ジョージア旅行記(トビリシ~クタイシ)

ジョージア滞在2日目。この日はいったん首都トビリシを離れ、西部にあるクタイシという町へ移動することにしていた。アブハジアへ移動する途中に立ち寄る町だが、世界遺産から外されたというバグラティ大聖堂を見るのも楽しみ。


朝8時に起床。朝食後、ホテルの屋上に上がって景色を眺めてみた。4日後にトビリシに戻ってくるが、それまではこの景色は見納め。

いい感じにツタに覆われた建物があった。こうなるまで何年くらいかかったんだろう。

9時半過ぎにチェックアウト。ホテルの主人に「これからクタイシへ向かいます」と挨拶してから出発した。まずは歩いて5分ほどのところにある地下鉄のアヴラバリ(Avlabari)駅へ。

メトロカードに1ラリをチャージし、改札を通ってホームへ。料金は0.5ラリ。

旧ソ連地域では地下鉄駅はかなり深いところに作られているのが普通なので、この駅も長いエスカレーターで下りていくことになる。轟音を立てるエスカレーターに乗っていると、奈落の底に落ちていく気分。

旧ソ連地域では地下鉄駅の写真撮影は禁止されていることがほとんど。トビリシではどうなのかよくわからなかったので、こっそり控えめに撮ってみた。

ホームに入ってきた列車。この写真もこっそり撮ったもの。

さすがに列車内の写真は撮っていない。

この路線は途中から地上に出て、アヴラバリから15分ほどでディドゥベ(Didube)駅に到着した。

駅のすぐ近くにディドゥベ・バスターミナルがある。ジョージア各地への長距離バスが発着するターミナルで、地下鉄駅に併設されているので旅行者にも便利。

雑然としたターミナルでクタイシ行きのマルシュルートカを探していると、すぐに見つかった。アルファベットでも大きく表示されているので外国人にもわかりやすい。

トイレ(0.3ラリ)に行った後、マルシュルートカに乗り込んで待機。さすが主要路線だけあって乗客は次々と乗ってくる。5分ほどですぐに出発した。クタイシまでの料金は12ラリ。

出発直後、外国ではよく見かける運行中の給油があった。日本なら「運行前にやっとけよ」と思うところだが、外国ではバスが急にガソリンスタンドに入っていくのはよくあること。

給油後、マルシュルートカは西に向かって快調に走りだした。天気がいいので景色を眺めていると楽しい。丘の上に古い教会みたいな建物が見えるところがコーカサス地方らしいという気がする。

牛が放牧されていたりして、のどかな眺めが続く。

ただし、一見のどかに見える風景でも実は違うものもあったりする。下の写真では赤い屋根の建物が並んでいる地域を通過しているが、これは南オセチアから逃れてきた難民たちが住んでいる住宅地。遠くに見える山のあたりが南オセチアで、アブハジアと共にジョージアの実効支配が及んでいない地域になる。

いつか南オセチアにも行ってみたいものだが、はたしてその機会はあるだろうか。

難民の集落を過ぎると、地平線まで緑にあふれた風景が続く。

トビリシを出発して1時間45分、ちょうど昼12時に休憩があった。

トイレ(0.5ラリ)に行った後、土産物店などを散策。この地域は籐椅子が名産なんだろうか。

では、犬に別れの挨拶して出発。

休憩地点を過ぎると、次第に標高が上がってきた。川も急流になってきている。

標高が上がってきても、相変わらず景色は広々としていて牛も放牧されている。草花もきれい。

トビリシを出発して3時間20分、午後1時半過ぎにクタイシのバスターミナルに到着した。長い移動だったが、車窓風景がきれいなのでまったく疲れなかった。

それにしても、ジョージアは本当に景色がきれいな国だと思う。この車窓風景はぜひとも見てみてほしい。


クタイシのバスターミナルは郊外にあるので、ここから市街中心部へ移動しないといけない。近くにマクドナルドがあったので、昼食とフリー WiFi を使った情報収集を兼ねて入ってみることにした。

ダブルチーズバーガーセット(11.1ラリ)を注文し、クタイシの市内交通について調べたところ1番のマルシュルートカが中心部へ行くことがわかった。これで一安心。

マクドナルドを出て、バスターミナルのほうへ歩いていくとこういう店があった。もう激しく感動。

本家マクドナルドがすぐ近くにあるというのに、こんな素敵なロゴを使って大丈夫なんでしょうかね。シャワルマ(SHAWARMA)というのは中東地域で食べられているファーストフードで、このロゴは途中の “W” をデザインしているんだろうか。

マクドナルドに入る前にこの店を見つけていたらこちらに入ったんだが、さすがに今は満腹なので諦めた。しかし、こういう面白い店を見つけることができて満足。

こちらがクタイシのバスターミナル。

市街を走っているマルシュルートカはバスターミナル前の大通りから発着しているので、しばらく待っていると1番の車がやってきた。料金は0.5ラリ。

20分ほどで、旧市街にある噴水広場前に到着した。ここでマルシュルートカを下り、予約してあるホテル方面へ歩く。

噴水広場の隣は広々とした公園になっていて、歩いていると気分がいい。

公園を出ると、建物も重厚でいい感じ。

ただ、この壁画は何だろう。段ボール箱に入って寝ている子供みたいなんだが、どういう意味があるんだろうか。

ちょっと道がわかりにくくて迷ったりしたが、無事に予約していた Sanapiro ホテルに到着した。

こちらが宿泊した部屋。宿泊料金は94.5ラリで、写真からわかる通りかなり快適な部屋だった。

このホテルは川沿いにあるので、リバービューというのが売りになっている。外出する前に、しばらく川を眺めてみた。水はきれいというわけではないものの、開放感がある。

ホテルで少し休憩し、午後4時に外出。


旧市街を歩いていると、川の上をロープウェイが行き来しているのが見える。クタイシで見たいと思っていたバグラティ大聖堂は丘の上にあるので、あのロープウェイを使えば楽に行けそうな気がする。

