マレーシア旅行記(バトゥ洞窟)

マレーシア滞在最終日。この日の夜行便で乗り継ぎ地の上海へ出発することになる。最終日はクアラルンプール郊外にある「バトゥ洞窟」へ行くことにしていた。

ここはイスラム教徒の多いマレーシアでは珍しいヒンドゥ教の寺院で、変わった姿をした神様をたくさん見ることのできる珍寺になっている。かなり面白い場所だったので、結局ここには5時間ほど滞在することになった。


朝9時半すぎにホテルをチェックアウト。まずはペタリン通りの端のほうにある「恭和堂」という店に行ってみた。ここの名物はガイドブックにも載っている カメゼリーで、ちょっと興味があったので注文してみた。

カメゼリーというのはカメの腹甲と漢方薬などで作られる薬膳デザートのこと。味はかなり苦いということなので、シロップをかけて食べることになる。値段は8リンギ。

というわけでシロップをかけて食べてみたが、口当たりは意外とよく、予想していたほどは苦くはなかった。コラーゲンがたくさん入っていて体にいいということだし、日本でもインターネットで缶入りのカメゼリーが手に入るようなので興味のある人は探して注文してみてほしい。

続いてバトゥ洞窟方面へ向かうバスを探すことにした。チャイナタウンにあるバンコク銀行前がバス発着所になっているということなので、そちらへ向かうと10台ほどのバスが停車している。その中に「BATU CAVE」と大きく表示されたバスがすぐに見つかった。外国人旅行者にも人気のスポットなので、分かりやすく表示してあるらしい。ドアのところに立ってこちらを見ている女性が車掌。

バスに乗り込むと、欧米人旅行者も5人ほど乗っている。すぐに出発し、クアラルンプール中心部を抜けた後は郊外の住宅地を回って約30分でバトゥ洞窟の前に到着した。バス料金は2.5リンギ。


ではバトゥ洞窟へ向かう。門の向こうに金色の大きな神像が立っているのが見え、かなり敷地が広いらしいことが分かる。

道路を渡り、門をくぐると正面に神像が見える。まだ午前中ということもあり、人はそれほど多くはない。

神像の近くまで来ると、横に階段が続いているのが見える。この階段の先にあるのがバトゥ洞窟で、洞窟の中に寺院が作られている。

もともとは洞窟の中の寺院だけが見所だったそうだが、数年前に神像が作られたということだった。

神像のアップ。ちょっと笑顔を見せているところが面白い。

では、まずは階段を上ることにする。傾斜が急なので下から見上げるとかなり高く見えるが、実際はそれほどでもない。

階段の入口にはこういう門がある。門の上にはヒンドゥ教の神様などが細かく作りこまれていて、見ていると面白い。その中でも、顔が人間になっている牛が特に目立っている。知っている人も多いと思うが、日本ではこういう姿のことを人と牛を一緒にして「件(くだん)」という。

私は小松左京の「くだんのはは」を読んだときに初めてくだんについて知ったので、実際に姿を見ると興味深い。もっとも、あの小説に登場するのは体が人間で頭が牛という逆の姿だったが。

ヒンドゥ教でも、くだんは凶事の前兆として生まれ、凶事が終わるまでの一部始終を予言すると言われているのだろうか。

階段には猿も多い。わりと人間慣れしているので、近くまで寄ることができる。もっとも、あまり寄りすぎると荷物をひったくられるかもしれないので注意が必要。

上っている途中、下を見下ろしてみた。たいした高さは上っていないのだが、それでも見下ろすとなかなかの眺めだと思う。

やがて洞窟の入口に着いた。洞口は山口県の秋芳洞なみに大きく、正面には神像も置かれている。

洞窟内は天井が高く、予想以上に広かった。これほどの空間が広がっているとは考えていなかったので、最初に見渡したときはちょっと感動した。人はわりと歩いているが、空間が広いのでまばらに感じる。

洞窟の壁際にも、よく見るとこういうオブジェが作られている。周囲を見ながら歩くと面白い。

洞窟内には小さな寺院もある。もっとも、本堂は洞窟のさらに奥にあるので、ここは別院のようなものだと思う。ヒンドゥ教徒の人たちが次々と参拝しているのを邪魔にならないように見学してみた。

洞窟の奥にはさらに別の階段があり、この先に本堂が置かれている。ここがバトゥ洞窟の最奥部で、この通り天井が崩落した空間になっているので明るく光っている。神秘的な景色にも見えるので、これがヒンドゥ教の聖地として寺院が建立された理由だと思う。

階段を上がり、上を見上げると空が見えるので写真を撮ってみた。

こちらがバトゥ洞窟の本堂。意外と小さいものだが、ヒンドゥ教徒の人たちがひっきりなしに参拝している。それにしても、ウェディングケーキのように盛り上がった屋根にびっしり彫られた神像が面白い。

靴を脱いで本堂に上がってみた。床に座ると、ひんやりしていて案外気分がいい。額の中央に赤い印をつけたヒンドゥ教徒の人たちが次々と参拝しているので、邪魔にならないように休憩しながら見学することにした。真剣な参拝の様子を見ていると興味深い。

やはり、キリスト教の教会やイスラム教のモスクより仏教やヒンドゥ教の寺院のほうがずっと落ち着くと思う。神様がたくさんいる宗教のほうが個人的には合っている気がする。

しばらく休んだ後、本堂を出ることにした。本堂周辺にも猿は多い。

この後、本堂周辺や洞窟内をしばらく散策し、洞窟を出ることにした。この時間になると観光客も増えてきて、外国人の姿もときどき見られる。

階段を下りるときに見た神像の後姿。

なかなか面白いスポットだった。洞窟内の景色と大きな神像は一見の価値は十分あるので、興味があれば訪れてみてほしい。

実は、今回ここへ来たのはバトゥ洞窟だけでなく近くにある別のスポット(CAVE VILLA)を見ることも目的だったのだが、そちらへ行く前にいったん昼食にした。ヒンドゥ教つながりなのか、近くにインド料理店があったのでカレーを注文してみた。かなり辛かったが、味はなかなかのものだった(料金は5.5リンギ)。それにしても、マレーシアでバナナの葉の上にインディカ米とカレーと漬物などが乗るという結構本格的なインド料理を食べることになるとは予想していなかった。


バトゥ洞窟の階段の横にこういう建物がある。せっかくなので CAVE VILLA へ行く前に靴を脱いで上がってみた。もっとも、ところどころに水たまりがあったりするので気をつけないと靴下が濡れてしまうことがある。

建物の中はこんな感じ。壁のレリーフと神像がいい雰囲気を出している。

青や緑色をしたヒンドゥ教の神様の他、ここにもくだんがいた。こちらは金一色の姿になっていて見事なものだが、ちょっと頭と体のバランスが悪いような気もする。

2階にはシヴァ寺院があるそうなのだが、階段のシャッターが閉まっていたので入ることはできなかった。この日はたまたま閉まっていたのか、いつも入れないのか、そのあたりはよく分からなかった。

ページが長くなったので、この後に見た CAVE VILLA については別のページに載せることにする。