マカオ&香港&上海旅行記(マカオタワー / バンジージャンプ)

いよいよ、この日が来てしまった。といっても怖がっているわけではなく、もう楽しみで仕方がない。

大抵の人にとってはバンジージャンプなど金をもらってもやりたくないだろうが、私は高い金を払って200メートル以上の高さから落ちることになる。2007年のビクトリアフォールズ橋以来、今回が6年半ぶり3回目のバンジージャンプ体験になった。


朝10時にホテルを出ると、天候は小雨。気温も低く、日本から持ってきていたジャンパーを着てちょうどよかった。香港やマカオといえば台湾よりもやや南にあるので2月であっても寒くはないだろうと考えていたが、見事に予想が外れた。ジャンパーについては、どうせ使わないだろうし荷物になるから福岡空港のコインロッカーに4日間預けておこうかとも考えていたが、結果として持ってきておいて本当によかった。

マカオタワーへは路線バスもあるが、小雨が降っているのでタクシーで直行することにした。ホテル前からタクシーに乗り、約10分で到着。マカオタワーはマカオ半島の南端付近にあり、タクシー料金は25.5パタカ。

下の写真はマカオタワーの隣にあるコンベンション&エンターテイメントセンター。

この建物の地下にマカオタワーのチケット売り場があり、ここでチケットを買ってエレベーターで上ることになるが、まずはタワーを見てみることにした。

建物を通り抜けて外に出るとタワーがある。タワーの根元には一応マットが置いてあるが、タワーの上からだとどのくらいの大きさに見えるのだろう。

タワーを見上げると、バンジージャンプ台が小さく見える。あの位置(高さ233メートル)から落ちてくることになるが、見上げるとやはり高い。もっとも、この段階でも恐怖心は特に感じない。

近くでは何かのイベントが行われていた。帰国後に “Stepping High Macao Tower Run” について調べてみると、予想通りタワーを走って登るというイベントだったようで、この旅行の後の2月19日に行われたらしい。

ではマカオタワーに入ることにする。エスカレーターで地下1階に下りるとチケット売り場があるが、その前にカフェでパンとコーヒーの朝食にした。

では、改めてチケット売り場へ。マカオタワーの入場料金は135パタカで、バンジージャンプについて聞くと最上階で申し込むということだった。ここではマカオタワーのみのチケットを購入し、エレベーターで最上階に上がる。

最上階の1階下が展望所になっているが、そこは通過してまずは各種アクティビティのコーナーがある最上階へ。早速、バンジージャンプ用のハーネス装着エリアがある。

こういう場所では定番の、下が透明ガラスになっているエリアがあった。見下ろすとさすがに高いが、この段階でもまだ恐怖心は感じない。

では、アクティビティのカウンターで申し込み。バンジージャンプの他に「スカイウォーク」「スカイジャンプ」「マストクライム」のアクティビティがあり、もっともお手軽なのがタワーの縁に沿って一周するというスカイウォーク。スカイジャンプは自由落下ではなくガイドに沿ってゆっくりと地上に下りるというもので、バンジージャンプよりは初心者向き。

マストクライムはタワーの頂上(高さ338メートル)まで梯子を登るというもので、これだけは事前予約が必要になっている。以前、テレビ番組でイモトアヤコがやっているのを見たことがあるが、本人は大変なのだろうが傍から見るとずいぶんと地味。まあ、いつかやってみたい気もするが。

今回申し込むバンジージャンプの料金は、ジャンプのみが2,888パタカで写真と動画をセットにしたフルパッケージが3,588パタカ。やはり写真と動画も欲しいので、今回はセットを申し込んだ。1パタカ(1香港ドルとほぼ等価)が13円ほどなので、料金は5万円弱になる。こんな大金を払ってこんなことをやるのは、ほとんどの人にとっては「馬鹿じゃないのか?」という感じだと思うが、私はやってみたい。

クレジットカードで料金を払ってチケットとTシャツを受け取り、ロッカールームへ。このTシャツがバンジージャンパーの目印となる。少し寒いのでセーターの上からTシャツを着て、ロッカーに荷物を置いてからハーネス装着エリアへ。ここで体重を量り、腕に体重の値が書かれる。さらにスタッフにハーネスを付けてもらい、ジャンパーたちが順番待ちしている場所へ。

