マレーシア旅行記(クアラルンプール / 天后宮、ペトロナスツインタワー)

午後2時半に福岡空港を出発し、乗り継ぎ地の上海へ。1時間ほどで上海浦東空港に到着した。ここではトランジットだけだが、トランジットエリアに入る際にパスポートのチェックがあり中国の出国印を押されたのでいったん入国したということになるらしい。


午後7時半に上海を出発。日付が変わった午前1時前にクアラルンプール国際空港に到着した。

すでに深夜なので、市街へ向かう鉄道やバスの便は終了している。この空港内にトランジットホテルがあることは旅行前に調べていたので、この日はそこに泊まることにしていた。マレーシアの通貨リンギに両替し(レートは1リンギが30円弱)、C5ゲート付近に移動すると “Airside Transit Hotel” がある。

事前に予約はしていなかったので部屋が空いているかどうか不安もあったが、Standard Room は空いていないものの Deluxe Room なら泊まれるということだった。料金は7時間で220リンギで、高いとは思うが深夜にタクシーで市街へ移動するよりはましだと思う。

部屋はさすがにデラックスルームだけあって豪華なもので、大きな窓から飛行機も眺めることもできて快適だった。深夜2時ごろ就寝。


翌日は朝6時半に起床。7時半にチェックアウトし、ターミナルを移動してマレーシアに入国した。マレーシアは2008年のコタキナバル旅行以来になる。

空港から市街へは鉄道やバスの便がある。バスのほうが安いが、ここでは鉄道に乗ってみたかったので「KLエクスプレス」で行くことにした。KLはクアラルンプールの略で、料金は35リンギ。

KLセントラル駅までノンストップでの運行で、所要時間は30分ほど。さすがに料金が高いだけあって速くて快適だった。列車の雰囲気としては香港のエアポートエクスプレスに似ている感じがする。

ちなみにクアラルンプールの空港や駅には日本語の表示も多く、旅行者としては非常に助かる。ときどき「チェシクイン」になっていたりするが、それはそれで面白い。

KLセントラル駅構内のマクドナルドで朝食にした後、今回の旅行最初の目的地へ向かうことにした。路線バスでは行きにくい場所にあるようなので、いったん駅の外に出てタクシーを拾う。

目的地は「天后宮」という中国仏教の霊廟。この寺院がなかなか面白いという情報を得ていたので訪れてみることにしていた。2008年のコタキナバル旅行のときに使用したガイドブック「ワールドガイド」には載っているが、なぜか地球の歩き方(2007-2008年版)にはこの寺院は記載されていない。

駅から20分ほどで到着し、タクシー料金は6リンギほど。予想以上に大きく、多層構造になっている建物が見える。

周囲にはこういう像が点在している。よくはわからないが、おそらく中国の民話に登場する人物か、または歴史上の人物なのだろう。この辺りは記念写真を撮っている人たちも多い。

では建物内に入ることにする。入口も立派な感じ。

階段を上がっていくと、やがて本堂が見えてきた。訪れているのはやはり中国系の人たちが多いようで、おそらく中国の観光客にとってはクアラルンプールの定番スポットになっているのだろう。屋根の四隅に龍がいたり、典型的な中国寺院という感じがする。

入口の前に置かれていた参拝者用のロウソクがよくできていたので写真を撮ってみた。土産に持ち帰りたいくらいの出来栄えで、こういうものは日本の寺院でもやってみてほしいと思う。

線香を立てる香炉を通して見た本堂の入口。老若男女さまざまな人たちが、みんな真剣に参拝している。

本堂内に入ると壁が金色にあふれ、その中に大きな女性神像が3体並んでいる。中央が本尊らしい「天后聖母」で、日本のCMに登場した巨大な小林幸子人形になんとなく雰囲気が似ているところが面白い。マレーシアでこういう像を見ることになるとは思わなかった。

天后聖母の両隣が「水尾聖娘」と「観音菩薩」。こちらも大きさはかなりのもの。

しかしこの3体の女性神像を見るためだけでも天后宮へ来る価値はあると思う。日本人にはそれほど有名なスポットではないのか、日本人らしい姿はまったく見なかったので、このページを見て天后宮へ行ってみようと考える人が現れたら嬉しい。

この寺院自体が高台にあるので、ここからの眺めはなかなかのもの。遠くにはペトロナスツインタワーも少しだけ見える。並んでいたベンチに座り、景色を見ながら少し休憩。

本堂のあたりからは、向こう側にロープが張られて提灯が下がっている。

まあ定番というか、ドラえもんやらピカチュウやらアジアではよく見かけるキャラクターが並んでいる。しかし Coo も人気とは知らなかった。

階段を降りて建物の外に出ると干支の広場があり、十二支の動物の像が作られている。こうして見ると、十二支というのは龍や虎などの派手なものと鼠や蛇などの地味なものが混在していることがよくわかる。

自分の干支である酉はアップで撮ってみた。

寺院の裏手には亀が大量に飼われている池があったり、歩いていると面白い。しかし、やはり地球の歩き方に載っていないためか日本人は見かけなかった。マイナーな場所かもしれないが、しかし変わったスポットが好きなら訪れて損はないと思う。

