ウズベキスタン旅行記(ムイナク~ヒヴァ)

ムイナク出発の日は朝7時に起床。8時にチェックアウトして、スタッフに別れの挨拶をしてからホテルを出た。

まだ朝なので車が少なく、なかなか乗れずに焦ったが、15分ほどでようやく白タクに乗ることができた。バス乗り場に着くと小型のバスが停まっていて、聞くとヌクス行きということなので、近くの店でペットボトルの水とジュースを買い込んでからバスに乗り込んだ。

バスにはすでに多くの乗客が乗っていて、車内は満員。当然ながら座れず、後ろのほうに立つことになった。なお、ヌクスまでの料金は5,500スム。

さらに乗客が乗ってきて動けないくらい満員になり、8時45分に出発した。この状態を見て危惧したのは、乗客の多くはヌクスへ行くことが目的と思われるので、終点までずっと座れないのではないかということ。この心配は当たっていて、途中のコングラートという町で10人ほどの乗客の入れ替えはあったものの、結局ヌクスまで座ることはできなかった。冷房はなく、走行中は風が入ってくるため何とかしのげるものの、かなり疲れる。私の場合は横に寄りかかることができたためまだましだったが、しかし4時間立ちっぱなしというのは非常にきつかった。これからムイナクへ行こうと考える人は、往復ともタクシーを利用するほうがいいかもしれない。

12時45分、ヌクスのバスターミナルに到着。ムイナクから乗ってきたバスの写真を撮ってみた。

この日はヒヴァまで移動することにしているので、まずはヒヴァの近くにあるウルゲンチ行きのバスを探さないといけないのだが、乗り場の表示がすべてキリル文字になっている。バスの他にマルシュルートカ(旧ソ連地域でよく見られる、近郊地域を結ぶミニバス)もたくさん停まっているが、どれに乗ればいいのかよく分からない。

下の写真は端のほうから撮ったバスターミナルの風景で、並んでいる白いミニバンがマルシュルートカ。

バスターミナルにはたくさんの店も並んでいる。バスを探す途中、せっかくなので店のほうも散策してみた。乗客向けの食料品店や鞄店などが多いが、大きなスーパーマーケットがあったので写真を撮ってみた。品揃えはわりと豊富。

バスターミナルを歩いていると地元の若者数人が話しかけてきた。中央アジアには一見日本人に見えるような風貌の人も多いので、最初は私も地元の人間と思われていたようだが、日本人と分かるとかなり珍しがっていたようだった。ウズベキスタンは日本人観光客の多い国だが、こういうところへ来る日本人は少ないらしい。

この人たちにウルゲンチへの行き方を聞いたところ、バスもあるらしいが、いったん郊外にある別の乗り場へ行き、そこからミニバスか乗り合いタクシーで行くほうがいいと教えてくれた。バスターミナルで見かけるバスがどれも満員で、もう立ちっぱなしは嫌なので、教えてくれた通りに別の乗り場へ移動することにした。

それにしてもこの人たちは本当に親切で、郊外の乗り場へ行くマルシュルートカの乗り場まで案内してくれた上、運転手に「この人はウルゲンチへ行きたがっている」と伝えてくれた。私がマルシュルートカに乗り込むと手を振りながら去っていったので、チップ目的というわけではなく、純粋に親切心から案内してくれたものらしい。この人たちに出会ったおかげで、私の中でウズベキスタンに対する好感度が大きくアップすることになった。

マルシュルートカは「満員になったら出発する」というシステムだが、バスターミナル内は大勢の乗客であふれているので、この車にも次々と乗ってくる。5分ほどで満員になって出発した。

下の写真はマルシュルートカで移動中の風景。なお、料金は500スム。

約10分で郊外にある乗り合いタクシー乗り場に到着した。先ほどのバスターミナルと比べると小規模なもので、停まっているタクシーは10台ほど。

先ほどのマルシュルートカの運転手が「ウルゲンチへ直接行くタクシーはなく、途中のビールーニーという町で乗り換える必要がある」と教えてくれたので、運転手たちに「ビールーニー」と声を掛けたところ、すぐにタクシーが見つかった。つまり、ヒヴァへ行くためにはビールーニーとウルゲンチの2ヶ所で乗り換える必要があることになる。

乗り合いタクシーも「満員になったら出発する」というシステムのため、乗客がそろうまで車内で待機。約30分で乗客が4人集まり、午後2時にビールーニーへ出発した。なお、料金は10,000スム。

ヌクスを出ると、砂漠の中を一直線に続いているハイウェイをひたすら走る。

タクシーは100キロ以上の速度で飛ばし、車内は冷房も効いて快適だった。先ほどは4時間立ちっぱなしだったので、なんだか車内が天国のような感じだった。

1時間ほど走ったところで車はハイウェイをそれ、農村地帯に入っていった。道には牛がいたりする。

農村にある1軒の家の前で、乗客の一人が降りていった。下の写真の黒い服を着た大柄な女性で、集まってきた子供たちはおそらく孫なのだろう。車の外で再会の風景が繰り広げられているのをしばらく眺めていた。

他の乗客も途中で降りていき、3時45分に終点のビールーニーに到着した。小さな駐車場に数台の車が停まっているだけの乗り場で、運転手がウルゲンチ行きの乗り合いタクシーを教えてくれた。私が最初の乗客だったので、はたしてどのくらい待つことになるのか不安にも思ったが、幸い10分ほどで乗客が集まり、ウルゲンチへ出発した。なお、この区間の料金は3,000スム。