バンジージャンプをやってみる人はそう多くはないだろうと考えていたが、5人ほどの若い日本人男性グループが並んでいて、その次に若い中国人女性2人が待っていた。1回のジャンプに10分ほどがかかるので、自分の順番までは1時間ほど待つことになった。みんな腕に体重が書かれているので「ほう、この女性は〇kg なのか」なんてことがわかってしまう。

ハーネスを装着した状態で、一人がジャンプするごとに少しずつ前に詰めながら順番を待つ。前に並んでいた日本人グループは、ジャンプした人が再びここへ戻ってくると、まだ待っている人に「すごく爽快」「本当に楽しかった」などと報告している。「なるほど、そんなに爽快なのか」と考えると、ますます恐怖心などは感じない。

日本人グループのジャンプが終わると、次は若い中国人女性のはずだが、なぜか私が呼ばれた。体重の関係で順番が前後することがあると書かれていて、それに該当したようだが、なぜ体重で順番を変える必要があるのかは知らない。というわけで、まだ心の準備が十分にできていない状態でガラスドアを通って屋外に出た。

まずは椅子に座り、スタッフが装備を行ってくれる。最初に落下するときは頭が下になるが、足首のところのフックを外すと足が下になるという。最初のバウンドで上に上がってきた時にフックを外すといいということなので、このことを十分にイメージしておいた。

では準備が出来たのでジャンプ台へ移動。ここまで来て、ようやく緊張感が高くなってきた。両足首が固定され、この状態でワイヤーと接続されるので、ジャンプ台の先端へはスタッフに支えされながら両足跳びのようにして移動する。

先端に立って下を見下ろすと、地上にあるマットが小さく見える。この段階で緊張感は MAX だが、自分でも驚くほど恐怖心は感じない。準備ができ、スタッフの「下を見ず、正面を向いて両手を広げるように」という言葉通りの姿勢をとると(これが落ちる時の基本姿勢)、カウントダウンが始まる。これが1になったときに背中が押され、空中に向かって落下!

撮影してもらった連続写真を動画にしてみた。最初の落下は約6秒間で、公式サイトによれば最高速度は時速200キロ。

落下直後は特有のフワッとした感覚があるが、それがなくなれば本当に気分がいい。「なにこの爽快感!!!」という感じで本当に素晴らしい気分を味わえるので、これはぜひ多くの人に体験してほしいと思う。格好いい言い方をすれば、バンジージャンプなんて怖がる必要はまったくない。

最初のバウンドで一番上まで上昇したとき、足首のフックを外すと体の向きが変わって足が下になった。さらに、おそらくは景色がよく眺められるようにということだと思うが、体がタワーとは反対側を向くようになる。おかげでタイパ島の景色がよく見えるようになり、バウンドする間は空中からの景色を楽しむことができた。頭が下の状態だったらここまで景色を楽しむ余裕はなかったと思うので、これからバンジージャンプをやってみる人は足首のフックを外すことを忘れずに。

ただ、上のフラッシュ動画にもワイヤーが写っていることからわかる通り、落下中にタワーにぶつからないようにガイドが作られている。したがって、ここのバンジージャンプは完全な自由落下ではなく少しだけ拘束された落下ということになり、この影響でバウンドがすぐに収まってしまう。ジンバブエのビクトリアフォールズ橋はロープ1本だけの完全な自由落下だったため、まだ続くかと思うくらいバウンドを繰り返したが、ここは数回のバウンドで動きが止まってしまうことが少しだけ物足りなかった。

バウンドが収まると、少しずつ下がっていってマットに着地。地上に待機しているスタッフがハーネスなどの装備を外してくれる。この場面も撮影されているので、カメラの方向に向かって手を振ってから、スタッフに礼を言ってマカオタワーへ戻ることにした。

マカオタワーへ戻るときは一般の観光客と同じエレベーターを使うことになる。着ているTシャツを見せてゲートを通過し、エレベーターを待っているとフランス人らしい団体客がやってきた。ガイドらしい人がTシャツを見て「バンジージャンプをやったのか!」と聞いてきたので、こちらもエレベーター内では得意げに「Very nice !」「Do you try ?」なんてことを話しているうちに最上階に着いた。

