タイ旅行記(パンガン島 / Wat Samai Kongka)

タオ島を出発する日になった。観光客向けのショッピングモールやナイトスポットが集まっているサムイ島と違って、タオ島はダイバーくらいしか訪れない島だと思う。その分、のどかな雰囲気が残っていて、いい島だった。

この日の夜の飛行機でバンコクへ移動し、夜行便で日本に帰ることになる。空港があるサムイ島へ午前中のうちに移動するわけだが、その途中のパンガン島に見てみたいスポットがある。それがワットサマイコンカー(Wat Samai Kongka)という寺院で、地獄風景が作られている寺になる。地獄寺を見るのは大好きなので、期待しながらタオ島を後にすることにした。


朝7時に起床し、8時半にダイビングショップの送迎車が来て港へ出発。船はタオ島~パンガン島~サムイ島と航行するので、できれば途中のパンガン島で下りて寺院訪問をやりたいものだが、すでにダイビングショップで手配する際に通しのチケットになってしまっているので、変更すると手間がかかる。それに、パンガン島のターミナルにはダイビング器材を預けられそうな場所もないらしい。

ダイビングショップに負担はかけたくなかったので、まずはサムイ島まで乗ることにしていた。また、サムイ島には荷物を一時的に預けられる場所があることは調べていたので、ダイビング器材をそこに置いておくことができる。

こちらがサムイ島までの船。

赤く塗りつぶしてあったが、もともとは日本で運航していて「ホワイトマリン」という船名だったらしい。船内には「飯作造船所」というプレートも貼られたままになっていた。

帰国後に調べてみたところ、ホワイトマリンは昭和63年建造で静岡県の沼津~戸田~土肥航路を運航していた船だった。平成19年に「ホワイトマリンⅡ」の就航に伴い海外に売船になったということだったが、この航路自体が平成26年から不定期運航になってしまったらしい。当時の関係者も、今はタイで大活躍していることを知ったら嬉しいのではないだろうか。

ホワイトマリン時代の雄姿はこちら(西瀬戸中年クラフト団のサイト)。

9時にタオ島を出発。水平線を見ながら優雅な船旅を楽しみ、予定では往路と同様に1時間半でパンガン島、そこから30分でタオ島に着くはず(と思っていた)。

ところが、1時間半が過ぎても島が見えてこない。考えてみれば往路はカタマラン型の高速船だったので、それと比べたら旧ホワイトマリンは速度が遅かったということだと思う。2時間近くかかって港に着いたときは「パンガン島を飛ばしてサムイ島に着いたのか?」と思ったが、そこがパンガン島だった。結局、タオ島から2時間半でサムイ島に到着。

というわけで時間が押してきたので、ターミナルを出てすぐにタクシーを利用した。目的地は Central Festival というショッピングモールで、ここに手荷物を一時的に預けられるカスタマーサービスがある。

カスタマーサービスの場所はすぐに見つかり、ダイビング器材が入った大きな荷物を預けることができた。料金は2時間まで無料で、それを過ぎると24時間まで100バーツ。安く設定されているのは、つまり「Central Festival でショッピングなどを楽しむ観光客向けのサービス」だということ。今回はパンガン島へ行っている間の荷物置き場として使ってしまい、申し訳ない。

荷物を置き、すぐにタクシーで港へ。12時半にバンラック港に着き、1時発の船のチケットを入手した。このチケットは事前にインターネットで購入していて、窓口で画面を見せるとチケットを発券してくれる。

このときに利用したサイトはこちら。料金はサムイ島~パンガン島の往復で678バーツだった。

予定の出港時刻よりも30分遅れて、1時半にサムイ島を出港。タオ島~パンガン島~サムイ島~パンガン島と右往左往しているが、時間が遅れまくり。

このため、パンガン島に着くとすぐにバイクタクシーで地獄寺へ移動した。島ではわりと有名な寺院らしく、「ワットサマイコンカー」と言うとすぐに通じた。料金は20バーツ。

