メキシコ旅行記(コバ遺跡)

メキシコ滞在の実質最終日。この日の目的地はコバ遺跡で、前日訪れたプラヤ・デル・カルメンのさらに南にある。プラヤ・デル・カルメン付近の遺跡としてはトゥルムが有名だが、今回はコバ遺跡へ行ってみた。

トゥルム遺跡は海沿いにあり、ビーチで泳ぐことができる遺跡として有名。海と遺跡の眺めがきれいだそうだが、まだ見たことはない。

なので旅行前はトゥルムへ行くことを考えていたが、遺跡について調べているうちにコバ遺跡の方が面白そうに思えてきたので行き先を変更した。ジャングルの中のピラミッドに直接登れるというのが、この遺跡を選んだ理由。

日本のガイドブックに記載されていないためか、ここは日本人にはまだメジャーな遺跡ではないらしくネット上にも訪問記は少ない。ちょっと珍しい体験になった。


朝5時半に起床。6時過ぎにホテルを出発し、歩いてADOバスターミナルへ。コバ遺跡へはトゥルムで乗り換えればいいということは調べていたので、まずはトゥルムへのチケット(188ペソ)を購入した。早朝のターミナルで出発まで待機。

なぜこんな早い時間から行動しているかというと、トゥルム~コバのバスの本数が少ないらしいので、乗り継げないというリスクを避けるため。

7時10分にカンクンを出発。途中、プラヤ・デル・カルメンのバスターミナルに10分ほど停車し、9時40分にトゥルムに到着した。カンクンから2時間半かかったことになる。

バスを下り、トゥルムのバスターミナルを外から眺めてみた。トゥルム遺跡へ行ったことがある人も、ほとんどはツアーバスだと思うので、このバスターミナルを見たことがある人は少ないと思う。

ターミナル内に各地への時刻表が掲示してあり、それを見るとコバまでの便は1日1往復。トゥルム発は10時11分のみで、やはり早朝から行動しておいてよかった。運賃は片道94ペソで、ここで往復を購入しておいた。

コバまでの便は少ないが、各地へのバスはわりと頻繁に発着している。その中にベリーズ行きのバスがあった。ベリーズは何度か旅行したことがあるので「このバスに乗ればベリーズか」と思いながら眺めていた。

時刻表では10時11分になっていたが、それより遅れて10時半にトゥルムを出発。50分で終点のコバに到着した。特にバス乗り場があるわけでもない道端に停車し、欧米人の観光客たちと一緒にバスを下りる。その際、帰りのバスもここが出発地点ということを確認しておいた。

目的地のコバ遺跡は、バスの終点から少し離れたところにある。きれいに整備されている川沿いの道を歩き、遺跡へ。

遺跡の入口に到着。45ペソでチケットを買い、遺跡内に入る。チケット売り場付近の人たちを見ても、日本人はまったくいない。

ゲートを通ると、その先には林の風景が広がっていた。雰囲気としてはグアテマラのティカル遺跡に似ているような気がする。

木々の間を歩いていくと、マヤの遺跡が現れた。こんな風に遺跡がジャングルに埋もれているところもティカルに似ている。

木々の間のピラミッドというのも、雰囲気のいいものだと思う。ティカルよりは整備されていると思うが、チチェンイツァほどきれいすぎないので、朽ちた感じがちょうどいい。

こちらはおそらく競技場の跡。

この石の輪は前回のメキシコ旅行のときにシカレ海洋公園のナイトショーで見たことがある。マヤの原住民が行っていた球技で使われるゴールポストみたいなもので、ここにボールを通せば得点になるという感じだったはず。

先へ歩いていくとレンタサイクルがあった。この遺跡はかなり広いので、自転車を使うほうが楽に回れるはず。なので、ここから先は自転車を使うことにした。レンタル料金は50ペソ。

見た目はきれいだが、あまり整備されていないのか空気圧が不十分な自転車も多かった。乗れそうなものを見つけ、ここからは木々の間を快調に飛ばす。

やがて、この遺跡のメインともいえるピラミッドが見えてきた。

このピラミッドは “Nohoch Mul” という名前で、高さは42メートル。チチェンイツァのピラミッド「カスティーヨ」よりも高い。

このピラミッドに登ることができるのが、この遺跡最大の魅力だと思う。チチェンイツァは登頂禁止だし、ティカルは横に設置されている階段で上がるので、こんな風に石段を直接登ることができるピラミッドはここだけのはず。

写真からわかる通り、この石段が予想以上の急勾配。ロープは設置されているものの、転落事故が起きたりはしないのだろうか。

日本だったらおそらく禁止されるはずだが、こんな風に何があっても自己責任という考え方は好き。

石段を登っていくと、ジャングルが眼下に見えるようになってくる。

頂上に上がり、周囲を眺めてみた。ピラミッドの前だけが開けているが、その他は見渡す限りのジャングル。

ここで撮った写真をパノラマ風につなげてみた。地平線までジャングルが広がっているのがよくわかる。

遠くに別のピラミッドが見えた。木々の間に埋もれている。

景色がいいので、登ってきた人たちはみんなここで休憩している。観光客は欧米人ばかりで、こんないい感じの遺跡なのに日本人にはマイナーなのが不思議。

ピラミッドの頂上には、こういう構造物があった。この中には入れない。

観光客たちをモデルに、ジャングルの写真を撮りまくり。

その中でも、特に面白かったのがこの人。

「味噌ラーメン」って、いったいどこでこんな服を買ったんだろう。「EAT JAPANESE BRAIN FOOD」なんて書いてあるが、しかしなんで「YUM! YUM!」って幼児言葉を使っているんだろうか。