ロッカーに預けていた荷物を取り出し、写真と動画の編集が終わるのを待っていると、若い中国人女性が準備を行っているところだった(私が順番を飛ばした2人ではなく、その次の人)。

この女性がなかなか綺麗な人で、実はこっそりとアップで写真を撮ったりもしたのだが、このサイトにその写真を載せるのはさすがに気が引けるのでやめておく。

この女性のジャンプの時、例のフランス人団体客が大歓声を上げていた。こういう若い女性も多く挑戦しているし、繰り返すがバンジージャンプなんて怖がることはまったくない。

写真と動画はDVDではなくUSBメモリに入れて渡される。カウンターの前のモニターに編集が終わった動画が映されるので、他の人の動画も見ることができる(自分のが見られるのは少し恥ずかしいが)。それを見ていると、他の人はみんな足首のフックを外せず、最後まで頭が下になったままだった。うまくフックを外したのが自分だけだったというのが驚き。

USBメモリを受け取った後も、せっかくなので先ほどの美人の中国人女性の動画まで見終わってから下の階に下りることにした。完全な自由落下ではないという点はあるにしても、やはり高さ233メートルからのバンジージャンプは楽しい体験だった。怖がることはないので、マカオを旅行する際は挑戦してみてほしい。

それから、バンジージャンプを体験した人のサイトにときどき書かれていることだが、私も次のように思っている。

「高いところから飛び降り自殺した時、落下中に意識を失うと思っている人がいるが、それは嘘。意識は最後まではっきりしているので、飛び降り自殺はやめましょう」


バンジージャンプ台がある最上階の1階下が展望所になっていて、こちらでは最上階とは違って真下を見ることができる。ここから見ると、このタワーの細さを実感する。

こういう場所でのお約束の写真。高所恐怖症の人は、こういう写真でも怖いと思うのだろうか。

バンジージャンプ台の真下が、落下する人を見るポイントになっていた。上のモニターにジャンプする人の様子が映ることになる。

ここで見たバンジージャンプの様子を動画で撮ってみた。しかし自分がジャンプするときもここで見られていたとは知らなかった。こんな風に騒がれていたのかと思うと少し恥ずかしい。

ちょうど集まっていた日本人ツアー客の団体と一緒に落下する人を見送り、遠くを見てみると金色に光るグランド・リスボアホテルが見えた。しかしここから見ても悪趣味。

この階には展望レストランもあるが、値段が高そうだったので地下1階に下りることにした。もう一度周囲の景色を眺めてからエレベーターへ。おそらく、次にここへ来るときはマストクライムをやってみることになると思う。


地下1階のカフェで昼食にして、外に出た。下の写真はマカオタワーの展望所と地上から眺めたタイパ島方面の景色。マカオタワーの高さが実感できるだろうか。

これで今回のマカオ旅行最大の目的を無事に終えることができた。この時点で時刻は午後3時で、ホテルを出たのが10時だから5時間近く滞在していたことになるが、本当に楽しかった。マカオでのアトラクションはベネチアンのゴンドラよりマカオタワーのバンジージャンプ。

マカオタワーのバンジージャンプを制覇した私としては、今もっともやってみたいバンジージャンプがこちら。南アフリカの橋の上から飛ぶもので、高さは216m。

「マカオタワーより低いじゃないか」と思うかもしれないが、橋の上からの完全自由落下なので、マカオタワーとは興奮度が違う。

リンク先のページにも書かれている「ガイドロープに従ってのジャンプは自由な落下を阻害するためバンジーとは認めがたい」という考えは、たしかにマカオタワーから飛んでみた者としては共感できる気がする。南アフリカを再訪するのがいつになるかわからないが、一生に一度は体験してみたい。

タワーの前のバス乗り場に主要路線図が貼ってあり、次の目的地に行くバスの番号が確認できた。やがてやってきた18番のバスに乗り、世界遺産の寺院「媽閣廟」へ向かった。


2007年のジンバブエ・ビクトリアフォールズ橋でのバンジージャンプ風景については、当サイトの南部アフリカ旅行記を参照。

あと、熊本県五木村のバンジージャンプ(高さ66m)をやったときの風景は、当サイト別館で紹介しています。