ウズベキスタン旅行記(ヒヴァ)

朝7時半に起床。この日はヒヴァに1日滞在して、世界遺産に登録されている旧市街「イチャン・カラ」を観光することにしていた。

城壁に囲まれた旧市街はそれほど広いわけではないが、ときどき休みながら散策すると一通り見るのに夕方までかかった。

なかなか雰囲気のいいところだったので、このページは写真を多く並べておくことにする。


パン、スモークチーズ、チョコレートケーキ(!)の朝食後、9時にホテルを出て、まずは近くにある西門に向かう。ここにチケット売り場があり、ここで共通入場券を購入した。値段は共通入場券+カメラチケットで22,000スム。なお大抵のスポットは共通入場券で入れるが、中には別料金が必要な場所もあり、そこでは個別にチケットを買うことになる。

最初に向かったのは西門の近くにあるキョフナ・アルク。17世紀に建てられた宮殿で、城壁に囲まれた旧市街にあってさらに城壁に囲まれた区画になっている。

門をくぐり、中に入る。城壁の向こうにカルタ・ミナルが見える。

ここは、いくつかの中庭があってそれを建物が囲むような構造になっている。特に中庭に面したテラスはカラフルなタイルで覆われ、支えている柱にも細かい彫刻が施されていて見事なもの。建物内にも部屋がいくつか作られていて、その中に玉座のある部屋があった。かつてのハーンの部屋だろうか。

このキョフナ・アルクの見張り台には、別料金の3,000スムを払えば上がることができる。城壁の上の一部が見張り台になっていて、ここから城壁の中の旧市街を眺めることができた。

ただ、ここは西門のすぐ近くなので、この時間は城壁の中が逆光になる。午後に来ればよかったと少し後悔。

続いて「イスラーム・ホジャ・メドレセ」という建物の横にあるミナレットへ。ヒヴァで一番高いミナレットで、高さは45メートルになる。表面のタイル模様が非常にきれい。

このミナレットは登ることができる。ただし、ここは共通入場券が使えず、別料金の3,000スムが必要になる。ミナレット基部の階段の横で料金を払い、中に入る。

階段は狭く、体をかがめないと先へ進めない。登っていても、あとどのくらい階段が続いているのかよく分からないので、このくらいの高さでも予想外に疲れた。

やがて頂上に着くと、ここからは旧市街を一望できる。建物が密集する旧市街の外にヒヴァ市街があり、その外に草原が広がってさらにその向こうが砂漠になっていることが分かる。

鉄格子の間からカメラを差し出して、下の景色を撮ってみた。高所恐怖症の人にとっては、こういう写真も怖いと思うものかもしれない。

しばらく周囲の景色を眺めた後、ミナレットを下りた。下から見上げたミナレット。

こちらは旧市街の東門。西門と違ってそれほど整備されておらず、少し廃墟感が漂っている。今は門の外も廃墟のような感じだが、19世紀後半までここには奴隷市場があったという。

ここから西門のほうへ戻ると、旧市街のシンボルといえるカルタ・ミナルが見えてくる。土産物店も並んでいて、この辺りが観光客が一番多い区域になっている。

カルタ・ミナルの全景。高さ26メートルの未完成のミナレットで、完成していれば70~80メートルの高さになったといわれている。ヒヴァのハーンが死去したため工事が中断されたということだが、完成した姿を見てみたかったという気もする。もっとも、このずんぐりした形状のほうが愛嬌があって面白いという見方もできるが。

それにしても、表面を覆っている青いタイルは非常にきれい。

周囲を一回りしてみると、中に入るための通路があった。しかしながら、この通路へ上がるための階段には入れなかったので、内部は公開していないらしい。塔の中はどうなっているのだろう。

表面のタイルのアップ。このタイルに触ったとき、はるばる中央アジアまでやってきたことを実感した。1852年に着工して1855年に中断されたということだから、すでに150年ほどが経っているわけだが、この通り表面はかなり滑らか。

旧市街にはこのように両側が城壁になっている細い路地もたくさんある。いかにも中世の町という感じで、なかなかいい雰囲気だと思う。

続いてジュマ・モスクに入ってみた。高さ42メートルのミナレットが付属している。

ここの見所は約3メートルの間隔で並んでいる柱で、一本一本に彫刻が施されている。天窓からの光で柱が浮かび上がり、独特の雰囲気になっていて、歩いていると面白い。よく見ると柱の彫刻もかなり細かい。

