ワットセーンスックの次の目的地は、道徳天霊宮という豪華絢爛の中国寺院。
もともとはワットセーンスックを見るために計画したタイ旅行だが、調べているうちに道徳天霊宮にも強く惹かれるようになってきた。ワットセーンスックと並んで、バンセーン滞在中にどうしても行ってみたいスポットだった。
正門の前でバイクタクシーを下り、門を見上げてみた。内部の風景に期待が高まる。
中に入ると、正面に4階建ての本堂が見える。インターネットで写真は見ていたが、実際に見ると圧倒されるほどすごい。豪華絢爛という言葉がこれほどぴったりと当てはまる建物も、世界にそうはないだろう。「どれだけ金持ってるんだよ」と言いたくなる風景。
本堂の前の噴水は金色だらけで目が痛くなるほど。さすがにこれはやりすぎというか、ちょっと悪趣味。
本堂に入ろうとすると、ちょうど中から女性グループが出てきて記念写真を撮っていたので、こちらも便乗して写真を撮らせてもらった。なかなかの美人だと思う。
タイといえばニューハーフが有名だが、はたして上の写真の2人はどうだろう。個人的には女性だと思ったが、写真を見ていると自信がなくなってきた。異論がある人は指摘してほしい。
では、靴を脱いで本堂に入ることにする(本堂内は土足禁止)。しかし細かい造形も本当に凝っている。
ここで本堂内の写真を載せたいところだが、残念ながら本堂内は写真撮影禁止。そこで、代わりにテラスから見た本堂前の広場の写真を載せておく。遠くに海も見えるし、景色はきれい。
上の写真で赤い服を着た人が2人歩いているが、これは同一人物。3枚の写真を Microsoft ICE を使って合成したら、2人になってしまった。
本堂内の写真を以下に載せておく。写真撮影禁止なのになぜ写真があるのか疑問に思うかもしれないが、これはテラスから覗き込んだもの。「あくまで建物内が写真撮影禁止だから、外から覗くような形だったら OK でしょ」という強引な解釈によって写真を撮ってみた。この通り建物内も豪華絢爛だし、変わった姿の神様も多かったので、近くで写真が撮れないのが残念。見たい人は実際に訪れてほしい。
しかしこの寺院、正面から見える部分だけでなく、裏から見ても手抜きをしてないところはさすがだと思う。
この寺院で一番すごいと思ったのが、あちこちにある柱。この通り、その全てが龍が巻き付いた形になっている。柱の上の方にはちゃんと龍の頭も作ってあるし、龍の造形もそれぞれ違うし、本当に見事なもの。柱を見ながら歩くだけで楽しめる。
本堂の2階には鐘楼がある。参拝客が自由に鐘をついていたので、行ってみることにした。
こちらが鐘楼の鐘。日本の梵鐘と似ているが、少し形が違っていて、縁が波型に広がっている。後で調べたところ、日本の寺院でも中国から持ち込まれた梵鐘の中にはこういう形があるということだった。中華寺院ということで鐘も中国式だったようだ。
他の参拝客が鐘をついているところの写真を撮り、このあと自分でも鐘をついてみた。鐘の音は日本の梵鐘と変わらない。
建物内の階段は壁が絵で埋め尽くされている。本堂内は写真撮影禁止だが、階段部分にはそういう表示はなかったので、「それなら OK でしょ」という強引な解釈によって写真を撮ってみた。
特に下の写真は、男性の顔があまりにも生々しかったのでアップで撮らずにはいられなかった。
いったん本堂を出て、続いて境内を歩いてみた。屋根に覆われたエリアに入ると、たくさんの仏像が並んでいて人々がそれぞれに参拝していた。
そして、ここには「六十甲子六十太歳」像もあった。ということは、あの「甲子太歳神金辨」様もいらっしゃるはずと思って探してみると、最上段の端にその姿があった。
目から手が!!!
