ポルトガル旅行記(リスボン / アルファマ地区)

リスボン滞在最後の夜はアルファマ地区で町並みを眺めた後、ロシオ広場で少し豪華な夕食を楽しむことにしていた。

アルファマ地区は18世紀の大地震で倒壊を逃れた地区で、古い建造物が多く残っている。リスボンの代表的な景色としてよく取り上げられる地区だが、今回の旅行ではここを訪れるのは最終日まで残しておいた。


セッテ・リオス・バスターミナルから地下鉄ジャルディン・ズロジコ駅へ移動し、地下鉄を乗り継いてインテンデンテ駅へ。Viva Viagem カードに5ユーロをチャージし、ここから市電の28番に乗ってグラサ展望台の麓へ移動した。案内板に従って坂道を登っていくと、やがてグラサ展望台に着いた。

下がグラサ展望台からの眺めで、いかにもリスボンという景色。しかし屋根の色の統一感はすごいと思う。

ちなみにこれはパノラマ写真を自動で作成する機能がある Microsoft ICE というソフトを使って合成してみた。手動での補正はしていないので、地平線や屋根が少し曲がって見える。

近くにあるグラサ教会に入って少し見学した後、坂道を下りて再び市電に乗る。

市電を降りたのはポルタス・ド・ソル展望台の前。ここで、乗ってきた市電の写真を撮ってみた。複数の路線が通る区間では、ときどき市電の渋滞が起きている。

ここは斜面の向こうがテージョ川になっているので、先ほどのグラサ展望台よりもきれいだと思う。

なお下の写真も Microsoft ICE で合成している。このため地平線や船が曲がるという面白い現象が起きているが、まあ手動でスケールを合わせて合成するよりは楽。

しばらく景色を眺めた後、坂道を川のほうへ下りてみることにした。予想していた通り、細い路地が縦横に続いていて迷いながら歩くと面白い。もっとも、路地が狭くて日当たりが悪いので、ここに住みたいかと聞かれたら躊躇するかもしれないが。

旅行者として散策している分には、アルファマ地区は雰囲気が良くて面白い。川沿いまで降りるとファド博物館があるが、すでに開館時間が終わっていたので入ることはできなかった。

ファドとはポルトガルの民俗歌謡で、ポルトガルの演歌などと言われることもある。リスボンを旅行する際はアルファマ地区のレストランなどでファドの生歌を聴くのが定番だが、今回の旅行ではファドを聴く機会はなかった。興味がなかったわけではないが、主に夜9時くらいに始まって終わるのは深夜0時すぎという時間帯と、やはり1人ではちょっと入りにくい感じがしたので結局諦めた。もっとも、ファドを聴かなかったことを少し後悔しているので、次回ポルトガルを旅行する際は思い切ってファドレストランに入ってみたい。

川沿いから路地を上がってポルタス・ド・ソル展望台に戻り、しばらくは展望台周辺を散策した。あえてリスボン最終日に残しておいたアルファマ地区だが、景色と雰囲気は本当に良かった。リスボンの定番観光地だが、やはり一度は見てほしいお勧めスポットだと思う。


アルファマ地区から市電でフィゲイラ広場へ移動し、少し歩いたところにちょっと変わった建物がある。ここが今回のリスボン滞在で最後に訪れたスポットになる。

細い建物の最上階が大きく広がっているという、なんとも不安定な感じを与える建物。

これは「サンタ・ジュスタのリフト」というエレベーターになる。1902年に建てられた古いエレベーターで、上からリスボン市街を見渡せるということで乗ってみることにした。

しかしながら、ガイドブックにも載っているような観光スポットなので、行ってみると長い行列ができている。とりあえず並んでみたが、古いエレベーターなのでスピードも遅いらしく、なかなか列が進まない。結局、エレベーターに乗るのに30分以上かかり、ようやく中に入ったときはほっとした。内部はレトロな雰囲気。

並んでいた時間と比べると、エレベーターに乗っている時間はあっという間。近くにいた日本人旅行者の家族連れなどは、「これだけのために大変な思いをしてねえ…」などと苦笑しながら話していた。

エレベーターが下りて行った後、シャッターの隙間から下を見下ろしてみた。

エレベーターを降りたのは屋上ではなく、屋上へはさらに階段を上がる必要がある。ここは別料金が必要で、リスボンカードがあれば無料になるのだが、すでに期限が切れているので1.5ユーロを払って上がってみた。

観光客に人気があるだけあって、眺めは本当にきれい。しかし建物の統一感は本当にすごく、よくここまで街並みを合わせられるものだと思う。左上の写真に写っているのがロシオ広場。

下りるときはエレベーターに乗る必要はなく、建物の裏から陸橋が背後の丘に通じている。坂道を下り、ロシオ広場に戻った。

リスボン最後の夜なので、夕食はちょっと贅沢をすることにした。ロシオ広場を一回りしてレストランを比較し、3日前にも入った「ニコラ」を選んだ。注文したのはアレンテジャーナ・スープとブラジリアン・ステーキ。アレンテジャーナ・スープはコリアンダーとパンとポーチドエッグが入ったもので、パンがそのまま浸かっているスープは珍しい。

ステーキの付け合わせがマンゴーとパイナップルというのが、なんだか斬新な感じ。他にもパンやチーズやサラミやフライドポテトが食べきれないほど並んでいて、十分満足した。最後にコーヒーを頼んで料金は約40ユーロ。かなり豪華な食事になったが、旅行中たまにはこういう贅沢もいいと思う。

夕食後、市電でホテルへ戻ることにした。下の写真はロシオ広場近くで市電を待っている時の風景。

ロシオ広場から地下鉄でホテルへ戻ってもいいのだが、リスボン最後の夜なので、やはりここは市電で帰ることにした。市電28番に乗り、ポルタス・ド・ソル展望台、グラサ展望台の麓を再び通って地下鉄インテンデンテ駅近くで下車。市電に乗るのはこれが最後になったが、いつかまたリスボンで乗ってみたい。

インテンデンテ駅から歩いてホテルへ移動し、夜11時にホテルに戻った。