ジョージア旅行記(トビリシ)

ジョージア到着初日の午後は首都トビリシの旧市街を歩いてみた。今回の旅行は移動が多いので、トビリシを観光できるのはこの日の午後と5日後の午後だけ。慌ただしい旅行だが、見たい町がいくつもあるので仕方がない。この日はメテヒ教会とナリカラ城塞を中心に散策してきた。


ホテルを出る前に、屋上に続く階段があったので景色が見えるかもしれないと思って上ってみた。下の写真が今回の旅行で初めて見下ろしたトビリシの風景。ヨーロッパの旧市街は屋根の色がそろっているから統一感がきれい。

遠くの丘の上にナリカラ城塞が見える。城塞の上からこちらを見てもきれいそう。

しばらく景色を眺めてからホテルを出ることにした。その際にフロントで「近くの修道院からも景色が眺められる」と教えてくれたので、こちらに入ってみた。

修道院の庭にあったビューポイントからの眺め。屋根に邪魔されないのでロータリーの先にある旧市街がきれいに眺められる。ホテルで教えてくれなかったらここには入らなかったので、この点には感謝している。

修道院の庭には紫の花が咲いていた。日本の藤棚みたいな感じだが、何という名前の花だろう。わかる人がいたら教えてほしい。

しばらく景色を眺め、坂道を歩いてロータリーへ。ロータリーにはジョージアと EU の旗が交互に並んでいて、ジョージアが EU への加盟を熱望していることが伝わってくる。2020年の時点では加盟はできていないが、はたしてロシアの意向にめげずに実現できるだろうか。

あと、面白かったのがロータリー近くにあったこちらのオブジェ。なんだかジブリ映画に出てきそうな感じ。

近くにロープウェイ乗り場があるが、まずは旧市街のほうへ歩いてみることにした。ムトゥクヴァリ川に架かる橋を渡った先に旧市街の中心部がある。

旧市街の中心部にある広場の周りはレストランや土産物店が並ぶという典型的なツーリスト街になっていた。「I LOVE TBILISI」を見ながら何か食べようかとも思ったが、暗くなる前にあちこち見たかったので散策を続けることにした。

再び橋を渡ってメテヒ教会へ。メテヒとは「聖母」という意味だそうで、建てられたのは13世紀後半。川沿いに建っているので写真を撮る際の構図はなかなかいいのだが、この時は修復工事の足場が設置されていて、ちょっとタイミングが悪かった。

教会の前にある騎馬像はヴァフタング・ゴルガサリという5世紀の人物。

坂道を上がっていくとメテヒ教会への入口があった。古い教会だけあって、なかなか重厚な感じがいい。内部も見学できるが、写真は撮っていないので見たい人は直接訪問してほしい。

なお、ヴァフタング・ゴルガサリ像はメテヒ教会からだと横と後ろしか見えない。正面から見たい人は川に架かる橋から見上げましょう。

メテヒ教会を後にして、ロープウェイ乗り場へ。慌ただしい観光だが、時間がないので仕方ない。

乗り場には行列ができていたが、ロープウェイのゴンドラの定員が多いらしく、割とスムーズに進んでいく。料金は2.5ラリと書いてあるが、トビリシで使えるメトロカードが販売されていたのでこちらを購入した。トビリシの地下鉄やバスで使えるICカードで、今後の移動を考えたら入手しておくほうが便利になるはず。値段は購入料金の2ラリを含んで4.5ラリ(この2ラリはデポジットではなくカード代なので戻ってこない)。

ではロープウェイでナリカラ城塞がある丘の上へ。

出発直後の風景。旧市街が遠ざかっていく。

丘の上に到着すると、トビリシ市街が見渡せる。その写真は後で載せることにして、市街地と反対側の眺めはこんな感じ。森の中に遊歩道が作られているようで、ここを散策するのも楽しそう。今回は時間がないのが残念。

その景色を眺めるビューポイントで犬がのんきそうに寝ていた。外国ではよく見る風景。

反対側の眺めはこれくらいにして、こちらが市街地の眺め。トビリシがムトゥクヴァリ川の両側に広がった町ということがよくわかる。いい景色。

しばらく景色を楽しんだ後、城塞の他にどうしても見たいものがあったのでそちらへ歩いてみた。遠くに見えるのがそれ。

どうしても見たかったのは「ジョージアの母」と呼ばれている像。日本の旅行者の間では「実写版マグマ大使」などという愛称もあるそうだが、そもそも私はマグマ大使をテレビで見ていたような世代ではないので、似ているのかどうか判断できない。