そこで、まずはロープウェイ乗り場に行ってみることにした。

ロープウェイの料金は1ラリ。短い距離だが、川を上から眺めるのは楽しそう。

小さなゴンドラに乗って出発。ローカルな感じがすごくいいし、眺めもきれい。

5分ほどで終点に到着した。このロープウェイはクタイシでのアトラクションとしてかなりおすすめ。ぜひ乗ってみてほしい。

では早速バグラティ大聖堂へ向かおうかと思ったが、ロープウェイを下りたところが遊園地になっていたので少し歩いてみた。遊具は意外と本格的で、大きな観覧車やメリーゴーラウンドもある。

観覧車には後で乗ってみることにして、歩いてバグラティ大聖堂へ。静かな住宅地の中を歩くのも楽しい。

その途中、ベンツがブロック塀にぴったりと寄せて停められていた。よく見るとドアミラーが当たっているし、ブロック塀にも何かがぶつかったような跡がいくつもある。このあたりの人たちは車をこすることに対してあまり抵抗がないんだろうか。

やがて、バグラティ大聖堂が見えてきた。ここはかつては世界遺産に登録されている大聖堂だったが、現在は世界遺産リストから除外されている。なんでこんなことなったのかは後ほど。

では大聖堂の中へ。建物はかなり大きく、威圧感がある。

料金は必要ないが、寄付金ボックスに2ラリを入れてきた。大聖堂の内部の写真は撮っていないので、見たい人は直接訪れてほしい。

ここは丘の上にあるので、眺めもきれい。

大聖堂前の広場から見下ろしたクタイシの町並み。

いい感じで立っていた女性をモデルにして写真を撮ってみた。

広場には、あちこちに死んだように寝ている犬がいた。

カメラを地面に近づけて、草花と一緒に大聖堂を撮った写真。少しは芸術的な写真に見えるだろうか。

前述の通り、11世紀に建てられたという由緒ある大聖堂が現在は世界遺産から外されている。なぜそんなことになったのかというと、復元方法に問題があったから。

2010年に「世界遺産としての真正性と完全性を損ねかねない再建計画」を理由として「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されたが、工事は遂行されて2017年に世界遺産を抹消されてしまった。

大聖堂の裏に回ってみると、たしかに「この復元は問題あるよね」と納得できる。なんでこんな再建をやってしまったんだろう。

世界遺産を取り消されるのも仕方ないような大胆な復元に驚きながら、バグラティ大聖堂を後にした。復元を実行したほうにも言い分はあるのだろうが、それにしても不思議な気分。


市街地を歩いて遊園地に戻ってきた。せっかくなので、2ラリでチケットを買って観覧車に乗ってみることにする。

スタッフにチケットを渡したものの、「勝手に乗って」という感じで何のサポートもない。ずっとスマートフォンをいじっているので、こちらも勝手に乗り込んだ。

普通はスタッフが鎖をかけてくれるものだが、ここでは自分でやることになっているらしい。

というわけで、鎖をしないとこういうことになる。ゴンドラが実に開放的。

ゴンドラから足を出すと、こんな感じ。高所恐怖症の人にはつらいかも。

頂上付近まで上がってくると、クタイシの町並みが見渡せた。景色はきれいなので、開放的なゴンドラが怖くなければ観覧車に乗るのはおすすめ。

それにしても、今まで人が落ちたことはないんだろうか。こういう開放的な観覧車には沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリでも乗ったことがあるが、もしかしたら旧ソ連地域では一般的なのかもしれない。

約5分間の空中散歩を終え、地上に戻ってきた。スタッフは相変わらず客のほうを見てもいないが、ここでは何があっても自己責任ということなんだろう。

スリリングな観覧車を下りて、しばらく遊園地内を散策。人が少ないが、これはおそらく月曜日の昼だからだと思う。

ちょっと印象に残っているのがこれ。ベンチのレリーフがなんだか怖い。

これで遊園地の散策を終え、旧市街方面へ戻ることにした。観覧車の空中散歩がなかなか楽しいので、クタイシを訪れる際はこの遊園地はおすすめ。


帰りはロープウェイではなく階段を歩いて丘の麓へ。

のどかな川の流れを見ながら橋を渡って旧市街へ。

川の上はロープウェイが行き来している。観光客向けというより、おそらく丘の上の住宅地に住んでいる人たちの日常的な移動手段なんだろう。

旧市街には舗装されていない道路もあった。

観光客向けのエリアに入ると、一部が透明になっている橋があった。といっても、川面が近いので特に怖くはない。

橋の欄干に座っていたオブジェ。どういうキャラクターなんだろう。

散策の途中、GARDENIA という野外レストランで夕食にした。

注文したのはカズベギビール、マッシュルームスープ、ポークバーベキューの3品で、値段は23ラリ。普段は酒は飲まないが、旅行中はときどき地元のビールを飲んだりする。カズベギはロシアとの国境近くにある町で、旅行後半で訪れる予定。

上の写真に写っているポークバーベキューはかなりおいしかった。これには満足。

夕食後、スーパーマーケットに立ち寄ってパンと飲み物を買ってからホテルに戻った。翌日はいよいよ未承認国のアブハジア共和国に入ることになる。この日は夜0時半に就寝。