台湾旅行記(大崗山超峰寺)

今回の台湾旅行最初の目的地は大崗山超峰寺。旅行前に書店で台湾のガイドブックを一通り見てみたが、どのガイドブックにも載っていなかった。

実際に現地では外国人の姿はまったく見かけなかったので、ここの訪問記はネット上では貴重かもしれない。


寺院に入る前に、門の前にあったこちらの3体の神像を見てみた。船に乗っているというのに水がないのが残念だが、この時はたまたま水を抜いてあったのかもしれない。水がある状態で夜にライトアップしたらきれいそう。

では正門を通って寺院の中へ。山の中腹にある寺院なので、しばらくは階段が続く。

階段を上がりきると、視界が広がって本堂の前の広場に着いた。天気がいいので歩いていると少し暑い。

広場の端から見た寺院の全景。かなり規模の大きな寺院で、本堂の他に事務所らしい建物がいくつもある。巡礼者向けの宿坊もあるのかもしれない。

まずは本堂に入ってみた。山の中腹にあるためか、それほど奥行きはなく本堂の向こう側は崖になっている。本堂の中の写真を撮るのは自粛しておいたので、少し離れたところから眺めた本堂前の写真を載せておく。金色と朱色の対比がきれい。

本堂に参拝した後、奥へ歩いてみた。向こう側は崖になっているが、ここにレリーフが作られていた。

五百羅漢でおなじみの眉毛が長い人がいたが、この姿をレリーフで再現するという発想がすごい。なかなか難易度が高い造形だと思う。

あと、向こう向きで巻物を読んでいる姿も面白い。つい、向こう側に回って顔を見ようとして無理なことに気づく。

虎と戦う羅漢さんもいて、躍動感が見事。この壁一面のレリーフを見ているだけでも、しばらくは楽しめる。

レリーフを堪能した後、本堂を出て外を歩いてみた。本堂から少し離れたところに「釈迦の一生」と書かれたエリアがあって、中に入ることにする。入口に寄付金箱があり、その前でおじいさんが熟睡していたので軽く会釈して小銭を入れてから中に入った。

ここは通路に沿って釈迦の一生が人形を使って再現されていた。最初はもちろん釈迦の誕生。

通路はこんな感じで、なんだかテーマパークみたいで楽しい。竹をイメージした柵に沿って歩く。

一番奇妙だった場面がこちらで、ワニを飲み込む蛇を見つめる少年時代の釈迦。仏教には詳しくないからよくわからないが、何か意味があると思う。どういう場面なのかわかる人がいたら教えてほしい。

うちわで扇いでもらって踊りを眺めるセレブみたいな釈迦。一生の中にはこういう境遇だった時代もあるんですね。なんだか楽しそう。

他にも面白い場面が山盛りなので、まとめて載せておく。こういうオブジェは屋外に置いておくとすぐに薄汚れてしまうので、これだけきれいな状態ということはこまめにメンテナンスされているはず。坊さんたちが着ている袈裟もきれいな黄色をしているし、大事に扱われているのが嬉しい。

釈迦の誕生から始まって、最後は入滅の場面。涅槃像が作られていた。

釈迦の一生はここまでだが、この先には羅漢像が並んでいた。五百羅漢は釈迦の弟子たちなので、涅槃像の後に並んでいるのは順番としては正しい。

そして、ここにも眉毛が長い人が。まるで三つ編みみたいに見えるところが面白い。

かなり楽しめた釈迦の一生を後にして、先へ進むとダンジョンみたいな入り組んだエリアがあった。階段の上が展望所になっていたので行ってみることにする。

展望所からの眺め。寺院が山の中腹にあるので、麓の田園風景が一望できる。広々としていて気分がいい。

景色を眺めた後、この寺院で一番見たかったスポットへ行ってみることにした。「十殿閻王地獄谷」「十大閻王殿」の案内の先に、その場所がある。

入口はこのスロープの先。ここがどういう場所かは「十大閻王殿」から想像できるはず。つまり台湾の寺院ではおなじみの地獄風景が再現されている地獄エリアになる。

中に入ると柵の向こう側に一殿から十殿まで10の地獄風景が作られていた。本堂から少し離れたところにあるためか、来訪者は誰もいない。おかげでゆっくりと見て回ることができた。

