ベリーズ&メキシコ旅行記(セノーテ / アンヘリータ)

カンクン滞在2日目と3日目は、セノーテでダイビングを行うことにしていた。まず、この日はアンヘリータとグランセノーテの2ヶ所。

セノーテダイビングといえばチャックモールとククルカンの2ヶ所が有名で、一般的にはこれらのセノーテに潜ることが多いと思う。今回の旅行もチャックモール&ククルカンを申し込んだが、ダイビングできる日がもう1日あるので、どこに潜ろうかと考えていた。

当初はカンクン沖やコスメル島を考えたが、調べていくうちにメジャーではないセノーテにも興味が出てきた。観光客がレクレーションダイビングを行うことができるセノーテとしては「アンヘリータ」「カーウォッシュ」「ドス・オホス」「タージ・マハ」などがあり、今回利用したダイビングショップ「クイーンエンジェル」ではいくつかのコースが用意されている。その中から、今回は「アンヘリータ&グランセノーテ」に申し込むことにした。

グランセノーテはダイビング以外にシュノーケリングも行うことができるので、ライセンスを持っていない観光客が多く訪れるセノーテになっている。アンヘリータは旅行前に調べた限りでは潜ったことのある人は多くはなさそうで、かなりレアな体験になりそう。どちらも楽しみ。


朝6時に起床。朝は雲が多いが、昼には晴れるはず。

朝食後、ショップからの送迎で7時半ごろホテルを出発した。この日のガイドはメキシコ人のロヘリオさんと女性の M さんで、ロヘリオさん(前回2013年の旅行記では R さんと書いていた人)とは久しぶりの再会。M さんは3年前の2013年のメキシコ旅行の際はお会いしていないので初対面になる。当時のことを少し話したところ、セノーテダイビングのガイドだった H さんは翌日に会えるということだった。しかしコスメル島ダイビングのときのガイドだった K さんはすでにカンクンにはいないそうで、今はロタ島でガイドをしているという。いつか再会してみたい。

この日は他に参加者はおらずプライベート催行なので、セノーテがあるプラヤ・デル・カルメンへ直行。セノーテに到着する前にジャングルの中の小道に入っていくが、これは車にタンクを乗せるため。しかし密林の中にタンクがたくさん並んでいるのは、何度見ても珍風景だと思う。

それから、ここは犬たちが歩き回っているのも面白い。

充填所でタンクを乗せ、少し走ったところにセノーテ「アンヘリータ」があった。

ダイビングの準備をする前に、まずはセノーテへ歩いてみた。この森に囲まれた泉がセノーテ。

駐車場近くの小屋に戻ると、セノーテの説明図があった。チャックモールやククルカンがわりと横穴に近いのに対し、このアンヘリータ(Angelita)は完全な縦穴。洞窟の途中に硫化水素が溜まっていて、それがまるで白い雲のように見えるという。アンヘリータへ来た目的は、その風景を見ること。

ただし硫化水素ゾーンの水深は30メートル近くあるので、深度の管理が必要になる。このため、ダイビングのライセンスもオープンウォーターではなくアドバンス以上が必要。

ところで、説明図を見ていると「この人はいったいどれだけのウェイトが必要なのか?」と思うほど巨体のダイバーが近くを歩いていた。海外ではときどきこういう人を見かけることがあるが、本当に何十キロ必要なんだろう。

地面にブルーシートを敷き、準備を行っていると犬たちが集まってきた。犬は好きなので、見ているだけで楽しい。

準備してエントリーポイントへ。ここからセノーテの中に入る。

では、潜行開始。3年前に潜ったチャックモール&ククルカンでは抜群の透明度に驚いたが、このセノーテの中は青色を帯びた乳白色。下の方に、他のダイバーのライトが見える。

最初は一気に潜行。透明度は高いのだが、水自体が乳白色なのでライトが不可欠。この眺めもライトセーバーみたいで面白い。

潜行を続けていくと、やがて硫化水素のゾーンに到着した。本当に、白い雲のように見える。この時点で深度は27~29メートルほど。

ここが、硫化水素が溜まっているゾーンのすぐ上。なんというか、濃い霧の中から木々の枝が見えているような感じがする。古いサイレント映画に出てきそうな、実に不思議な風景。

なぜ硫化水素のゾーンがあるかというと、このセノーテは水深30メートル付近を境に淡水から海水へ変わっているため。硫化水素は沈木が腐食する際に発生したもので、その比重が淡水より重く海水より軽いため、こういう不思議な空間が現れている。なので、ここは洞窟の底ではなく、さらに下にも空間は続いているということ。

ここまで潜行すると周囲は薄暗くなるので、ガイドさんもライトを使いまくり。本当にライトセーバーみたい。

沈木の枝と、硫化水素との境目のアップ。

通常のダイビングでは、決して見られない風景だと思う。雲や霧の上を漂っている感じ。

数は少ないが、ここには魚もいた。

前述の通り、洞窟自体はここで終わりではなく、この硫化水素ゾーンの下にも空間は続いている。ここを抜けてさらに下へ進んでいくダイビングもできるそうだが、すでに深度は30メートル近くになっている。まだこちらのスキルが十分にわかっていない状況ではガイドさんも無理はできないので、今回のダイビングでは白い雲の上まで。次回ここへ来るときは、さらに下までの潜行をリクエストしてみたい。

このゾーンの下へは行けなかったが、それでも十分に楽しめた。こんな水中風景は、他では見られない。

深度30メートル付近にいるので、あまり長時間は留まれない。そろそろ、浮上開始。

ライトに照らされる岩肌。白く光っている。

浮上していく途中、見事な鍾乳石があった。

鍾乳石を通して、洞窟の中央を眺めた風景。

洞窟の壁に沿って螺旋状に旋回しながらゆっくり浮上していくと、さらにたくさんの鍾乳石がある。

洞窟の中央から、真上を眺めた風景。ちょっと面白い眺めかも。

名残惜しかったが、水面が近づいてきた。

水面を通して、地上の森が見える。

これでダイビングを終えて浮上。

それにしても、興味深いダイビングだった。セノーテといえばダイビングではチャックモール&ククルカン、シュノーケリングではグランセノーテが一般的で、アンヘリータに潜るのはレアな体験だと思う。

ダイビングログは以下の通り。

  • 天候:晴れ
  • 気温:27℃
  • 水温:24℃
  • 潜水時間:46分
  • 最大深度:29.6m
  • 平均深度:17.7m
  • 透明度:50m

他の参加者がいなかったため、プライベート催行にして2倍の料金を払ってまで来てみたわけだが、その価値は十分にあった。この地域には他にもドス・オホスやタージ・マハなど独自の特徴を持つセノーテがあるので、次はそれらのセノーテにも潜ってみたい。


次はグランセノーテでのダイビングなので、器材をタンクから外した後はウェットスーツを着たまま車へ。歩き回っていた犬たちに別れの挨拶をしてから出発。

観光客であふれていたグランセノーテの風景については、次のページで。