ウルゲンチに着く直前、アムダリヤ川を渡る。ヌクスで見たアムダリヤ川は涸れる寸前という感じだったが、こちらは上流なのでまだ水は多い。

上の写真にも写っているが、このときは横で架橋工事が行われている最中だった。かなり立派な橋で、完成すれば相当な時間短縮になるものと思われる。

ビールーニーから30分でウルゲンチに到着した。ここで乗り合いタクシーを再度乗り換えることになる。ヒヴァは有名観光地ということもあって利用者も多いらしく、10分ほどで乗客がそろって出発した。この区間の料金は2,000スム。

ウルゲンチから40分、午後5時過ぎにヒヴァに到着した。ムイナクからバスと乗り合いタクシーを乗り継ぎ、丸1日かかって移動したことになる。飛行機ではなく陸路で移動したことで、各都市間の距離を実感できた。


ヒヴァは城壁に囲まれた旧市街「イチャン・カラ」が、世界遺産に登録されている。東西南北にひとつずつ城門があり、着いたのは北門の前。門をくぐって旧市街に入ると、周囲はレンガ造りの古そうな建物ばかりになる。

まずは泊まるところを決めないといけない。旧市街には小規模なホテルが点在していて、最初に目に付いた「ザファールベック」に入ってみたところ、翌日なら泊まれるがこの日は空きがないということだった。近くにあった別のホテルにも行ってみたが空きがなく、意外と観光客の多い時期に来てしまったのかもしれないと少し不安になった。

その後、しばらく旧市街でホテルを探したところ、ミーロス “MEROS” というホテルに空きがあり、無事に泊まることができることになった。ほっと一安心。

宿泊料金は1泊20ドルで、ここに2泊することにした。なお、B&Bタイプなので朝食は含まれている。

2階に上がると広間のような部屋があり、ここから各部屋へ入ることになる。右下の写真で奥の扉の先に明かりがついているが、ここが私が泊まった部屋。この広間はだんらん室のような役割があると思われるが、おそらくこれがこの地方でよく見られる間取りなのだろう。

部屋はこういう感じ。簡素だが十分きれいといえる。なお、トイレとシャワーは共同ではなく各部屋にある。

少し休憩し、5時半に外出してヒヴァを散策することにした。


翌日はヒヴァに滞在することにしているので、この日は旧市街最大の見所であるカルタ・ミナル付近だけを見ることにした。高さ26メートルの未完成のミナレットで、完成していたら70~80メートルになったと言われている(カルタとは「短い」という意味)。未完成ではあるが、全体が青いタイルで覆われていて非常にきれい。この辺りが記念写真を撮る人が一番多いエリアになっている。

ここでは日本人ツアー客の姿も多く見かけた。

あと、旧市街で見かけたのがこれ。まあ、こういうものは外国でときどき見かけることがある。

あまり旧市街を歩くと翌日の楽しみがなくなってしまうので、西門から城壁の外に出て、小さなカフェでアイスクリームを食べながら休憩。続いて城壁の外側を散策してみた。

旧市街を離れて北西の方向へ歩くと、小さなレストランが並んでいるエリアがある。そろそろ夕食にしようと思い、そちらへ向かうと遠くに観覧車が見えた。せっかくなので、レストランを通り過ぎて近くまで行ってみた。

観覧車に乗ると旧市街を斜め上から見ることができるようなので、ちょっと興味があったのだが乗るのは翌日に延ばすことにして、この日は少し先まで歩いてみた。これが失敗で、翌日は観覧車は動いていなかった。やはり、興味があるものは見つけたときに乗っておかないといけないと後悔することになった。

観覧車の少し先にサーカスのテントがあった。

近寄ってみるとチケット売り場付近に人だかりができていて、テントの中からは歓声が聞こえてくる。入ってみようかとも思ったが、夕食がまだだったことと、すでにサーカスは始まっているようだったことから、翌日再度訪れることにした。(サーカスは翌日も行われていて、地元の人たちで満員のサーカスをゆっくりと観賞できた。このときの様子は別のページに載せることにする)

少し周囲を歩いてみると、出番を待っているらしい団員たちが見えた。なかなかセクシーな格好なので、翌日サーカスを見るのが楽しみになった。

3件ほど小さなレストランが並んでいるエリアに戻り、歩いていると店の主人に呼びかけられたのでそこに入ってみた。かなり陽気な人で、片言の英語でいろいろとウズベキスタンのことなどを話すことができた。

注文したのはプロフ(ウズベキスタンの伝統料理で、羊肉とニンジンを炊き込んだピラフ)、スープ(ジャガイモとニンジンとピーマン肉詰めが丸ごと入っている)、トマトのサラダ。プロフはちょっと油っぽいが、どの料理も味はかなりうまく、十分満腹になった。この3品で値段は10,000スム。

食後、チャイを飲みながら店の主人と少し話した後、ホテルへ戻ることにした。主人に断ってから店の写真を撮ると、主人がポーズを取ってくれた。

「ナウルーズ」という名前のレストランで、料理はどれもうまかったので、翌日も夕食はここで食べることになった。ヒヴァを旅行することがあれば、このレストランに入ってみてほしい。

西門を通って旧市街に入ると、少し薄暗くなった中、カルタ・ミナルがきれいに見える。

午後8時半にホテルに戻った。シャワーを浴び、丸1日の移動で疲れていたので夜10時に就寝。