動くアトラクションはないが、どれも血まみれでまずまずの出来栄え。どれも痛そう。

特に好きなのがこちらの場面。特に石臼から足だけが出ているところがなぜか気に入った。

あと、地獄ではおなじみの謝将軍(一見大吉がトレードマーク)の姿も。

よくわからなかったのがこちらの場面。穏やかな表情を見ても亡者ではなさそうで、第九殿の平等王に仕える給仕だろうか。まあ確かに十人の王にとっても給仕のような存在は必要なのだろうと思うが、地獄風景でこういう人を見たのは初めてという気がする。

地獄風景の最後は十殿の轉輪王。無事に、次に六道のどこに転生するかという裁きまでたどり着いた。

さらに地獄内を一回りした後、外に出た。動くアトラクションはないものの、どの場面もよくできていたし、かなり楽しめた。外国人にとっては相当にマイナーな寺院だが、地獄風景を見るのが好きな人はぜひ一度来てみてほしい。

地獄めぐりを楽しんだ後、再び本堂から釈迦の誕生までを一回りしてみた。もう一度ここへ来る機会があるかどうかわからないので、しっかりと見ておかないといけない。

それにしても、どのガイドブックにも載っていない寺院だけあって参拝しているのは地元の人たちばかり。欧米人も見ないのでロンリープラネットでも紹介されていないのだろう。おそらく、ここへ来たことのある外国人はほとんどいないはず。大崗山超峰寺で検索しても日本語のページが見つからないし(2019年時点)、こういう寺院をおそらく日本で最初に紹介することになったのは嬉しい。ちょっと自慢してもいいかも。

寺院内を散策している途中、テイクアウトのカフェがあったのでアイスコーヒー(30元)を買って休憩。さらにフリーの WiFi があったのでネットに接続することもできた。情報収集という点では便利な時代になったものだ。

寺院内には土産物を売っている店もあり、色違いの石が入った卵型のガラス製品がきれいだったので買ってみた(200元)。今は自宅に飾っているが、次第に台湾の寺院で買った土産物が増えてきた。

名残惜しいが、これで寺院を出て次の目的地へ移動することにした。最後に、正門の前にある展望所から景色を眺めてみた。再びここへ来る機会はあるだろうか。

この地域は養蜂で有名らしく、寺院の前には蜂蜜を売る土産物店が並んでいた。買ってみようかとも考えたが、荷物が重くなるのでやめておいた。

その代わり、こちらの店で蜂蜜茶(30元)を飲んで休憩。味は甘くてうまい。

次の目的地は慈玄聖天宮なのでタクシーを探す必要があるのだが、周囲にはまったくタクシーは見当たらず、困ったことになった。こういう状況になることは十分に予測できたのだから、乗ってきたタクシーに待っていてもらうか時間を指定して迎えに来てもらえばよさそうなものだが、自分はこういうのが苦手。時間を気にせず見て回りたいので、結局こういう事態に陥ることがよくある。

仕方がないので蜂蜜茶を飲んだ店でタクシーを呼んでもらえるか聞いたところ、こちらの意図は伝わったようで電話してくれることになった。お礼としてキウイのドライフルーツ(50元)を買い、店の前で待っていると車がやってきたが、タクシーではなく一般車。しかし運転手と店の人は知り合いというわけではなさそうで、どうやら Uber を使ってくれたらしい。「慈玄聖天宮」と書いた紙を見せ、運転手がスマホで検索して目的地が無事に伝わった。

店の人に礼を言い、車に乗り込んで出発。機会があれば、またこの寺院で地獄めぐりをやってみたい。