台湾旅行記(彰化 / 南天宮)

台中近郊の彰化という町に「南天宮」という寺院がある。ここの名物は電動地獄風景で、かつて2005年に訪問して非常に感動したのを憶えている。その後は行く機会がなかったが、ここは台中から近いので、今回の旅行で11年ぶりに再訪することにした。


昼12時ごろ、彰化駅に到着。11年ぶりなので駅舎や駅前の風景などは懐かしい。

では、駅から歩いて南天宮へ向かう。南天宮は八卦山という寺院の横にあり、八卦山はおそらく彰化で最大の観光スポットになっている。あちこちにある八卦山という案内にしたがって歩いていけば南天宮にたどり着くので、町の地理が頭に入っていなくても移動はわかりやすい。

移動の途中、下の写真のような豆腐店があった。実はこの旅行当時はまったく知らなかったのだが、帰国後に調べたら藤原豆腐店というのは「頭文字D」という漫画作品に登場する 車両 のことらしい(私はコミック誌はまったく読まないので)。

この店もおそらく頭文字Dから店名を付けたと思うが、ただし「とラふ」になっているところがちょっと笑える。

読んだことがないのでわからないが、この作品には「一番だ」というセリフが登場するんだろうか。

藤原豆腐店を通り過ぎ、少し歩くと八卦山に続く立派な門が現れる。

門を過ぎ、急な坂道を上がっていくと八卦山の正門が見えてきた。こちらも11年ぶりなので懐かしい。

2005年の旅行では八卦山を見てから南天宮へ移動したが、今回はまず南天宮へ行ってみることにした。こちらの坂道を下りて行くと南天宮がある。

途中から急な階段を下りると南天宮の正面に到着した。11年前に来たときはここに黒い大型犬が寝ていて、まるでバイオハザードのケルベロスのような雰囲気を出していたのを憶えている。今回は犬はいなかった。

中に入り、料金の50元を払って十八地獄へ。この50元というのは2005年と変わっていなかった。11年間、値上げしていないのはすごい。

十八地獄の入口も2005年のまま。おそらく内部も当時と変わっていないと思うが、11年も経つと記憶が薄れているので、今回も新鮮な気持ちで楽しめると思う。

では、期待しながら十八地獄の中へ。最初に現れるのがこの通路で、人が乗ると振動するように動き出す。こういうところが故障せずにちゃんと動くのは嬉しい。

ここからは十八地獄の各場面が次々と現れる。どれも人が近づくとそれを感知して各アトラクションが動き出すような仕掛けになっていて、石臼で挽かれる人、のこぎりで切断される人、釜で茹でられる人、舌を抜かれる人など、どれも感動するほどよくできている。

ただ、地獄内が薄暗いので、動画はあまりきれいには撮れなかった。動いているところを見たい人は、下の方でリンクしている YouTube の動画を見てほしい。

いやあ、素晴らしい。さすが麻豆代天府と並んで台湾の二大地獄めぐりスポットだと思う。それに、これだけの電動アトラクションが故障せずに11年前と同じように動いているのも、メンテナンスがしっかりしていて嬉しい。この動きが実によくできているので、ここは地獄めぐりが好きな人だけでなく機械好きの人もぜひ見てほしい。

ここで面白いのが釜茹でされる人。亡者に対して釜が明らかに小さく、上下逆にしてみると笠を被った人が踊っているように見える。

あと、11年前と同様に面白いと思ったのが鬼が操縦するロードローラー。地獄にもこういう乗り物が存在するらしい。

地獄ではおなじみの謝将軍の姿も。異常に長い舌が特徴的。

こちらは衣装から考えて亡者ではなく地獄の役人だと思うが、なかなかの美人に作ってある。日本のタレントの誰かに似ているような気もするが、思い出せない。

地獄の役人にお茶を給仕している女性に11年ぶりに再会した。顔を見た感想は当時と同じ。

顔が怖いね。

よくここまで怖い顔を作ったと思う。この女性にも再会したいと思っていたので、健在だったのは嬉しかった。

十八地獄を見た後、こちらの「魔界怪譚」に入る。

魔界怪譚は完全なお化け屋敷。内部はほぼ真っ暗で、手探りで歩いていくと突然明かりがついて幽霊が現れるという趣向になっている。これは実に楽しい。

ただ、写真はあまりきれいには撮れなかった。何とか見られるレベルものを載せておく。古井戸から現れる幽霊などのトラディショナルなものから、箒を持った西洋風の魔女までバリエーションは豊富。

ただし、キョンシーだけはフラッシュを使って写真を撮ってみた。

香港映画でよく見ていたのが、私が高校生のころ。久しぶりの再会に「元気だったか?」と声を掛けておいた。

魔界怪譚の最後は閻魔大王(多分)の場面。幽玄な雰囲気と音楽の中、いろんな妖怪たちが次々と前を通り過ぎていく。それも、ただ動いていくだけでなく最後にちょっと止まって挨拶してから出て行くところなど、動作もかなり凝っている。これは本当に見事なので、機械好きの人は見てみてほしい。

しかし記憶は変化していくもので、魔界怪譚はもっと長かったように思っていたが、再訪すると「こんなに短かったっけ?」と感じるほどコンパクトだった。しかし今はお化け屋敷など入る機会はまったくないから、子供に戻ったような気分で楽しめた。

魔界怪譚を出ると、最後に西遊記の各場面が再現されているエリアがある。三蔵法師の各旅程がテーマになっていて、こちらも人が近づくとそれを感知して動き出すようになっている。

11年前と同様、今回も面白いと思ったのが「猪八戒を誘惑する海女軍団」。トップレスの女性と、猪八戒の表情がなんとも。

最後に、十八地獄と魔界怪譚について彰化在住者がアップした動画があったので紹介しておく。寺院内の雰囲気についてはこちらを参照してほしい。

これで南天宮を一通り見たことになるので、八卦山に戻ることにした。11年ぶりの再訪だったが、やはりこの寺院は素晴らしい。それに、メンテナンスがしっかりしていて故障が見られなかったのも嬉しかった。台中に滞在する際は、ぜひ彰化まで来て南天宮を見てほしい。台湾で最大級のお勧めスポット。