ベトナム旅行記(ハノイ / ホーチミン廟、軍事博物館)

ハノイ滞在2日目。この日はハノイ市内のスポットをいくつか回ることにしていた。翌日から3日連続でハノイ発のツアーに参加し、その次の日はハイフォンへ行くことにしているので、市内を回るのはこの日だけになる。


9時にホテルをチェックアウト。この日から宿泊場所を変えることにしていて、まずは別のホテルを探すつもりだったのだが、ここでトラブルが発生した。ベトナムでは宿泊先にパスポートを預ける必要があり、チェックアウトのときに返してもらうことになるのだが、そのパスポートが見つからない。フロントの若い女性が調べた結果、ここに泊まっていた別の日本人旅行者がハロン湾ツアーに出発する際に間違って私のパスポートを渡していたことが分かった。

その旅行者はこの日もここに泊まるそうで、夕方に戻ってくるという。この日も泊まるのならなぜパスポートを受け取ったのか、そのときに別人のパスポートということに気づかなかったのかという疑問が浮かぶが、しかしどうしようもない。結局、この日もここに泊まることにした。

フロントの女性はしきりに恐縮していて、宿泊料金は17ドルにディスカウントしてくれた。まあ、こちらはハノイに6泊するので、宿泊を1日延ばすのは特に問題ない。

ホアンキエム湖

荷物をフロントに預け、9時半にホテルを出た。まず向かったのはホアンキエム湖で、湖畔の小島に「玉山祠」という寺院がある。休日ということもあり、人はかなり多い。

寺院に入るには10,000ドンが必要になる。チケット売り場でチケットを買い、橋を渡って小島に入ると寺院がある。線香の煙が立ち込めていて、かなりいい雰囲気。

小さな島なので、歩いているとすぐに一回りできる。ある建物に人だかりができていたので、入ってみたら亀の剥製が置かれていた。かなり大型の亀で、記念撮影のスポットになっている。おそらく、この湖で捕獲された亀が保存されているのだろう。

休日ということもあってとにかく人が多かったが、しかし雰囲気のいい寺院だった。さらに寺院内を一回りした後、外に出た。

湖畔に並んでいるこぎれいなカフェでベトナムコーヒーを飲みながら休憩した後、しばらく周辺を散策してみた。人は多いが、うるさく声を掛けてくる物売りやタクシーの運転手もなく、かなり落ち着いて歩き回ることができた。


ホアンキエム湖の近くにキリスト教の大聖堂がある。見たことはないが、まるでドイツの大聖堂のような美しい教会になっている。ただ、礼拝の時間にしか中に入ることはできないということなので、このときは入ることはできなかった。

ベトナムはかつてフランスの植民地だったのでヨーロッパ風の教会があることは予想していたものの、これほど立派な大聖堂があるとは思わなかった。

翌日以降は別のホテルに泊まることにしていて、できればホアンキエム湖の近くがいいと思っていたので、この辺りでホテルを探してみた。きれいで安そうなホテルを探したところ LAKE VIEW というホテルがあったので入ってみた。名前とは違って部屋から湖は見えなかったが(かつては見えたのかもしれないが今は建物が建て込んでいる)、部屋はかなりきれいだったので翌日からはここに泊まることにして部屋を予約しておいた。宿泊料金は1泊17ドル。

翌日以降に泊まるところも決まり、続いて少し離れたところにあるタイ湖周辺のスポットへ行くことにした。

ホーチミン廟

ホアンキエム湖畔からタクシーでホーチミン廟へ。ホーチミンの遺体が安置されている場所だが、中に入ることができるのは午前中の7時半~10時半で、来たのが遅かったので入ることはできなかった。ハノイへ来る機会は今後もあると思うので、そのときに入ることにする。

ホーチミン廟の前は、かなり大きな広場になっている。

最近はすっかり見かける機会が少なくなった鎌とハンマーの共産党のマークがここでは健在だった。ベトナムが世界でも数少ない社会主義の国ということが実感される。

しかし共産党のマークがこれだけたくさん並んでいる光景が見られる場所というのも、世界でもほとんど残っていないのではないだろうか。

廟の前の広場は大勢の市民が散策していた。地元の人たちにとって行楽の場所になっているようだった。

芝生に座り、ホーチミン廟を見ながら少し休憩。

一柱寺

ホーチミン廟には入ることはできなかったが、この近くにはホーチミン博物館がある。そこに入る前に、近くにある「一柱寺」という寺院へ行ってみた。1049年に建てられたそうで、名前の通り一本の柱の上に建っている。

