コソボ&アルバニア旅行記(プリシュティナ~プリズレン)

コソボ滞在2日目。この日で首都プリシュティナを離れ、アルバニアとの国境に近いプリズレンという町に移動することになる。

1日だけの滞在になったプリシュティナだが、サーカスという予想外の娯楽も体験することができたし、町の雰囲気は平和そのもの。日本人が一般に持っていると思われる「コソボは危険」というイメージとは大違いだった。このページを見て、コソボの印象が変わった人も多いはず。


朝7時に起床。朝食後、9時にホテルをチェックアウトし、フロントで荷物を預かってもらってホテル周辺をしばらく散策することにした。周辺は旧市街になっていて、歩いていくと市場があった。ただ、規模はあまり大きくない。

野菜や果物は豊富そう。

旧市街自体があまり広くはないが、細い路地が入り組んでいて歩いていると面白い。市場の近くにはプリシュティナで最大のモスクだというファーティヒ・ジャミーア(Xhamia e Fatih)があった。建てられたのは1461年だそう。

その向かい側に、高さ15メートルの時計塔があった。こちらは建てられたのは19世紀。

時計塔を一回りしてみると、何だか見たことのあるようなキャラクターの落書きがあった。しかしコソボであの映画が有名という話も聞かないし、多分別のキャラクターだと思う。

ファーティヒ・ジャミーアの前は芝生になっていて、ベンチも置いてあるのでしばらく休憩。扉が閉まっていたのでモスクの中には入れなかった。

そろそろホテルに戻ることにして、歩いていると若者たちの行列に出会った。どういう人たちかはわからなかったが、近くに大学があるのかもしれない。

10時半、散策を終えてホテルに戻った。


荷物を受け取り、フロントでタクシーを呼んでもらってスタッフに挨拶してからホテルを出発した。このホテルプリマは部屋もきれいだし、スタッフも親切なのでプリシュティナ滞在の際はお勧め。

20分ほどでバスターミナルに到着し(タクシー料金は2.7ユーロ)、プリズレン行きのバスを探す。前日は窓口でグラチャニツァへ行くバスをこっそりと聞いたが、今回は何も躊躇することはない。ケバブを売っている店の店主に聞いたら、店の前のバスがプリズレン行きだった。プリズレンはコソボの有名観光地なので、バスは頻発しているらしい。

午前11時にプリシュティナを出発。バスが動き出したところでケバブの店を撮ってみた。プリズレンまでの運賃は4ユーロ。

プリズレンまでの所要時間は1時間45分。途中の車窓風景は、それはそれは見事なくらいに地平線まで緑にあふれていた。こんな豊かな地域をアルバニア人に取られたのだから、セルビア人も怒るはず。

12時45分、プリズレンのバスセンターに到着した。天候は小雨で、日本から折畳み傘を持ってきていたのが役に立った。下の写真がプリシュティナから乗ってきたバス。

ホテルは予約していないので、まずは泊まるところを探さないといけない。事前に調べた情報によると、旧市街のほうにホテルがあるということだったので、そちらへ歩いてみた。

バスセンター付近にはショッピングモールのような建物もあったが(ただし規模はそれほど大きくはない)、1キロほど歩くと川沿いに出た。この川を渡っていると、遠くに旧市街が見える。

橋を渡り、起伏のある細い通りを歩いていくとホテルが何軒か見つかった。セントルム(Centrum)というホテルが一番きれいだったが、ちょっと高そうに思えたのでパスし、その近くにあった Benisi というホテルに入ってみた。

部屋もきれいだし、宿泊料金も25ユーロと手頃だったので、ここに泊まることにした。無事に泊まるところも見つかり、一安心。

続いてプリズレンの町を散策することにした。天候は小雨だが、さすがにコソボの有名観光地だけあって人通りは多い。川に架かっている橋を渡ると、欄干に鍵がたくさん掛けてあった。観光地でよく見る風景。

川沿いを旧市街中心部のほうへ歩く。対岸はレストランなどが並んでいて、かなりの賑わい。

まずは川に架かっている石橋へ。プリズレンの写真には必ず写っているスポットなので、最初に見ることにしていた。旧市街の広場にあるモスクと、さらに遠くにある城塞をバックにしたオスマン帝国時代の石橋という、プリズレンの定番写真がこちら。さすがに定番ショットだけあって、構図が素晴らしい。

階段を下り、石橋を下から眺めてみた。この石橋が架けられたのは16世紀だという。

この石橋を中心としたエリアが、旧市街の中心部になる。プリズレンはコソボでも有名な観光地だけあって、小雨だというのに大勢の観光客が歩いていた。ただし、予想通りアジア系の人間はまったく見ない。

丘の上にある城塞からプリズレンが一望できるということなので、登ってみることにした。濡れている地面で滑らないように、慎重に丘の上へ。傘を差すか差さないか、かなり微妙な天候。