別料金の3,000スムを払い、付属のミナレットに登ってみた。先ほどのイスラーム・ホジャ・メドレセのミナレットと同様、旧市街を一望できる。カルタ・ミナルへ続いている通りが旧市街のメインストリート。

ミナレットを下り、続いてパフラヴァン・マフムド廟へ。ここは共通入場券が使えず、別料金の3,000スムが必要になる。名前の通り、パフラヴァン・マフムドという人の墓になっていて、建物の中に入ると墓石が置いてある。もっとも、墓石は格子の向こうにあるので近づくことはできない。

参拝者は格子の間から紙幣を差し入れてお参りしている。ちょっと変わった光景だったのだが、さすがに霊廟内の写真を撮るのは気が引けたので、ここは自粛しておいた。

ここの中庭には井戸があり、この水を飲むと男性は強くなり女性は美しくなると言われているそうである。井戸の近くで休んでいると、結婚式を行っているカップルがやってきた。

2人で水をくみ上げ、それぞれ水を飲んでいる。偶然にも結婚式の風景を見ることができ、幸運だった。

結婚式の一行が去って行った後、地元の参拝者もそれぞれ水を飲んでいるので、私も井戸に近寄ってみた。すでに多くの人が水を飲んだ後だが、あのカップルが引き上げたバケツにはまだ水が少し残っていた。

せっかくなので、私も少し飲んでみた。衛生上の問題がありそうだったのでほんの少しだけだったが、言い伝え通り少しは強くなれただろうか。


散策の途中、西門の外にあるレストランで昼食にした。地元の人たち向けのレストランらしく、観光客らしい人は見当たらない。ここでは「ラグマン」という中央アジア風うどんを注文してみた。

スープはトマトベースで、羊肉やジャガイモがたくさん入っている。麺自体は日本のうどんとそれほど変わらず、中央アジアにもこういう料理があることは驚きだった。日本人にはなじみやすい味だと思うので、ウズベキスタンを旅行するときは注文してみてほしい。最後、残ったスープにパンを浸して食べるのもうまい。


昼食後、さらに旧市街を散策してみた。ここには観光客向けにラクダもいる。名前は「カーチャ」というらしい。

「クトゥル・ムラド・イナック・メドレセ」という建物に入ってみた。建物内は伝統工芸品センターになっていて、中庭に出ると貯水池に下りる階段がある。貯水池は扉越しに眺めることができた。

建物内では女性が伝統工芸品を作っていたり、それらの販売コーナーがあったりするのだが、なぜかここには絵画の展示室もあった。決して伝統的な絵画ではなく、何とも不思議な画風の作品ばかりが並んでいて、思わず見入ってしまった。「なんだかルネ・マグリットみたいだ」と感じたのだが、どうだろうか。

おそらく地元の画家の作品だと思うが、それにしても不思議な空間だった。ここに載せている他にもたくさんの作品があったので、興味のある人は直接訪れてほしい。

朝のうちに入ったキョフナ・アルクの近くに監獄博物館があるということなのだが、なかなか見つからない。探し回った結果、入口横の小さな土産物店の奥が展示室になっていることが分かった。前から見ると土産物店にしか見えないので、これではなかなか気づかない。

展示室内は看守と罪人が人形で作られていて、意外と生々しい。他にも、当時の処刑方法の絵なども展示されていた。


続いて、城壁の外を歩いてみた。城壁の外にもいくつか観光スポットがあり、その中の「ヌルッラバイ宮殿」に入ってみた。なお、ここは共通入場券で入ることができる。

20世紀の始めにヌルッラバイという商人によって建てられたそうで、建物自体はそれほど大きくはないが、すべての部屋に大きなシャンデリアが設置されている。どれも見事なもので、これらを設置するのはかなり大変だっただろうと思われる。

ヌルッラバイ宮殿の近くは、ちょっとした遊園地になっていた。もっと暗くなってからオープンするのか、遊具などはまだ動いていないが、カフェとボート乗り場だけは人が多かった。

なお、上のボート乗り場の写真を撮ったところ管理人らしいおじさんにちょっと怒鳴られた。理由はよくわからないが、なんだか気を悪くさせてしまったようなので、私のほうはすぐに退散した。(池の向こうにトムとジェリーやミッキーマウスの絵が描かれていたので、それを写されたくなかったのかもしれない)

夕方4時半、休憩のためにいったんホテルに戻った。