
午前中のコロンボ観光最大の目的地だったガンガラーマ寺院訪問を終え、午後はコロンボ・フォート駅へ行ってみることにしていた。特に観光スポットでもない鉄道駅を選んだのは、外国で鉄道を見るのが好きなため。
そのコロンボ・フォート駅へ行く途中にヒンドゥ寺院があり、そちらも面白いスポットだったので併せて紹介する。
ベイラ湖に沿ってしばらく歩き、ヒンドゥ寺院の方へ。湖畔を離れたところに、こういうホテルがあった。

日本のホテルとも思えないので、名前だけ NIPPON にしているものと思う。スリランカでは今でも日本ブランドは健在みたい。
Sri Murugan Temple(ヒンドゥ寺院)
湖から大通りを北上し、右に折れる路地の突き当りにヒンドゥ寺院が見えた。ここが目的地の Sivasubramania Swami Kovil(Sri Murugan Temple)になる。

上の写真でヒンドゥ寺院の背後にピンクと緑のタワーが写っているが、これは「ロータスタワー」という建物。モチーフは蓮の花で、形と色合いが特徴的で面白い。コロンボの新たなランドマークとして中国資本で建設中だそうで、この旅行後の2019年9月にオープンしている。次回のスリランカ旅行では中に入ってみたい。
ヒンドゥ寺院の特徴といえば、尖った屋根に作られているたくさんのレリーフ。この寺院も、様々な神像たちが本当に見事。


200ルピーでチケットを買い、中に入る。入場料が必要なのは外国人だけだったようだが、ちょっとよく憶えていない。
建物を正面から見たときのイメージとは違い、寺院の内部は意外と広い。写真に写っている人たちと比較して、かなり天井が高いことがわかると思う。


壁画やレリーフも凝っていて面白い。

こちらは「天国への階段」みたいなイメージなんだろうか。

黒い顔に一つ目の神像。この正体については現在調査中。ヒンドゥ教に詳しく、この神像の名前がわかる人がいたら教えてほしい。

「MALES DO NOT ENTER WITH UPPER CLOTHES」と書かれていたので、この先は男性は立ち入り禁止かと思って入らなかった。しかし「WITH UPPER CLOTHES」ということは「上着を着た状態では入ってはいけない」という意味だったのかも。

ひんやりとした床に座り、しばらく休憩。ここは地元の人たちにとっても納涼スペースみたいな感じになっているらしい。特に神像を拝むわけでもなく、のんびりと座っている人がほとんど。

神像やレリーフも見事だし、訪れた甲斐があった。街歩きの途中、ヒンドゥ寺院を見かけたら入ってみるのがおすすめ。
寺院を出て、しばらく周囲を散策。こういう生活感にあふれた景色を見るのは楽しい。


ちょうど昼時ということもあり、運転手が休憩中のトゥクトゥクが何台も駐車していた。

運転席で熟睡している姿を眺めながら、雰囲気のいい路地を散策。
Kompannavidiya 駅
そろそろコロンボ・フォート駅へ移動したいが、地図を見ると近くに別の鉄道駅がある。もしかしたら、ここから列車で移動できるかもしれないと思い、駅まで歩いてみた。
こちらがその Kompannavidiya (コンパニャヴィディヤ?)駅。

地図ではフォート駅の2つ隣の駅になっている。駅舎やプラットホームは意外と立派。


しかしながら、列車がいつ来るのかがわからない。時間がもったいないので、いったん近くにある別の観光スポット「ゴール・フェイス・グリーン」へ行くことにした。
ゴール・フェイス・グリーン
ゴール・フェイス・グリーンというのは、海岸沿いにある芝生の緑地のこと。コロンボ市民にとって憩いの場所になっているという。

コロンボ市内最大のオープンスペースだけあって、とにかく広大。実際の広さは幅約100m、長さ約500m、面積5ヘクタール。
ただし1月だからなのか芝生は少なく、まるで海から続く砂浜が広がっているように見える。

ここが砂浜ではないことは、海まで歩いて見るとわかる。階段を下りたところにある波打ち際では、市民が戯れていた。


本物の砂浜の広さは、このくらい。

それにしても、写真からわかる通り日差しを遮るものが何もない。1月だが、赤道に近いスリランカは年中暑いので、芝生の上はなかなかの灼熱地獄。地元の人たちも、ここを散策するのは早朝と夕方以降だと思う。露店でアイスクリームを買ってベンチで少し休憩し、続いてフォート駅へ向かうことにした。
コロンボ・フォート駅
いったん Kompannavidiya 駅に戻り、やはり列車が来そうにないのでトゥクトゥクでフォート駅へ。さすがにコロンボ最大のターミナル駅だけあって、かなり規模の大きな駅になっていた。

