香港旅行記(萬佛寺)

今回の香港旅行での一番の目的は萬佛寺を8年ぶりに再訪すること。あの金色の羅漢さんたちに再会できると思うと嬉しくなる。自分にとって、香港最大の観光地はビクトリアピークでもディズニーランドでもなく萬佛寺。


尖東駅から地下鉄に乗り、沙田駅へ。沙田(シャティン)といえば香港ダービーが行われる沙田競馬場が有名で、開催日には地下鉄が経由する。前回ここへ来たときも思ったが、面白いのは路線の終点に落馬洲という駅があること。競馬場へ行くときは、落馬洲行きではなくあえて羅湖行きの列車に乗るというファンも多いかもしれない。落馬洲行きだったらボロ負けしそうだし。

沙田駅で地下鉄を下り、少し歩くと駅前にこういうものが設置してあった。これらは国慶節のお祝いらしい。中国では、こういうものはとにかく派手。

やがて萬佛寺に続く参道の入口に到着。ここにこういう注意書きが掲示してあった。今回は出会わなかったが、偽者の坊さんが出没するらしいので気をつけて。

道の両側に金色の羅漢さんが並ぶ参道に到着した。8年ぶりなので懐かしい。

ここからが萬佛寺のハイライト、羅漢さんを眺めながら歩く参道になる。丘の上にある萬佛寺まで、金色の羅漢さんたちがずらり。

この羅漢さんたちが果てしなく個性的というか、一体一体に特徴があって面白い。よくここまで個性的に作ったと感動するほどで、歩いているともう楽しくて仕方がない。

では、羅漢さんたちを見ながら坂道を上っていくことにする。

頭の形も面白いし表情も面白いし格好も面白いし、おそらくここは世界で一番歩くのに時間がかかる参道。ここを速足で歩くのは不可能。

すでに満腹になりつつあるが、参道はまだまだ続く。

何かよからぬことを企んでいそうな2人。右側の羅漢さんなんて時代劇の悪役で登場しそう。

こちらは思い切りはじけている人。羅漢さんの中で一番楽しそうな感じで、いったい何があったんだろう。ちょっと見た目とイメージが植木等に似ているような気も。

腹を割って話そうとする羅漢さんと、桃を食べる羅漢さん。

ようやく坂道を上りきり、ここから萬佛寺までは階段が続く。もちろん階段の両側にも羅漢さんが並んでいるので気を抜けない。

子供に大人気の羅漢さん。

しかし格好がみんな面白すぎ。

前回ここへ来たときに激しく感動した3人の羅漢さんのうち1人に再会。眉毛が伸びるという発想に感動する。どうやったらこんな姿を思いつくんだろう。

もちろん、もう2人とも再会した。足が長い人と手が異常に長い人。

手が長すぎて手の先がよく見えない。実際にこんな長い手を持っていたら、便利なのか不便なのか。

ようやく寺院の入口にたどり着いた。丘の麓を出発してから、本当に長い道のりだった。無事に寺院まで歩くことができ、自分で自分を褒めてやりたい。

寺院の建物には「南無阿彌陀佛」と書かれている。

こちらが萬佛寺の正面。8年ぶりなので懐かしい。まずは寺院を参拝したが、本堂の内部は写真撮影禁止なので写真はない。この寺院の創始者、月溪法師のミイラが安置されているが、もちろん決まりに従って写真は撮っていない。見たい人は直接訪れてほしい。

本堂の横に「萬佛齋廚」という食堂がある。こういうところで食べるのも話にネタになるので、ここで昼食にした。

ここは精進料理の食堂なので、肉料理はまったくない。メニュー(漢字の他に英語表記もある)を見てもイメージできなかったので、適当に選んで注文してみた。運ばれてきたのはチンゲン菜の炒め物にエノキダケをぶっかけたもの。これに飲み物としてサイダーを選び、値段は合計80香港ドル。

菜食専門だからなのか、味はかなり薄め。正直言って、全部食べるのがきつかった。しかしまあ人に話す際にはネタになるはず。

本堂の前はちょっとした広場になっていて、こういう塔がある。2009年に来たときは内部の階段を最上階まで上れたが、このときは中に入れないようになっていた。一時的な閉鎖か、ずっと入れないようになったのかはわからない。

しばらく広場を散策した。象に乗った観音像もいいが、やはり印象に残るのは手が異様なくらいリアルな千手観音。アップで見ると気持悪いくらいで、なんだか昔の心霊写真にありそうな感じ。

麓から参道を上がって萬佛寺まで来たが、本堂のさらに上にも金色の観音像が並んでいるエリアがある。2009年に来たとき、ここであの「目から手が!」の神様を見ていたので、再会するためにそちらへ上がってみることにした。

エリアの縁に沿って並ぶ観音像も以前のまま。こちらも懐かしい。

ただ、今回はこういう石像が並ぶ一画が作られていた。わりと小型の「六十甲子六十太歳」像がずらりと並んでいて、ということはあの「甲子太歳神金辨」様(目から手が!の神様)もいるはずと思って探してみると、無事に見つけることができた。

しかしながら、この石像が並ぶエリアだけはなぜか写真撮影禁止になっている。なぜここだけ写真が撮れないのか不思議だが、決まりは守ることにした。この神様の石像を見たい人は直接訪れてほしい。

さらに先へ進もうとすると、衝撃的な光景が。なんとロープが張られていて先へ行けないようになっていた。

あの「目から手が!」の神様はこの先にいらっしゃったはずだが、どこにも見えない。もしかしたら、今はいなくなってしまったのかもしれない。金色の羅漢さんの他に、この神様と再会することも萬佛寺再訪の目的だっただけに、これは残念だった。あの神様は今はどこへ行ってしまったんだろう。

このエリアの一番奥には小さな池があったはずだが、先が見えないので存在しているかどうかわからない。しかし立ち入り禁止であれば仕方がないので、ここで引き返すことにした。改装のための一時的な閉鎖だと思うので(多分)、いつかまた来たい。

その後も本堂周辺をしばらく歩き回り、名残惜しいがそろそろ沙田駅へ戻ることにした。前回来たときは先ほどの参道を往復したが、麓へ下りるルートはもうひとつある。今回はそちらを歩いてみることにした。塔の横にある門を通り、萬佛寺を後にして坂道を下りる。

こちらのルートにも、しばらくは金色の像が並んでいる。羅漢像ではないが、顔が複数ある阿修羅像(?)やら虎に乗る老人やら、かなり楽しめる。

それから、こちらの坂道には猿がいた。近づいて写真を撮ろうとしたら母猿が思い切り威嚇してきた。こちらのルートを歩く際は猿にも注意が必要。

途中からかなり急勾配の坂道が続く。萬佛寺を訪れる際は、行きは先ほどの羅漢像が並ぶ参道、帰りはこちらの坂道を歩くのが楽かもしれない。

丘の麓まで下りると、後は沙田駅まで平坦な道が続く。その途中、坊さんたちが読経を上げている場面に遭遇したので、しばらく眺めてみた。お札らしきものが燃えていたので、何かの法事だったのだろう。この後、坊さんたちは近くの寺院に入っていった。偶然こういう光景を見ることができ、ちょっと嬉しい。

この辺りから萬佛寺を見上げてみた。おそらく、この寺院にはまた来ることになると思う。

やがて沙田駅近くに戻ってきた。それにしても面白い寺院だった。やはり、自分にとって香港最大の観光地は萬佛寺。今後も香港に滞在する際は立ち寄ってみたい。