国内旅行編(函館 / 北海道鉄道博物館)

2013年11月、函館駅前和光ビルの解体に伴い北海道鉄道博物館は閉館しています。

2013年の1~3月、用事があって函館に行く機会が3回あった。九州在住者としては、道南であっても冬の北海道の雪景色は驚かされるもの。下の写真は2月の函館空港の風景。

この函館滞在の際、駅前の和光デパートに大きく掲げられていた看板が気になった。

北海道鉄道博物館という、鉄道好きとしては見逃せない博物館があるらしい。さらに、看板を見るとなんとなくB級スポット的な雰囲気も感じる。

しかしながら2月の時点では時間に余裕がなく、3月に改めて入ってみることにした。


翌3月、すっかり雪も消えて函館は晴天。駅前の風景も1ヶ月前とはまるで違う。

では、和光ビルの中へ。各フロアの案内図を見て驚いたのが、3階と4階が閉鎖されているということ。その他の階も店舗が少なくなんだか閑散としているし「もしかしたら、このデパートはもう長くないのかな」という気がした。

この予感は当たっていて、実際にこの年の11月に和光ビルは解体されている。

エレベーターで6階に上がると、目の前に北海道鉄道博物館があった。

では500円できっぷを買い、中に入る。パスポート(1,000円)というのはいくつかの体験がセットになったもので、入場料だけなら500円。

レールの上を歩いて館内へ。

まずは鉄道資料のコーナー。たくさんの書籍やアクセサリーなどが並んでいた。販売されているものも多く、古い時刻表などは興味はあったのだが、買うのはやめておいた。

石炭も売られていた。1グラム3円が高いのか安いのか、知識がないからわからない。

こちらは鉄道設備が展示されているコーナー。

急行「利尻」のヘッドマーク。かつて札幌~稚内間を運行していた夜行列車で、現在は廃止されている。

ヘッドマークの裏に回るとこんな感じ。門静駅は根室本線の駅で、こちらの駅は現存している。

おそらく旭川駅の待合所の風景。背もたれが垂直の椅子がいい雰囲気。背の高い人同士が背中合わせに座ると、頭が当たりそうになるんですよね。

さまざまな鉄道設備が展示されていた。ドアだけが並んでいる景色は面白い。

北海道の地図。かつてはたくさんの鉄道路線が走っていたことがわかる。その多くが廃止になり、現在は鉄道路線図がほとんど書き換わってしまったほど。天北線、羽幌線、興浜北線、興浜南線、湧網線、標津線、胆振線なんて一度は乗ってみたかった。宗谷本線や根室本線も、はたしてずっと存続できるだろうか。

時代を感じさせるポスターもあった。

列車の車輪。車と違って左右一体型で作られている。

ここでクイズ。上の写真からわかる通り、列車の車輪は軸でつながっていて、左右の回転数は必ず同じになる。では、なぜカーブで脱線しないのか。

イメージしやすい例として路面電車を考えると、下の函館市電のように交差点で90度のカーブを曲がることがある。

写真からわかる通り、カーブの内側と比べて外側の距離のほうがずっと長い。つまり外側のほうが車輪は長い距離を進む必要があるのだが、しかし左右の回転数は必ず同じ。では、なぜ列車は脱線しない?

「内側の車輪が滑っているのでは?」と思う人がいるかもしれないが、決して滑っているわけではない。ヒントは車輪の断面形状にある。

列車の車輪は底が平らになっておらず、斜めにカットされている。これが肝要で、遠心力によってカーブの内側では径が小さい部分がレールに当たり、カーブの外側では径が大きな部分がレールに当たるような力が働く。これにより、回転数が同じでも左右の車輪が進む距離が変わり、脱線せずに列車が進むという仕組み。

本当に、よくできた仕組みだと思う。それに、これなら左右の車輪の直径が完全に同じでなくても問題なく走ることができる。この話を最初に聞いたときは感動した。(なお、車の場合はディファレンシャルギアという装置によって左右の回転数が変わるので、列車とは仕組みが異なる)

クイズはここまでにして、次は古い写真が展示されているコーナー。

かつての稚内駅と稚内桟橋駅の風景。稚内桟橋駅は樺太航路などの定期船が発着していた頃に使われていた駅で、現存していない。

入口のきっぷ売り場まで戻ってくると、炭鉱トロッコのレールがあった。

別料金を払えばトロッコに乗ることができる。といっても機関車があるわけではなく、スタッフの人が後ろから押してくれるそう。

乗ってみようかとも思ったが、さすがに一人で乗るのは少し恥ずかしいのでやめておいた。代わりに YouTube で探したら動画があったので載せておく。スピードを変えて2周してくれるとは知らなかった。

館内には「電車でGO !」のゲームもあった。

しかし野田さんはすごい。他の人とレベルが違ってる。

これで鉄道博物館を一通り見たので、館内をもう一度よく見てから外に出た。

なかなか楽しい博物館だった。できればもう一度来てみたいと思っていたが、前述の通り現在は建物自体がなくなっているので、再訪は実現できなかった。かつて函館駅前にこういう博物館があったことを、当ページを見て知ってくれる人が現れると嬉しい。


函館駅に入ると「コンブ新幹線・雲竜号」というものが展示されていた。コンブというよりイカがモチーフだと思うが、しかし緑色の目がエイリアンみたいで不気味。

さらに函館駅には巨大イカもいた。

このとき以来、函館に行く機会がない(2021年時点)。新幹線の開通に伴う再開発により函館駅前の風景が大きく変わっているという話なので、いつかまた行きたい。

(2013.3.25)


2023年6月、10年ぶりに函館に滞在した。このときに訪問した高龍寺達磨大師と、かつて和光デパートがあった駅前交差点の風景については、当サイト別館の以下のページを参照。