なかなか面白い姿だと思うが、実は元の寺はインドシナ戦争でフランスが敗北して撤退する際に爆破していったという。現在の建物は1955年に修復されたもので、そのため柱がコンクリート製になっているのが少し残念。しかしフランスもずいぶんと馬鹿なことをやったものだと思う。

階段を上がり、小さな本堂で参拝してみた。地元の人たちが次々と上がってくるので、階段の上は少し混雑している。

一柱寺の近くに小さな寺院があったので、こちらにも入ってみた。本堂には線香の煙が立ち込めていて、いい雰囲気だともう。ところどころに漢字があるので「佛道は宇宙に通じる」というのは理解できる。

先ほどの一柱寺とは違ってこちらは人が少なかったが、いい寺院だった。

ホーチミン博物館

ではホーチミン博物館へ。かなり立派な建物になっていて、料金は15,000ドン。ホーチミン生誕100年を記念して1990年にソ連の援助で建てられたものだそうだが、その翌年にソ連は崩壊している。

中に入ると早速ホーチミンさんが迎えてくれる。ここが記念写真を撮る人が一番多いスポットになっていた。

こちらは満面の笑みが特徴的なホーチミンの肖像画。ちょっと記憶があいまいだが、たしか日本の団体からの寄贈品だったと思う。何の団体だったかは憶えていない。

館内の内容は、抗仏活動、抗日活動、ベトナム戦争へのホーチミンの関わりについてのビデオ説明、ホーチミンの書簡、生家の実物大レプリカなど。映像を交えて、かなりわかりやすく展示されていた。雑然とした雰囲気を予想していたのだが、かなりしっかりした博物館だった。

ホーチミンの生涯については Wikipedia あたりを参照してほしい。没年が1969年だから私が生まれた年に亡くなっているわけだが、現在でもベトナム国民から「ホーおじさん」として親しまれているのはすごいと思う。特徴的な風貌や、個人崇拝の対象になることを嫌い生涯にわたって腐敗や汚職と無縁だったという人柄が愛されているのだろう。

館内を一通り見た後、小さな売店で「Good Morning Viet Nam」とデザインされたTシャツを数枚買ってから外に出た。

軍事博物館

ホーチミン廟やホーチミン博物館がある地域からハノイ中心部へ歩いて戻ることにした。行きはホアンキエム湖からだったのでタクシーを利用したが、ハノイ駅付近までなら2キロ弱なので歩いても行ける距離になる。

その途中に軍事博物館があったので中に入ってみた。チケットは20,000ドンで、下の写真は軍事博物館の中にある国旗掲揚塔。

中に入ると、戦闘機やヘリコプターや戦車が並んでいて圧巻。どれもレプリカではなくベトナム戦争当時に実際に使われていたものということだった。近くで見るとリアルなもので、今は記念撮影のスポットになっている。右下はサイゴン突入で有名なT-55戦車で、軍事マニアには興味深いものではないだろうか。

こちらは撃墜されたアメリカ軍戦闘機の残骸で作られたモニュメント。しかしすごいオブジェだと思う。

屋外の展示品だけでなく、建物内もかなり充実している。入口でホーチミンの胸像に出迎えられ、1945年の独立宣言、フランスを降伏させた1954年のディエンビエンフーの戦いのジオラマなど、見ていると興味深い。もっとも、フランスが撤退したため代わりにアメリカが介入するようになり、その後ベトナム戦争につながったのは周知の通り。

これら近代の歴史の他にも13世紀のモンゴルによる侵攻を撃退した場面の説明や武器の展示などもあり、侵略と戦争がベトナムの歴史ということがよくわかった。モンゴル軍にまともに攻め入られて撃退したのは日本とベトナムだけらしい。

最後に国旗掲揚塔に登ってみた。階段は急だが、上からの眺めはなかなかいい。

日本人観光客にはそれほど有名なスポットではないのか、館内では日本人はまったく見なかったが展示品はかなり充実していた。ハノイではぜひ訪れてほしい博物館といえる。


軍事博物館の向かい側にレーニン像が建っている小さな公園がある。旧ソ連地域でもレーニン像はかなり撤去されているという印象があるので、これだけ堂々とレーニン像が建っているのは意外な気がした。改めて、ベトナムが社会主義の国ということが実感される。

ハノイ中心部に戻り、ハノイ駅へ行ってみた。4日後にハノイ近郊のハイフォンへ行くことにしているので、ハイフォンへの列車の時刻を調べておく必要がある。写真から分かる通り建物はかなり立派。

中に入ると、時刻表があったのですぐに時刻を調べることができた。それによるとハイフォンへの列車は朝9時半発で、このハノイ駅ではなく近郊のロンビエン駅から出ることになっている。わりと容易に列車の時刻を調べることができ、一安心。

ページが長くなったので、夜の風景については次のページに載せることにする。