ポルトガル旅行記(サグレス~ラゴス~ファロ)

いよいよポルトガル旅行も終わりに近づいてきて、この日はラゴスを経由して最後の滞在地のファロへ移動する。ファロはポルトガルでも特に南欧らしい明るい雰囲気の町で、滞在最終日を楽しむことができた。


朝8時に起床。いったん外出し、出発まで朝のサグレスを散策してみた。下の写真は、Casa de Sagres の辺りから見た風景。ここに宿泊した沢木耕太郎は、陽光にあふれたテラスで朝食を食べながら「これで終わりにしよう」と思っている。この日は曇り空だったが、おそらくは沢木耕太郎が見たのもこういう景色だったと思う。

少し先へ歩くと、砂浜に下りる階段があった。早朝なので誰もいない。

砂浜に下りてみた。誰もいない砂浜というのも、なかなかいい雰囲気だと思う。

誰もいないと思っていたら、いつの間にか近くに犬がいた。周囲を見渡すと遠くのほうにサーフィンを始めようとしている人がいて、その人の飼い犬が近寄ってきたらしい。少し相手をした後、犬は飼い主のほうに走って戻っていった。

レプブリカ広場に戻り、Casa de Sagres の隣にある小さなカフェでパンとコーヒーの朝食にした(4.1ユーロ)。さらに周囲を散策し、10時にプライベートルームに戻った。

荷物をまとめていると、前日ここへ案内してくれた女性が通りがかったので別れの挨拶をしておいた。その後、紙に「Obrigado !」(ポルトガル語で「ありがとう」という意味)と書き、1ユーロ硬貨を文鎮がわりにしてテーブルの上に置いてから外に出た。もちろん、この1ユーロはチップという意味。

バス停に着き、10時25分のラゴス行きバスを待つ。深夜特急の終点となるサグレスを見るためにポルトガルへ来たので、ここが今回の旅行最大の目的地だったわけだが、やはり実際に来てみてよかったと思えた。ロカ岬と比べても最果て感はかなりのものだし、町自体も非常に魅力的だと思う。何より、深夜特急の舞台に自分が立っているというのは感慨深いもの。ネット上の旅行記を見てもポルトガル滞在中にサグレスへ来た人は少ないようなので、これを読んで行ってみようと考える人が現れたら嬉しい。

やがてバレエイラ港の方からやってきたバスに乗り、ラゴスに向けて出発した。


風光明媚な景色を楽しみながら移動し、11時25分、終点のバスターミナルに到着した。ファロ行きの列車の出発時刻が12時53分なので、1時間半ほど時間がある。それまでラゴスを散策することにした。

川沿いには公園やツーリスト向けの店などが並んでいて、典型的な観光地になっていた。今回はラゴスは通過するだけだが、もっと旅行日数があれば宿泊してもよかったと思う。遊覧船の乗り場もあるし、しばらく滞在しても楽しめたはず。

ラゴスの街中にあったのが、このオブジェ。正体はよくわからない。

散策の途中、レストランで昼食にした。注文したのは、これもポルトガル滞在中に一度は食べてみたいと思っていたイワシの塩焼き。料金はアイスティーと合わせて約12ユーロ。

単にイワシを焼いただけだが、レモンを絞って食べるとこれが本当にうまい。この香ばしさは絶品だったので、ポルトガル旅行中に一度は味わってほしい。特にラゴスやファロなどの南部の港町で食べるのがお勧め。

そろそろ列車の時刻が近づいてきたので、これで散策を終えて駅へ向かうことにした。


ラゴス駅を出発し、最後の滞在地のファロへ向かう。来たときと同様のローカルなディーゼル列車で、ひなびた感じがなかなかいい。途中のトゥネスからは複線の電化区間になり、ビーチリゾートのあるアルブフェイラ駅で多くの乗客の乗降があった。午後2時45分、ちょっとうとうとしているうちにファロ駅に到着した。なお、ラゴス~ファロのチケットは7.15ユーロだった。

駅を出て、歩いて市街地へ。広場に高さ15メートルのオベリスクがあり、街中はいかにも南欧という感じの明るい雰囲気。

まずは泊まるところを決めないといけない。海沿いのホテルは高そうなので、少し離れたところを歩いているとオセアノ(Oceano)というホテルがあった。それほど高くなさそうなので、入ってみることにする。

中に入るとフロントに料金表が貼ってあり、シングルは30ユーロになっていた。部屋を見るとかなりきれいなので、この日はここに泊まることにした。

部屋で少し休んだ後、外出してファロの町を散策することにした。まずは市街地の一画にある旧市街へ。この建物の奥が城壁に囲まれた旧市街になっている。

旧市街の中はこんな感じ。白壁の間に細い路地が続いている。

家を見ると、ドアの取っ手もかなり凝っている。おそらくドアをノックするための手だと思う。

旧市街の中心に来ると、急に視界が開けて広場になっていた。その広場に面して教会があったが、この時間は周囲は閑散としていた。(夕方、再び旧市街を散策したときはちょうど礼拝が終わった直後だったらしく、広場は車で埋まっていて教会から多くの市民が出てきているところだった)

