タイ旅行記(ワットセーンスック)

バンセーン市街の外れにワットセーンスック(Wat Saen Suk)という寺院がある。コンクリート像による地獄風景で有名な寺院で、ここを見るために今回のタイ旅行を計画したので、ここが主目的地になる。

旅行前にバンセーンについて調べていると、このワットセーンスックの他に「道徳天霊宮」「サラ・ルーシー」というスポットがあることがわかり、この日のうちにまとめて3ヶ所を訪れることにしていた。


バンセーンのビーチ沿いからバイクタクシーで5分ほどでワットセーンスックの正門に到着した。門の外にも、こういう面白いオブジェがたくさんあって楽しめる。おそらく内容は仏教説話のようなものだと思うが、よくわからない。

こちらがワットセーンスックの正門。門の横の威圧的な像は日本でいうところの閻魔大王に相当する神像かもしれないが、タイ語は読めないので正体はわからない。

門の横には太鼓腹の羅漢さんと賽銭箱を持った小僧がいる。写真を撮っていると、小僧と似たような感じの子供が歩いてきて、いいツーショット写真が撮れた。この時は、この子供に対して「グッジョブ!」と心の中で叫ぶことになった。

さて門の中に入ろうとすると、豪華な大型バスが3台も連なって入ってきた。バスからはお揃いの青いシャツを着た集団が下りてきて、ぞろぞろと寺院の中に入っていく。ワットセーンスックを参拝に来た団体客らしいが、正体はよくわからない。

では、私も門の中へ。青シャツ集団が寺院の関係者から説明(あるいはお祓いか?)を受けているところをしばらく眺めてみた。

ここを過ぎると、お目当ての地獄風景が見えてきた。

まずは定番の巨大亡者を見上げてみた。2年前の2011年に見たワットムアンの巨大亡者と同様、異様に長い舌が特徴的。

それぞれのアップ。少しアンガールズの田中似。

こちらは裁きを受けている男女。首に鎖が巻かれているので、生前に何か悪いことをしたのだろう。

この女性のアップ。地獄では女性はみんなトップレスなので、それに備えて現世でもトップレスに慣れておくほうがいいかもしれない。(自分でも何を言っているんだか)

巨大亡者を取り囲むように並んでいる異形の者たち。牛やワニやカエルやニワトリなどは想像できる範囲だが、しかしエビ人間というのは斬新で、よくこんな姿を考えたと思う。最初に見たときはかっぱえびせんのパッケージを思い出した。

では、この周囲で延々と繰り広げられていた地獄の責め苦を以下に並べておく。釜茹でにされたり鳥に内蔵を食われたり万力で潰されたり、バラエティに富んでいる。ワットムアンで地獄風景を見たときも思ったが、どれも痛そう。

こちらの亡者は、目と口が点のように小さくなり、食べ物が口に入らずに空腹責めを受けている姿らしい。

地獄風景の中で唯一理解できなかったのがこれ。鍋の周りで酒を飲んでいい気分で寝ている人たちで、これがどういう地獄なのか全くわからない。意味を知っている人がいたら教えてほしい。

そして、タイの地獄風景で定番のトゲトゲの木。この木に登らされるときは男女とも全裸。

お祓い(?)を終えて地獄エリアにやってきた青シャツ集団と一緒に、写真を撮りながら地獄を回ってみた。ワットプートウドムのような動くアトラクションはないが、しかしどの責め苦も凝っているので面白い。

ちなみに上の写真に写っている青シャツの女性が持っているのはNHKの「どーもくん」のバッグ。このキャラクターはアジアだけでなくこの3ヶ月後にグアムを旅行した時も見かけた。私はこのキャラクターが世界各地で人気なのが不思議で仕方がない。

地獄エリアを堪能した後、続いてこちらの通りへ。この道の両側に様々な場面が作られている。

「夫婦喧嘩で刺されそうになっている人」「牛人間に刺されている人」「自分の腸を鳥に食わせている人」「カエルを神輿で担いでいる人たち」「十字架に磔になって沈んでいる人」「頭の上がコブラになっている人」など、意味がよくわからない場面が続いている。タイの人にはわかるのかもしれないが、説明がタイ語だけなので読めない。

まあ、意味はわからなくても珍風景として見ればかなり楽しめる。

こちらはカニを獲っている人。石の上にいるカニの造形が見事。

これは「意地悪な先生の後ろでこんな顔をしている生徒」または「女主人の偉そうな態度を密かに嫌っているメイド」あたりだろうか。しかしこんな場面を作っていいんでしょうかね。教育上よくないような気もするが、まあ笑える場面ではある。

池の周囲にカラフルな鳥や人魚がいるエリア。おそらく、ここが地獄の対比となる極楽の風景だと思う。

人魚のアップ。なかなかいい体。

寺院内には大きな池があり、ここで鯉の餌を買うことができる。青シャツ集団が餌を撒いていたので、ここではそれを眺めるだけにしておいた。しかし青シャツ集団は老若男女さまざま。

この後、青シャツ集団はバスに戻り、出発していった。赤シャツと黄シャツではないので政治的な集団ではないと思うが、今でもこの時の青シャツ集団の正体がわからない。

帰国後に調べてみたら、最近は第3勢力として台頭しているシリキット王妃派が青いシャツを着ているらしいが、この時の集団がその青シャツ派だったのかはわからない。タイの情勢に詳しい人がいたら教えてほしい。

青シャツ集団がいなくなった後、池の近くにあった小さな店を見ているとドラえもんのシャボン玉セットがあった。一応「藤子プロのライセンス取得済み」なんていうことが書かれていたが、どこまで信用していいのかはわからない。せっかくなので、ここでは知人の子供のために2個買っておいた。

さらに周囲を散策。西遊記はわかるが、首がない人にはドキッとさせられる。あと、天秤の両側に老夫婦を乗せている人というのも意味がわからない。

いったん門の外に出ると、こういう自転車に乗っている子供たちがいた。

停めてあった自転車のアップ。ちゃんとライセンスが取得してあるのかどうかはわからない。

これで寺院をひと回りしたので、さらにもう一度寺院内を回ってから、次の目的地に移動することにした。このワットセーンスックは、ワットプートウドムのような動くアトラクションはなく、ワットムアンほど規模も大きくはないが、しかし面白かった。タイにはこのような地獄寺がまだまだたくさんあるので、今後も訪問を続けていきたい。


ここからバイクタクシーに乗る必要があるのだが、しかしバイクタクシーはどこにもいない。露店の女性に聞いても、少し離れた大通りまで出ないと見つからないだろうということだった。バイクタクシーはどこにでもいると考えていたのだが、どうやら甘かったらしい。

仕方がないので少し歩いて大通りまで出たが、大通りといってもそれほど交通量が多くはないので、バイクもほとんど見かけない。ちょうど近くに安食堂があったので、ここでいったん昼食にした。

注文したのはレッドカレー。

かなり辛いが、味はなかなかうまい。安食堂でもこれだけうまいタイカレーが食べられるのだから、やはり東南アジアは食のレベルが高いと思う。ペットボトルの水と合わせて値段は80バーツ。

食後、大通りに出て注意して周囲を見ていると、遠くからバイクがやってきた。合図をするとやはりバイクタクシーで、そんなに長く待たなくてよかったのは幸運だった。あらかじめ印刷して持ってきておいた道徳天霊宮の外観写真を見せ、次の目的地の道徳天霊宮に向かった。