この後、寺院内をもう一回りし、KLセントラル駅へ戻ることにした。


天后宮の前で客待ちをしていたタクシーに乗り、KLセントラル駅へ戻る。続いて、次の目的地に向かうためKLセントラル駅から LRT (Light Railway Transit) で KLCC 駅へ。LRT はクアラルンプールの高架交通システムだが、KLCC 駅のあたりは地下鉄になっている。この区間の運賃は1.6リンギ。

地上に出ると、今では東南アジア最大の名所といっていい建物が見える。

これがあの有名なペトロナスツインタワー。高さは452メートル、88階建てで、建設された当時は世界一高い建物だったが現在はドバイのブルジュ・ハリファに抜かれている。

実際に見たのはもちろん初めてで、近くで見るとやはり巨大さに圧倒される。それに、ある程度離れないと全体の写真が撮れない。

2つの塔をつなぐスカイブリッジ部分に展望所があるが、ここに入るには先着順の入場券が必要で、この時間はさすがに無理のようだったので諦めた。

近くから見上げてみた写真。光の反射が格好いいが、照り返しの影響があるのか周囲は非常に暑い。

建物内は高層階がオフィスで低層階はショッピングモールになっている。フードコートで昼食にしたが、空いている席がなかなか見つからないほど人が多かった。やはり地元の人たちにとっても人気のスポットになっているようだ。

1時間ほどショッピングモールを散策してみた。空調が効いて快適だが、とにかく人が多く、歩いていると少し疲れる。それに高層階に立ち入れないのも物足りない。どうせなら最上階あたりに展望所を作れば多少料金が高くても上ってみる人は多いと思えるだけに、なぜそうしなかったのか不思議。

展望所に行けなかったのは残念だが、しかし有名なペトロナスツインタワーを見られたし、来てよかったと思う。


では、そろそろ泊まる所を決めないといけないので KLCC 駅から LRT でパサール・セニ駅へ向かうことにした。この駅の近くにチャイナタウンが広がっていて、クアラルンプールの安宿地帯になっている。

下の写真はパサール・セニ駅から眺めたもので、川沿いの堤防に落書きが並んでいる。落書きというにはあまりにもうますぎるので、あるいは公認のアートなのだろうか。

駅から少し歩くとペタリン通り(JALAN PETALING)という屋根つきの通りがあり、ここがチャイナタウンの中心街になっている。通りの両側に並ぶ店の前にも多くの露店があり、人通りはかなり多い。

当初は、事前にチャイナタウンの安宿として情報を得ていた「PENGINAPAN PENGEMBAPA BACKPACKERS」というゲストハウスを探していた。しかし、なかなか見つけられずにいるうちに雨が降ってきて、屋根があるペタリン通りから出る気力がなくなってきた。そこで、ペタリン通りに「ALAMANDA」という快適そうなホテルがあったので、ここへ入ってみた。

エアコンとホットシャワーつきで1泊70リンギ。探せばもっと安いところはあるはずだが、部屋もなかなかよさそうな感じだし、妥協してここに泊まることにした。荷物を置き、しばらく休憩。


夕方4時半ごろ、外出してチャイナタウンを散策することにした。この時間は雨は止んでいる。

下の写真はペタリン通りの端にある門で、上の写真とは反対側の入口になる。どちらの門も上に大型モニターが設置されていた。

夕方になるとペタリン通り内に多くの露店がオープンし、まっすぐ歩けないほど大混雑するようになる。安宿が集まっているためか、外国人の姿も多く見かける。

途中、フードコートで夕食にした。

注文したのはシーフードの炒飯、魚肉団子が入った麺類とビール。普段はあまり酒は飲まないが、旅行中はときどきビールを飲んだりする。しかし、イスラム教徒が多いマレーシアでこれだけ堂々とビールが置いてあることに驚かされた。2008年のコタキナバル旅行のときは屋台でも酒はまったく見なかっただけに、なんだか意外だった。

すっかり暗くなった後も、周囲はとにかく人が多い。フルーツの屋台でマンゴーやグアバを食べたりしながら、さらに散策してみた。

散策中、ペタリン通りの近くに5階建てくらいのデパートがあり、まだ開いていたので入ってみた。店舗の多くはすでに閉まっていて最上階のフードコートの他はいくつかの衣料店や携帯電話店が開いているだけだが、ここで驚愕の育毛店を見たので載せておく。

店に Hair Growth と書かれているので、決してカツラ店ではないはず。店の前の写真が本当に凄く、あのリーブ21でも不可能と思えるほどの変貌を遂げた写真が並んでいる。こんな驚異的な発毛ができたらノーベル賞ものだと思う。

帰国後に知人に見せたところ、皆一様に「これ、絶対に何か被っているだろう」と話していた。誇大広告という気もするが、ここではそういう規制はないのだろう。

ものすごい育毛店を見ることができたし、散策した甲斐はあった。ホテルに戻り、翌日の予定を考えた後、シャワーと浴びて就寝。翌日はクアラルンプール郊外にあるゲンティン・ハイランドという町へ行くことにしている。