ポルトガル旅行記(サグレス / 要塞)

サグレスの中心部から自転車で数分のところにサグレス要塞がある。15世紀に建てられた要塞で、サグレスではまず最初に行ってみたいスポットだった。


自転車で少し走ると、一直線に続く道路の先に要塞が見えてくる。夜中にサグレスに着いた沢木耕太郎は、この道を要塞に向かって歩きながら「歩いても歩いても、壁に近づいていかない。私は蜃気楼でも見ているのだろうか」と思っている。深夜特急を読んだときはこの状況がよく理解できなかったのだが、この道を見るとよく分かった。昼間に自転車で走っても「なかなか要塞が近づいてこない」と思うのだから、夜中にここを歩いたらそういう錯覚に陥ることは十分想像できる。海外旅行をやっていると、このように実際にその場所へ行ってみて体感的に理解できることは多い。

沢木耕太郎は途中で野犬に出会って引き返しているが、私は犬を見かけることもなく要塞の前に到着した。自転車を停め、歩いて要塞の入口へ。

壁の中に入るとチケット売り場があり、3ユーロでチケットを買って中に入る。要塞内は岬先端の灯台まで見通すことができ、一回りするのに1時間くらいはかかりそうなくらい広々としている。以下、主な風景を載せることにする。

まずは、この要塞でもっとも有名な風向盤の跡地。直径は約43メートル。

こちらは、かなり古そうな砲台。サグレスはポルトガルにとって重要な防衛拠点だった場所なので、こういう大砲が何基もあった。

もっとも、このような建造物があるのは入口付近だけで、あとは灯台まで荒涼とした風景が続いている。とりあえず灯台のほうへ進む。

よく見ると植物も面白い。この方面は詳しくないので名前はわからないが、しかし 地雷撤去ボール みたいな植物。

周囲の海は、遠くを見ると穏やかだが崖の下を見ると荒々しい。特に柵も作られていないので、崖の縁まで近づくことができる。

というわけで、当サイトではおなじみの「自分の足先が写るようにして、崖の下を見下ろした写真」を撮ってみた。しかし高いところで毎回こんなことをやっていたら、いつか落ちるような気がしないでもない。このサイトが突然消えたら、そのときは崖から落ちたものと思ってほしい。

崖に沿って歩いていると釣り人が見えた。こんな危なそうな場所で、しかも不安定な姿勢で釣りをやっていたら、いつか落ちると思う。

別の角度で見ると、釣り竿だけが動いているのが見える。この動きが意外と面白く、しばらく眺め続けることになった。今になって、動画で撮らなかったことを後悔している。

遠くに見えるのが、このサグレス要塞の次に訪れる予定のサン・ヴィセンテ岬。インターネット上の旅行記を読むとあの岬まで歩いた人も多いようだが、よくあんなところまで歩けると思う。自転車がないと、とても行く気にならない。

遊歩道に沿って岬先端の灯台まで歩き、来た方向を眺めてみた。遠くに見える白い石組みが要塞入口の石壁になる。

この灯台の写真を撮ったように思っていたのだが、後で確認したら撮っていなかった。というわけで灯台のアップの写真はない。旅行中、なぜかときどきこういうことをやってしまうことがある。

ここから、ゆっくりと入口のほうへ戻る。荒涼とした景色は好きなので、途中の雰囲気はかなり楽しめた。こういう景色が好きな人にはお勧めの場所といえる。

石壁のあたりに戻ると、小さなカフェや土産物店がある。カフェでコーヒーを飲みながら少し休憩し、土産物店で風向盤がデザインされたTシャツを購入した(6ユーロ)。沢木耕太郎は宿泊したホテルの老婦人とツーリストインフォメーションオフィスで出会っているが、私はツーリストインフォメーションらしい場所は見かけなかった。

続いて石壁の上に上り、サグレスの町の方向を眺めてみた。荒涼とした土地にぽつんとある町ということがわかると思う。

この後、石壁周辺をしばらく散策してから次の目的地のサン・ヴィセンテ岬へ向かうことにした。