国内旅行編(鳥取 / 水木しげるロード)

朝7時半の便で福岡から出雲空港へ移動。出雲空港からバスで松江駅へ移動し、ここでJRに乗り換え。山陰本線に乗るのは約10年ぶりだが、松江~米子間は電化されていて複線区間も多く、それほどローカルな感じはしない。

米子駅で境港行きに乗り換え。米子駅も鬼太郎キャラクターであふれている。

境線が発着する0番乗り場へ行くと、派手な列車が停まっていた。

これが境港行きの「ねずみ男トレイン」。列車の外観だけでなく内部も水木しげる一色で、これだけやってくれると嬉しくなってくる。

列車内は観光客でほぼ満員になっていて、これを見ても水木しげるロードの人気ぶりが予想できる。

境線は列車だけでなく駅にも妖怪の名前が付けられていて(境港駅が鬼太郎駅、米子駅がねずみ男駅といった具合)、駅のホームには各妖怪についての説明板がある。列車内から眺めていると面白い。

米子から45分で終点の境港駅に到着した。駅付近には、ねずみ男トレインを見るために多くの観光客が集まっている。駅を出ると、まずは水木しげるの執筆風景を再現した銅像が目に入った。一緒に記念写真を撮っている人が多く、人が途切れたときに写真を撮るのに苦労した。

執筆風景の周囲にも鬼太郎や河童がいたりする。河童は水木漫画ではおなじみもキャラクター。

駅に隣接して、隠岐への高速船が発着する「みなとさかい交流館」がある。中に入ってみると、浴場の看板も目玉おやじだった。細かいところもなかなか凝っている。

駅前から少し歩くと、やがて水木しげるロードに入る。特に3連休やGWというわけでもない通常の週末だが、それでも歩いている観光客はかなり多い。もちろん NHK のドラマの影響もあるのだろうが、やはり水木しげるが作り出した妖怪キャラクター自体に相当な人気があるということだろう。私はちくま文庫版の「妖怪ワンダーランド」でかなりの作品を読んでいる。

道路脇には、おなじみのキャラクターたちが並んでいる。個人的には水木漫画でおなじみの「出っ歯でメガネのキャラクター」が好き。

少し歩くと妖怪神社があった。ここの手水場には、目玉おやじがデザインされた丸い石がくるくると回っていた。

神社に参拝した後、さらに先へ進む。地元のタクシーもこの通りで、境港では町中が鬼太郎キャラクターを使って町興しをしていることがよくわかる。

道路脇のキャラクターたちを眺めながら進んでいくと、やがてアーケード街に着いた。このあたりが水木しげるロードの終点近くになる。

昼食がまだだったので、ここのラーメン店で「マグロの角煮入りラーメン」を注文してみた。さすがに境港は漁業の町だけあって、これはかなり美味かった。

アーケード街の中に「水木しげる記念館」がある。チケットを買い、中に入ってみた。

館内は通路の最後のほうを除いて写真撮影禁止。最初は水木しげるの経歴について展示されている。小中学校時代には典型的な落ちこぼれの経歴が並んでいて、これには親近感を感じる人も多いだろう。戦争中にニューギニアのラバウルで片腕を失ったことなどは知っていたが、現地で実際に妖怪(としか思えない現象)に遭遇していたことは初めて知った。

モニターで放映されている水木しげる本人の挨拶を見た後、先へ進むと各妖怪の人形が並んでいるエリアがある。人形といってもかなりよく作られていて、「ぬりかべ」「べとべとさん」「水虎」などなど、出来栄えはなかなかのもの。ぬりかべなどは、前を通ると目を開くようになっている。

妖怪アパート、妖怪洞窟、あやしの土蔵、妖怪まぼろし絵巻などを見ながら先へ進む。どれもよくできていて、写真撮影禁止なのが残念。

順路に従って進んでいくと中庭(ここにも様々な妖怪がたたずんでいる)に出て、ここから先は写真撮影ができるようになる。再び館内に入り、2階の企画展示室に上がると「鬼太郎ものしり大辞典」という展示が並んでいた。内容は古本やグッズなどの展示、鬼太郎やねずみ男などのキャラクターについての雑学などで、見ていると面白い。

「ぬりかべも家があり、眠るときはふとんを敷く」というのは初めて知った。しかしずいぶんと大きな布団があるものだ。

出口付近には「妖怪そっくりコンテスト」の写真がたくさん貼られていて、老若男女さまざまな人たちがコスプレをしているのを見ていると笑える。受け狙いの人も多いが、中には本当に似ている人もいる。個人的には、元モーニング娘。の「保田圭」は、そのままでも「ねこ娘」の役をやれるくらい似ていると思っているのだが、どうだろうか。

これで館内を一通り見たので、外に出ることにした。建物はそれほど大きくはないが、展示品が凝っていて、かなり楽しめた。アイディア次第でこれだけ面白い記念館になるという好例。

水木しげる記念館を出ると、近くでこういう菓子が売られていた。

「妖菓・目玉おやじ」というネーミングが面白い。せっかくなので一つ買い、続いてこれも近くにあった「妖怪楽園」へ行ってみた。妖怪楽園の近くでは、見た目がちょっと怖そうなスキンヘッドのおじさんが満面の笑みで客寄せをやっていた。

こちらは入場無料で、妖怪茶屋、土産物店の他、懐かしい感じの縁日ゲーム館などが並んでいる。「鬼太郎の家」という小屋もあったが、ここは子供しか入ることはできないので、鬼太郎の家の前の一反木綿等を写真に撮ってみた。

妖怪茶屋でアイスコーヒーを注文し「妖菓・目玉おやじ」を食べることにした。中には黒餡がぎっしりと詰まっていて、かなり甘い。私は甘いものは苦手ではなく、むしろ好きなほうなのだが、それでもブラックコーヒーと一緒ではないと食べるのに苦労した。

妖怪楽園の土産物店で旅行後に周囲に配るための土産物を買い込み、妖怪楽園を出た。

この後、水木しげるロードを中心に周辺を散策してみたが、この境港という町は本当に水木しげるが作り出したキャラクターに頼りきって町興しをやっていることが実感された。もっとも、このおかげで来訪する観光客が年間100万人を突破していることだし、これだけ強力なキャラクターたちに恵まれているのは幸せなことかもしれない。まさに水木しげるは生き神様という感じ。

境港駅前の交番も、この通り。

夕方まで周辺を散策した後、境線の列車で米子に戻った。しかし水木しげるロードは期待以上に面白いスポットだった。わざわざ山陰を訪れた価値はあったと思う。

いったん米子駅前のビジネスホテルにチェックインし、朝のうちに購入していた馬券の成績を見てみると、なんと53万馬券が的中していた(京都12レース、3連単537,590円)。そこで、お祝いをかねてちょっと興味があった皆生温泉へバスで行ってみた。どういう興味かはあえて書かないが、皆生温泉の一部地域は非常に独特の雰囲気があった。夜にバスで米子駅に戻り、ホテルに帰った。

(2010.5.29)