チケットを持っていなくても、駅構内には入ることができる。外国で駅の様子を眺めるのは楽しい。

跨線橋の上から眺めた線路とプラットホーム。スリランカの鉄道は広軌なので、線路の幅が広い。


線路を眺めていると列車が入線してきた。しかし、すごい勢いで列車が到着しているというのに線路の上を人が歩いているのが何とも。

なんで線路の上を歩くなんていう危ないことをやっているのかと思ったら、ホームと反対側から列車に乗り込むためだったらしい。たしかにホーム側からだと乗客が下りるまでは乗れないから、この方が有利なのかもしれない。日本では決して見られない光景。


ホーム側を見ると、列車から降りた乗客が大勢階段を上がってきている。これなら反対側から乗り込もうと考える人が現れても不思議ではない。

駅構内を歩き回ってみた。無骨な感じの機関車と、味のある客車がいい感じ。私が子供のころは、こういう客車タイプの普通列車がときどき走っていたが(住んでいたのは九州の鹿児島本線の沿線)、今はすべて廃止されている。


地元の人たちの別れや再会のシーンを眺めるのも楽しい。


物売りの人たちも歩いていたが、よくわからなかったのが風船を売っていた人。「誰が買うんだろう」と思っていたら、買っている人がいた。

買っていたのは子供ではなく大人だったし、わざわざ膨らませた状態で売っていたのも不思議。こんな大きな風船を使って大人たちが列車内で遊ぶんだろうか。
列車はわりと頻繁に発着している。到着後、誰も乗らないため回送列車と判断した車両内で写真を撮ってみた。出発する列車はどれも満員で、さすがにその中で写真を撮るのは気が引けた。


こういう背もたれが垂直なボックスシートは、日本ではあまり見なくなった。ここに座って長時間移動するのは、なんだかきつそう。
駅構内散策の途中、このカフェで昼食にした。

サモサ、コロッケ入りパン、ジンジャービア(アルコール飲料ではなく清涼飲料)で330ルピー。こういうローカルなカフェで、地元の旅行者に混じって食事するのも楽しい。

昼食後、さらに駅構内を散策。もともと鉄道は好きなので、列車や乗客を眺めながら歩いていると飽きない。




出発していく列車の写真も撮ってみたが、動いているところを撮ったためピントがうまく合わなかった。しかしドアが全開なのはまだしも、足を外に出して座った姿勢というのはすごい。どこにも掴まっていないし、急に列車が揺れたら転落しそう。


駅構内の雑然とした様子を楽しみ、名残惜しいが外に出た。

私がフォート駅にいた時間は1時間半ほどで、鉄道好きとしては本当に楽しい時間だった。列車を見るのが好きな人は、観光スポットではなくてもフォート駅を訪れてみるのがおすすめ。
水上マーケット
この時点で時刻は2時半ごろ。まだコロンボを散策する時間はある。駅の近くに水上マーケットがあるそうなので、歩いてそちらの方へ。

やがて水上マーケットが見えてきた。マーケットといっても地元の人たちのための市場ではなく、観光客向けの施設。

それにしても、遠くに見えるロータスタワーの形は本当に面白い。次の旅行ではあの上層階からコロンボ市街を眺めてみたい。
パイナップルジュース(100ルピー)を飲みながら、しばらく休憩。

水上マーケットを少し歩いてみたが、特に買いたいものは見つからなかった。そこで、空港行きのバス乗り場を確認するため、近くにあるバスターミナルへ行ってみた。
空港行きバス乗り場はすぐに見つかったが、ターミナル内を歩いていたらこんなバスが停まっていてびっくり。

三好スイミングアカデミー(旅行後に調べたら所在地は愛知県みよし市)の人たちも、今はスリランカでこんなきれいな状態で使われていることを知らないのではないか。

日本ブランドを強調するために、あえて塗り替えずに残してあるのかもしれない。大切に使われているバスを見て、ちょっと嬉しい気分。
コロンボ灯台
まだ時間があるので、最後のスポットとしてコロンボ灯台へ行ってみることにした。かつて使われていた灯台で、今は埋め立てのため役割は終えている。
少し距離があるので、灯台まではバスターミナル前からトゥクトゥクで移動。