この姿とは、台湾の金剛宮で初めて対面して衝撃を受け、次に香港の萬佛寺で再開して以来、3回目の出会いになる。この姿について少し調べてみたところ、実は 清虚道徳真君 という仙人に救われた楊任という人物が由来ということだった。最初に見たときは「あらゆる方向を見渡すことのできる神様か?」と単純に考えていたが、いろいろと数奇な話があるらしい。道教系の神様ということなので、今後もアジアの寺院でこの姿を見ることがあるだろう。
寺院から細い道路を渡ったところに、こういう建物がある。ここも寺院の一部らしいので、靴を脱いで中に入ってみた。
本堂と比べると建物内はがらんとしていて、壁に沿ってたくさんの神様の像が並んでいる。
これらの神様も「六十甲子六十太歳」らしいので、あの姿を探したところ、無事に発見。
目から手が!!!
この姿は、香港の萬佛寺と似ているように思う。萬佛寺で「目から手が!」の姿を見たときは「カエルの足が目に刺さっているようで少し気持ち悪い」と思ったが、この神様がこういう姿になった由来を知ってみると、そう思ってしまったことが申し訳ない。
しかし、この寺院では甲子太歳神金辨様(甲子太歳金辨大将軍という言い方もあり)を2体も見ることができ、大変満足した。
ちなみにこの神様の由来となった楊任という人物だが、「封神榜続集・武王伐紂」という中国のドラマに登場していることを旅行の翌年になって偶然知った。その驚愕の姿がこちら。
いやあ、やはり強烈だ。私はテレビドラマなどはあまり見ない人間だが(韓流にもまったく関心がないし)、この登場場面だけは見てみたい気がする。このドラマを見たことがある人がいれば、この手が自在に動いているのかどうかを教えてほしい。動かない神像でしか見たことがないので、この手が触角のように動いている光景を見てみたい。
この後、本堂内や境内の土産物店などを散策した。私が道徳天霊宮にいた時間は3時間ほどだが、まったく飽きなかった。ただ、本堂のテラスには水が溜まっているところも多く、床に注意していないと靴下を濡らしてしまうことになる。私はそれでテラスのベンチ(もちろん金色)に座って30分ほど靴下を乾かすことになってしまった。これから道徳天霊宮へ行く人は気を付けてほしい。
この道徳天霊宮は、私が今までに見た中国寺院の中でも外観の豪華絢爛さという点では最上級だった。本堂内が写真撮影禁止なのが残念だが、しかし訪れる価値は十分ある。まだインターネット上でも訪問記は少ないようなので、ここを見たことのある日本人は多くはないと思う。このページを見て、実際に行ってみようと考える人が現れたら嬉しい。
次の目的地は「サラ・ルーシー」だが、寺院の前の大通りで眺めていてもバイクタクシーはまったく通らない。いくら待っても埒が明かないので、わりと頻繁に通るソンテウ(小型トラックの荷台を改造して旅客用とした乗り物)でバンセーンに戻り、そこでバイクタクシーに乗ることにした。
地元の人が乗り込もうとしていたソンテウに近づき、運転手にバンセーンビーチへ行くかどうか聞いたところ、乗っていいということだったので後ろの荷台に乗り込んだ。座席は地元の人たちで満員で、片言の英語で「どこから来た?」「日本から」などという話をしている間にあちこちを回って乗客が下りていく。途中で「これってバンセーンビーチとは反対の方へ向かってないか?」と気付いたが、悪い人たちではなさそうだったのでそのまま乗っていたところ、郊外のミニバスターミナルのようなところで残りの乗客が全員下りていった。ここで乗客は私1人になり、ソンテウは元の方向へ疾走を始めた。道徳天霊宮の前を再び通り、途中で乗客を乗せることもなくバンセーンビーチへ。どうやら、運転手の意図は「これは反対方向行きだが、終点からバンセーンビーチへ送ってやる」ということだったらしい。
ソンテウの座席に1人でゆったりと座り、やがてバンセーンビーチのモニュメント前に到着した。請求された料金は40バーツで、一般的な相場よりは高いと思うが、何しろ終点からノンストップで送ってもらったので素直に払った。
せっかくなので、この時に乗ったソンテウの写真を撮っておいた。
バンセーンビーチ沿いでバイクタクシーがたむろしているエリアへ移動し、ここから次の目的地のサラ・ルーシーへ向かった。