まあ細かいことをいうつもりはないが、しかしこの服はラーメン以外も面白かった。この人は意味がわかって着ているんだろうか。

お互い、人生を楽しんでいきましょう。

頂上からの景色と観光客の面白い服を堪能した後、ピラミッドを下りることにした。しかし上から見下ろすと、下から見上げたとき以上に急勾配だと感じる。

本当に、転落した人はいないんだろうか。ここから落ちたら大怪我は必至。

もっとも、頂上にも柵などはなかったし、ここでは何が起きても自己責任。

注意しながら石段を下り、ピラミッドの全体像を眺めてみた。本当に、このピラミッドに直接登れるのが嬉しい。将来的に登頂禁止になってしまう可能性もなくはないと思うので、頂上からの眺めを楽しみたい人は早めに訪れてみて。

自転車を押しながら歩いていくと、ピラミッドが木々に隠れていった。

遺跡はピラミッドの先にも広がっているので、再び木々の間を自転車で疾走。

途中、地面にアリの行列ができていたので、自転車を停めて近くで見てみた。

いやあ、このアリはでかい。大きさは3センチくらいはありそう。見た目から考えて、かなりヤバいアリじゃないかと思う。うっかり触ったら大変なことになるかも。

遺跡の奥の方へ進むと、こんな風に石造りの遺跡があちこちに点在していた。どれもいい雰囲気。

崩れかけた石組もいい感じ。

観光客が入ることができる最奥部あたりまで来ると、ジャングルも濃くなってくる。

このあたりで引き返し、ゆっくりと遺跡入口の方へ戻る。途中、こういう石板がいくつかあった。マヤの予言か何かが刻まれているんだろうか。

ピラミッドを再度しっかりと見てから、レンタサイクル置き場まで戻ってきて自転車を返却。入口の方へ歩いていくと晴れ間が出てきた。

名残惜しいが、これで遺跡を出ることにした。私が遺跡内にいた時間は3時間ほど。

繰り返すが、チチェンイツァほどきれいに復元されていないので「ジャングルに埋もれた遺跡」を見たい人にはおすすめ。遺跡好きなら一度は訪れてみてほしいと思うが、なぜこの遺跡が日本のガイドブックに記載されていないのか不思議。

こういうカーペットを土産として持ち帰りたいという気持ちもあるが、かさばるので諦めた。

駐車場にあるこちらの塔からは、ジップラインができるようになっていた。体験はしなかったが、ちょうど観光客が川の向こうへ滑っていくのが見えた。

遺跡からゆっくりと歩いてバス乗り場方面へ。帰りのバスの出発時刻は3時半なので、それまで周辺を散策してみることにした。下の写真は、散策中に見かけた教会。

偏見かもしれないが、中南米にはこんな風に明るく開放的な教会が多いように思う。ヨーロッパの教会みたいに荘厳な雰囲気には乏しいが、これはこれでいい感じ。

行方不明の犬の捜索願い(多分)も貼られていた。無事に見つかるといいですね。

3時ごろ、バスが到着したので欧米人旅行者たちと一緒に車内に乗り込んで待機。ところが、本来の出発時刻は3時半だというのに、3時15分にバスが動き出した。予定より遅れることはあっても、早く出発するというのはさすがに聞いたことがない。この路線は1日1往復なので、3時半ぎりぎりに来ていたら困ったことになるところだった。危ない。

50分でトゥルムに到着し、ここでカンクン行きに乗り換え。チケットは178ペソで、なぜか往路よりも10ペソ安かったのが謎。

トゥルムでの待ち時間は30分ほどで、スムーズにカンクン行きに乗り継げた。すっかり暗くなった午後7時半、カンクンのバスターミナルに到着。


いったんホテルに戻り、夕食のため外出してパラパス広場へ。ここでの食事も、今回の旅行では最後になる。パラパス広場はいつも通りの賑わいぶり。

ミートボールのトマトソース煮込み、マカロニのスープ、トルティーヤで50ペソ。カンクン滞在中、食費を安く抑えたいときはパラパス広場のフードコートがおすすめ。

夕食後、広場周辺を散策。観光客向けの店ではなく、地元民向けの生活用品店に入ってみたところ、こういう皿があったので衝動買い。野菜の柄が気に入ってしまった。

特にメキシコ的なものではないが、こういうものは一期一会なので。今でも自宅で食事の際に使っている。

パラパス広場の露店でクレープを買い、遊園地周辺を散策してからホテルへ戻ることにした。途中、メキシコで一番多く見かけるコンビニエンスストア OXXO に立ち寄って翌日の朝食の買い込み。

夜10時半、ホテルに戻った。翌日はカンクン出発の日になる。


今回の旅行最終日は午前3時に起床。飛行機の時間が早いので、こんな時間に起きないといけない。

4時にチェックアウトし、フロントでタクシーを呼んでもらってホテルを出発。20分ほどで空港に到着した。タクシー料金は25ドル。

ユナイテッド航空のカウンターでチェックインし、メキシコを出国。予定では6時半だったが、1時間遅れでカンクンを離陸した。飛行機の窓から見た朝焼け。

8時半に乗継ぎ地のヒューストンに到着した。いったんアメリカに入国し、すぐに成田行きのゲートへ。アメリカでの乗継ぎは入国に時間がかかることが多く、特に今回はカンクンからの便が遅延になったため、搭乗が始まったころにゲートに到着した。本当に、アメリカで乗り継ぐときはいつもヒヤヒヤする。

10時半にヒューストンを出発。翌日午後3時に成田空港に到着した。日本に入国し、一時預かり所に預けておいたジャンパーを受け取ってリムジンバスで羽田空港へ移動。日本は寒い。

羽田空港で長崎行きのチェックインを行い、ラウンジで休憩。7時半に羽田空港を出発し、夜9時半に長崎空港に帰着した。


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