現役の灯台ではないが、中に入ることはできない。外から見上げるだけ。


海のほうを向いて並んでいる砲台などを見ながら、周囲を少し歩いてみた。今は埋め立てにより海は遠ざかっているが、自分が船に関わる仕事をしていることもあり、灯台の眺めは楽しめた。
Sambodhi Chaithya(仏教寺院)
トゥクトゥクでフォート駅から灯台へ移動する途中、灯台の近くにかなり大きなタワーがあるのが見えていた。さらに、タワーの上部はストゥーパのような形をしている。そこで、トゥクトゥクの運転手に「あれは寺院?」と聞いてみたところ、連れていってくれることになった。
それにしても、タワーの台座の上にストゥーパが乗っている姿なんて初めて見た。不思議な構造。

旅行後に調べたところ、ここは Sambodhi Chaithya という名前の仏教寺院だった。
あのストゥーパには、横にある階段を使って登るらしい。階段の入口は柵が閉まっていたが、運転手が「大丈夫、入れるよ」と言って柵を開けてくれた。自分一人だったら立ち入り禁止かと思って自粛していたはずなので、このときの運転手には感謝している。

それにしても、なんであんな高いところに寺院を作ろうと考えたんだろう。タワーとストゥーパだけでなく、階段を作るのも相当な費用がかかったはず。
運転手と一緒に螺旋状の階段を最上階まで上がり、細い連絡通路を通って寺院へ。私は高いところは特に怖くない人間だが、高所恐怖症の人にとってはつらいかも。

高いところに上がってきただけあって、周囲の眺めはきれい。港が一望できる。


下の写真がストゥーパ内部の風景。中央に祭壇があり、天井にたくさんの壁画が描かれていた。


運転手が一緒に登ってきたのは、案内の他に自分が参拝したかったという目的もあったらしい。熱心に参拝している姿を見ながら、私の方もストゥーパ内部を見学してみた。
しかし異色の寺院というか、こんな高いところに建てられた寺院は見たことがない。世界でもこれほど風変わりな寺院は珍しいのではないかと思う。

独特の雰囲気のある寺院と周囲の景色を楽しみ、参拝を終えた運転手と一緒に地上に下りた。

灯台エリアは、宿泊した Star Anise Boutique Capsules ホテルへ歩いて行ける距離にある。このため、最初は歩いてホテルへ戻り、預けていた荷物を受け取ってからトゥクトゥクでバスターミナルへ移動、そこからバスで空港へ向かうつもりでいた。
しかし、運転手が空港までの移動を提案してきたことから、このままトゥクトゥクで空港へ行くことにした。値段は高くなるが、この運転手のおかげで先ほどの寺院を見ることができたし、そのお礼という意味も兼ねている。
トゥクトゥクでホテルへ戻り、荷物を受け取って空港へ。1時間15分かかって、午後5時半に空港に到着した。トゥクトゥクの料金はバスターミナル~灯台~空港の移動でトータル3,000ルピー。あと、寺院を案内してくれた件などを含めて7ドルのチップを渡しておいた。相場より高いのはわかっているが、これは感謝料。
笑顔の運転手に挨拶して別れ、ターミナル内へ。カウンターでチェックインを行い、スリランカを出国した。スリランカの観光地といえばシーギリヤ・ロックが有名で、いつか見たいと思っている。今回はトランジットでの短い滞在だったが、しかし楽しかったのでスリランカにはまた来たい。
午後8時にコロンボを出発。8時間のフライトを経て、朝7時半に成田空港に到着した。日本に入国し、出発時に預けていたジャンパーの受け取り。日本は寒い。
成田空港からリムジンバスで羽田空港へ移動。なぜ帰りは羽田なのかというと、これから長崎空港へ向かうため。最初に旅行会社から提示されたスケジュールでは成田から福岡空港へ向かうことになっていたが、これを長崎空港着に変えてもらった。福岡空港よりも自宅に近いので、旅行帰りで疲れているときは長崎空港を使うほうが楽。
羽田空港に到着し、ラウンジで休憩。

遠くに富士山が見えた。

12時半に羽田空港を出発。2時半に長崎空港に到着した。今回はモルディブのダイブクルーズがメインの旅行だったが、本当に楽しかった。またいつか、モルディブでクルーズ船に乗ってみたいし、スリランカも再訪したい。
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