右手に剣、左手にワインの杯を持っていて、これは敵と友に対する態度を示しているのだそう。怒らせないほうがいいタイプの人らしい。

高さは20メートルほどで、この大きさなら日本の大仏などはコンクリート像として製作するはずだが、この像の表面はアルミニウム製なので銀色に光っている。アルミニウムの巨像というのは世界でも珍しいのではないかと思うのだが、日本には存在するのだろうか。

今回ぜひ見たいと思っていた銀色の巨像に会うことができ、満足。

ジョージアの母の近くを歩ているときに小雨になり、ロープウェイ乗り場のほうへ歩いていくと遠くに虹が見えた。

虹はこの後で再び現れ、そのときのほうがきれいに見えたので写真はまた載せることにする。

続いてナリカラ城塞に入ってみることにしたが、入口は丘を少し下りたところにある。帰りはロープウェイではなく麓まで歩くことにして、坂道を下りていくとメテヒ教会が近くに見えるようになってくる。なお、右側の写真でドーム状の屋根になっている建物はハマム。コーカサス地方がトルコの影響を受けた地域ということがわかる。

こちらがナリカラ城塞の入口。料金は必要なく、自由に散策することができる。早速中へ。

城塞の中は、新しい教会が建っている他は城壁が残っているだけ。城壁はそれなりに復元されているようだが、すごいと思うのは立ち入り禁止の場所がどこにもないこと。城壁の上にも普通に登れるので、みんな上を歩いている。日本だったら間違いなく制限するところだが、ここでは自己責任ということなのだろう。

せっかくなので一番上に行ってみることにした。途中に崩れかけている場所があって、ここを上がったところが頂上。

一番上には十字架が立っていた。ここからの眺めは抜群。

ここの縁からは、先ほど犬がのんきそうに寝ていたビューポイントが見下ろせる。しかし今まで落ちた人はいないんだろうか。日本とは考え方が根本から異なる自己責任ぶりに感動した。

頂上から眺めたナリカラ城塞の全景。崩れた城壁の景色がいい感じ。

城壁の上を歩いていると、再び虹が現れた。今回の虹はきれいにアーチ状になっていて、こんな完全な形の虹を見たのはいつ以来だろう。ジョージア到着初日にきれいな虹を見ることができ、これは幸先がいいと思えた。(実際、アブハジアやカズベギに滞在してトビリシに戻ってくるまでスムーズに旅行できた。ただし旅行最終日にアクシデントが起きたが、それはまた後ほど)

城壁を下り、歩ていると周囲の人たちの笑い声が聞こえてきて、何かと思ったら変な人がいた。

片足立ちする前は城壁の上で倒立などをやっていて(その写真が撮れなかったのが残念)、いったいこの人は誰だったんだろう。地元のパフォーマーなのか旅行者なのかもわからなかった。世界には変わった人がいるものだ。

ナリカラ城塞を出て、丘の麓まで下りてくると川に沿って渓谷が伸びていた。こちらへ行ってみることにする。

途中の橋の欄干に、観光地でよく見る風景があった。こういうのは世界共通。

渓谷をさらに進んでいくと、滝が見えてきた。

こちらが一番奥にあった滝。マイナスイオンを浴びながら、しばらく休憩。

ここで引き返し、しばらく歩くと「I LOVE TBILISI」がある広場に戻ってきた。ここからは広場周辺を散策することにして、土産物店などを見ているうちに薄暗くなってきた。明るいうちに主な観光地を見ることができ、一安心。

夕食は、ちょうど客引きに声を掛けられたこともあって「タージマハル」というハラルレストランに入ってみた。ハラルなのにインドの観光地の名前になっているのが不思議。インドはイスラムと思っているのだろうか。

注文したのはスープとジャガイモの煮物とマトンビリヤニ。ボリュームの推測を誤って、一人では食べきれないくらいの量になった。これらの他にガーリックのパンもあって、8割ほど食べたところでギブアップ。飲み物としてソルトラッシーを頼み、値段は全部で56ラリ。

外国のレストランでは日本人が考える以上の量が出てくることがあって、それは経験からわかっているつもりなんだが、それでも失敗することがある。これはわかる人も多いはず。

夕食後、しばらく散策を続けてからホテルに戻ることにした。ナリカラ城塞がライトアップされていて、旧市街の夜景がきれい。

夜8時半にホテルに戻った。翌日はトビリシを離れてジョージア西部に移動することになる。この日は11時半に就寝。