下から見ると遠くに見えたが、登ってみると意外と早く城塞に着いた。ここから眺めたプリズレンの町並みがこちら。しかしヨーロッパの町並みというのは屋根の統一感がすごい。

先ほどの石橋周辺をアップで撮ってみた。

微妙に雨が降っている中、城塞内を散策。景色を見るスポットなので、店などは何もない。

しかし柵などがまったくないため、落ちたら命はなさそうなところにも人が立っている。なかなか面白い眺め。

しばらく景色を眺めた後、ゆっくりと下りることにした。途中に屋根が落ちた建物が見えたが、もしかしたら紛争時に被害を受けた建物なのかもしれない。もっとも、単に空き家になって屋根が落ちただけかもしれないが。

旧市街に戻り、川沿いをさらに散策。景色は本当にきれい。

散策の途中、「M Burger」という店で昼食にした。注文したのはチーズバーガーとコーヒーのセットで、値段は2.5ユーロ。かなりボリュームがあり、これで2.5ユーロは安い。コソボでは食事に金がかからない。

昼食後、モスク「Xhamia e Sinan Pashes」の横にある土産物店を見てみた。

ここではマグカップと置物を買ってみた。どちらもアルバニアの国章「双頭の鷲」が堂々とデザインされていて、これをセルビア人に見せたら殺されるかもしれない。値段は合計9ユーロ。

いったんホテルに戻り、1時間ほど休憩。再び外出して、歩いてバスセンター方面へ。翌日に隣国のアルバニアへ移動するため、プリズレンからティラナへのバスの時刻を調べておく必要がある。

バスセンターへ向かう途中、「レヴィシケの生神女教会」という建物があった。14世紀に建てられたセルビア正教の教会だそうで、世界遺産にも登録されている。

ただし、ここは同時に危機遺産リストにも加えられている。なぜかというと、2004年に反セルビア人暴動が起きたときに、アルバニア系住民の過激派によって焼き討ちに遭ったため。今は閉鎖されていて、有刺鉄線が威圧的。

さらにバスセンターのほうへ歩く。夕方ということもあって、途中の道路は渋滞が起きていた。おそらく、下の写真の三叉路が旧市街付近でもっとも交通量の多い場所。

バスセンターに着き、バスの時刻表を調べてみた。事前に調べていた情報では、1日に1便、早朝にプリシュティナを出発するバスがプリズレンを経由してティラナへ向かうということだったが、それらしい時刻がまったく見つからない。もしかして今は路線がなくなったのかも、などと不安に思いながら、確認のために1軒だけあった旅行店に入って聞いてみることにした。

デスクに座っていた男性に「明日、ティラナへ行きたいんですがバスはありますか?」と聞いたところ、このバスセンターからはバスは出ていないが、早朝にバスセンター前の大通りから乗れるということを教えてくれた。乗り場の地図も書いてくれたので、礼を言って店を出たが、親切に教えてくれた男性には感謝している。

とりあえず乗り場の位置を確認しておくために教えてもらった場所へ歩いていくと、なんと「Tirane」と表示されたミニバスが停まっていた。急いで運転手に声を掛け、翌日のティラナ行きの時刻を聞いたところ、名刺サイズの時刻表を渡してくれた。それによると、以下のようにティラナ経由ドゥラス行きは1日に3便あるということだった。(あくまで2016年5月の時点)

プリシュティナ5:0016:0022:00
プリズレン6:3017:3023:00
ティラナ9:0020:0001:00
ドゥラス9:3020:3002:00

偶然にも夕方5時半に来たおかげで詳しい時刻を知ることができ、これは本当に幸運だった。翌日は6時半のバスに乗ることにして、これで安心してホテルに戻ることができる。(結果として翌日はミニバスではなく乗り合いタクシーでティラナへ移動することになったのだが、やはり前日に時刻を確認しておくと安心)

旧市街へ戻る途中、なぜか水車があった。

旧市街に戻ると、やや雨が強くなってきたこともあり、人通りは少なくなっていた。写真から予想できる通り、少し寒い。

そろそろ夕食にしようと思い、レストランを探して歩いていると、こういう車が通っていった。おそらくこれは結婚式のはず。

旧市街にあったレストランで夕食。しかしメニューを見てもどんな料理なのかがよくわからない。仕方がないので知っている名前を探し、2014年のブルガリア旅行の際に名前を知った「スジュク」を注文してみた。スジュクはソーセージを使ったトルコ料理のはずと思っていたら、出てきたのはこういう料理。

表面をチーズが覆っているが、その下は確かにソーセージだった。パンと紅茶を合わせて、値段は3ユーロ(!)という安さ。味はどうかというと、絶品ということはないが、まあまあうまい。

しかし、外を見るとかなり雨が強くなっている。明日はどうなるんだろう、などと思いながらレストランを出て、少し周辺を歩いてからカフェでコーヒーを飲んでみた。値段は1.5ユーロ。

午後7時半、散策を終えてホテルに戻った。翌日はコソボを出国し、未知の国アルバニアへ移動することになる。この日は10時半に就寝。