広場に面した木は、どれもオレンジがたくさん実っていた。天気もいいし、実に明るい雰囲気。

旧市街を通り抜けると海岸に出る。海沿いに線路が走っていて、これはファロからスペインとの国境にあるヴィラ・レアル・デ・サント・アントニオという長い名前の街まで行く路線になる(スペイン側までは線路は続いていない)。

この線路を列車が走る風景を見てみたかったが、残念ながらその機会はなかった。

ファロの街中では、あちこちの街路灯がこんな感じになっていて観光客が下から写真を撮っていた。ヨーロッパらしい景色。

散策していると、街中に「大阪」というレストランがあった。メニューは寿司がメインで、他は焼き鳥や鉄板焼きなど。入ってはいないので味はわからない。

さらに街中で「京都」「名古屋」という店が見つかった。先ほどの大阪と同じチェーン店かどうかはわからない。

この調子で「東京」「横浜」「札幌」「神戸」「福岡」などもあるのではないかと思ったが、散策した範囲では見つけることはできなかった。ファロに日本食レストランが何軒あるのか、知っている人がいたら教えてほしい。

街中にあった衣料品店がこちら。

ファロで日本語が流行っているのかどうかは知らないが、しかし店の名前が「さよなら」というのもどうかと思う。「これは別れの挨拶ですよ」と誰か教えてやって欲しい。

さらに、バスターミナル周辺やヨットハーバーなどを散策。

少し薄暗くなってきたところで「バスコ・ダ・ガマ」というレストランで夕食にした。昼食がイワシだったので、今回は肉料理を選び、黒豚のグリルを注文した。ポルトガル滞在最終日なので普段はあまり飲まないビールを注文し、さらに食後のコーヒーと合わせて料金は18.5ユーロ。肉は柔らかく、味はかなりうまい。

すっかり暗くなった8時半すぎ、散策を終えてホテルに戻った。下の写真はホテルの部屋からの夜景。

今回のポルトガル旅行は、内容がかなり豊富だったので入国したのがなんだかずいぶん前のような気がする。シャワーを浴び、旅行中の出来事を思い出しながら就寝。


早朝5時に起床。この日でポルトガルを出国し、乗継ぎ地のロンドンへ向かう。チェックアウトして外に出ると、まだ真っ暗だが満月なので月明かりは明るい。前日のうちに見つけておいたタクシーステーションへ移動したものの、しかしながらタクシーはいない。どうしようかと思っていると、すぐに流しのタクシーがやってきた。乗り込んで空港へ向かう。

ファロ空港は市街地からそれほど遠くはなく、約5分で到着した。タクシー料金は約10ユーロ。まずはライアンエアーのカウンターへ行き、荷物を預けた。チェックインはすでに旅行前にインターネットで行っており、搭乗券は印刷して持ってきている。

世界の2大格安航空会社のひとつと言えるライアンエアーだが(もうひとつはイージージェット)、まだ利用したことはなく、今回初めて乗ることになる。機内に持ち込む荷物については、さすがに大きさと重量の制限が厳しく、種類にかかわらず各自ひとつしか持ち込めない(ハンドバッグサイズを2つというのも不可)。大きさについても、持ち込める最大サイズで作られているケースが置いてあり、それに入る大きさかどうかのチェックが搭乗前に厳密に行われる。私の場合はリュックサックひとつだったので、何の問題もなくケースに入り「Fine !」と言ってすぐに通してくれた。うまく入らなかったために預け直す破目になった乗客も何人かいたので、ライアンエアーに乗る際は(有料ではあるが)荷物は預けるようにするほうが無難。

やがて搭乗時刻になり、歩いて飛行機へ向かう。LCC なので座席の間隔が狭いかと思っていたが、まったくそういうことはなかった。機内は自由席なので右側の窓際の席を確保。

朝7時半、ファロを離陸。約8年ぶりのヨーロッパとなったポルトガル旅行だが、移動や滞在は快適だし、物価もヨーロッパの中では安いほうだし、本当に楽しい旅行だった。おかげで、この旅行記も今までにないくらいページ数が増えてしまった。

このところなぜか行く機会のなかったヨーロッパだが、公共交通機関が発達していて移動が楽なのはさすがだと思う。今後はブルガリアやルーマニアなどの東欧にも興味があるし、数年以内にはまたヨーロッパを旅行してみたい。