで涼みながら休憩。ベランダには宿泊客用に椅子がいくつか置いてあり、欧米人観光客が何人か涼んでいる。通りの喧騒を眺めていると面白い。

クラクションを鳴らしまくりのタクシーや、ときどき行われている警察官による交通違反取締りを眺めた後、部屋に戻った。翌日はいよいよヨルダン滞在最終日で、アンマン城を見ることにしている。