バイクの後部座席に乗り、坂道を上って島を北上。港から5キロほどで目的地の寺院に到着した。

バイクタクシーの運転手に1時間半後に迎えに来てもらうように頼んで、寺院の中へ。大きな樹木と、うろついている犬が目に入ってきた。

まずは寺院内を散策。お堂の前にいきなり半分骸骨人間が立っていたりして、この時点でもう嬉しくて仕方がない。

ストレッチしている爺さん。あるいはヨガだろうか。

その先に、目当ての地獄風景が広がっていた。エリアはそれほど広くはないが、いろんな場面が作ってあって楽しめそう。

まずは定番の釜茹でから。逃げ出そうとしている亡者など、お約束のシーンもしっかりと作ってある。

釜の中が褐色の石で埋められているのが面白い。意外と、こういうのは今まで見たことがないような気がする。

悲鳴を上げる亡者(顔が面白い)と、獄卒に投げ込まれようとしている亡者。

こちらもタイの地獄風景の定番、トゲトゲの木。

これは生前に浮気をした人が登らされる木だという。浮気している人は、死後に備えて木登りの練習をやっておくのがおすすめ。

傷口がリアル。あと亡者に向かって吠える犬(?)がいい感じ。

こちらは獄卒に舌を抜かれている人。タイでも「嘘をつくと舌を抜かれる」と言われているんだろうか。しかし後ろの酔っぱらっている2人はよくわからない。

地獄の役人の前にひざまずく2人。青いシャツに書かれている言葉は「WELLCOME TO KOH PHANGAN」で、地獄なのになぜか観光客を歓迎してくれている。

しかし “WELLCOME” ってスペルが間違っているんだが。

タイの地獄ではおなじみの巨大ピー。黒と白の2タイプが作られていたが、ちょっと大きさが物足りないかも。

と思ったら横に巨大サイズのものが製作中だった。これなら文句なし。

地獄エリアを歩き回っている途中、地面にこういうものがあった。何かのオブジェかと思ったら、これは普通のキノコだった。普通といってもかなり大きいが。

食べられる種類なのかどうかはわからない。

いったん地獄エリアを離れて、周囲を歩いてみた。こういうお堂がいくつかある。

お堂の中には老人たちの像が並んでいた。それぞれ横に写真が置かれているので、おそらくこの寺院の高僧たち。

さらに周囲を散策。この立派な建物が、おそらくこの寺院の本堂だと思う。

ただし、本堂は扉が閉まっていて、中には入れなかった。

本堂の奥には、こういう石塔が並んでいた。花が置かれたりしていたので、ここは墓地のはず。

クレープの屋台があったので、ここで少し休憩。「なぜこんなところに屋台が?」と思ったが、この理由は後になってわかった。この寺院の奥に小学校があり、その子供たちがメインの客だった。

クレープは20バーツ。味は普通にうまいが、このキャラクターは大丈夫なのかね。

クレープを食べてから、先へ歩いて行くと小学校があった。これは予想していなかったので、ちょっとびっくり。この寺院が経営しているんだろうか。

せっかくなので、小学校の敷地内に入らせてもらった。関係者以外立ち入り禁止ではないと思うが、注意されたらすぐに出ればいいはず。

先生たちと鉢合わせしないか注意しながらグラウンドを横切り、校舎の前まで来ると子供たちが廊下を走っていた。

まだ先生たちとは出くわさないので、教室の中も覗きこんでみた。どの教室も椅子が机の上に上げられていて、おそらくこの日の授業は終わってこれから下校するところだと思う。

掃除も子供たちがやっているのか、きれいな教室に感心しながら周辺を歩いてみた。タイヤが半分埋まっているのは学校にありがちな風景。

途中で女性の先生に出会ったが、こちらが会釈すると特に何も言われなかった。ほっと一安心。

小学校を出て、寺院へ戻ってきた。この木の下で少し休憩。

それから、地獄エリアを再び散策。考えてみれば、先ほどの小学校の子供たちは日常的に地獄風景を見ていることになる。こういう教育方針は、さすがタイ。

この地獄風景をまた見る機会があるかどうかはわからないが、ぜひともこの地獄はパワーアップしていってほしい。

そろそろ帰りの時刻と思って待っていると、時間通りにバイクタクシーがやってきた。近くを歩き回っていた犬に別れの挨拶をしてから出発。

またいつかタオ島でダイビングを行う機会はあると思うし、サムイ島でも潜ってみたい。その際は、この寺院を再訪してみたい。

港に戻り、船が来るまで待機。この便は時間通りにやってきた。

4時半にパンガン島を出港。40分ほどでサムイ島に到着した。島の中心部に戻る前に、船着き場の近くにあったワットプラヤイ(通称ビッグブッダ)へ行ってみたが、それについては次のページで。