近い国なのに、意外にも初めてのフィリピン旅行。わずか4日間の短期旅行だし、それに現地での送迎やダイビングもすべて手配してあるので気楽なもの。今回は思い切り楽しむことにしている。
昼1時前、福岡空港に到着した。日本を出国し、ラウンジで休憩。
搭乗時間が近づき、ラウンジを出るとフィリピン航空機が駐機していた。もちろん、この航空会社を利用するのは初めて。
ただ、マニラが雨らしいので少し心配。
午後3時に搭乗開始。3時半に離陸し、4時間ほどのフライトでマニラのニノイ・アキノ空港に到着した。着陸前に眺めたマニラ市街の高層ビル群。
今回はマニラは通過するだけだが、いつかちゃんと滞在してみたい。
夕方6時半ごろ、飛行機を出てターミナルへ。天候は小雨で、薄暗くなっていく駐機場を眺めてみた。
自分にとって51ヶ国目になるフィリピンに入国し、フィリピンペソを入手したところ1ペソは約2.1円だった。
ターミナルを出て、指定された場所でダイビングショップの送迎スタッフと合流。夏休みシーズンにはまだ早いので、今回は私一人だけ。送迎だけでなく、ダイビングも他に利用者がいないため貸切になるということだった。
午後7時過ぎ、空港を出発。マニラからアニラオまでは3時間ほどかかり、途中でコンビニみたいな店に立ち寄って夜食を購入してから高速道路を南へ。夜10時半に、宿泊するホテル Pacifico Azul Resort に到着した。
チェックインし、今回宿泊する部屋へ移動。かなり簡素な部屋だが、今回はダイビング目的の旅行なのでこれで十分。
器材を確認し、この日は0時半に就寝。
翌日は6時45分に起床。7時からの朝食を終え、1日目のダイビングに向かう前にホテル内を歩いてみた。前日は暗くなってから到着したのでよくわからなかったが、昼間に見ると敷地はかなり広い。前日の夕方とは一転して、この日は晴天。
ダイビングショップが併設されているホテル(というより、ほぼダイバーしか宿泊しないホテル)なので、敷地の多くをダイビング関連の施設が占めている。壁には大きく Pacific Blue Dive Center の文字。
朝8時、壊れかけのピックアップトラックに乗り込んでホテルを出発。10分ほどで桟橋に到着し、こちらのアウトリガー付きボートに乗り込む。
こういうボートに乗っていると、南国に来たという気分が盛り上がって楽しい。
やがて、最初のポイントに到着。
この日は午前中に2本、午後から2本のダイビング。以下、午前中の海中風景を紹介するが、その前にアニラオでのダイビングスタイルの特徴を簡単に説明すると、いわゆる「殿様ダイビング」になる。
これがどういうものかというと、スタッフが器材のセッティングからタンクの交換、さらにダイバーへの装着まで手取り足取りすべてやってくれるダイビングのこと。本来、ダイバーは全部の作業を自分で行う必要があり、そういう講習を受けてライセンスを取得する。
しかしながら、東南アジアのリゾートではスタッフが全部やってくれる通称「殿様ダイビング」が主流のところがある。実は自分にとっては初体験のスタイルで、体験してみると本当に楽。
ただし、前述の通り本当のダイバーは全部の作業を自分でできないといけないので、たまに体験するくらいがいいと思う。ここでのダイビングに慣れてしまったら、日本に帰ったときに自己管理がおろそかになるし、スタッフから注意されそう。
Kirbis Rock
では、スタッフにタンクを背負わせてもらい、1本目のポイントへ。潜行すると、岩場にたくさんの黄色い生き物が張り付いていることに驚く。
近寄ってみると、まるで虫のような見た目。後で聞いたところ、これは「キイロナマコ」という生き物だった。主に東南アジアなどに生息しているそうで、おそらく初めて見た。
この形状は、人によっては気持ち悪く感じるかも。
キイロナマコはこれくらいにして、こちらは模様が特徴的なモンガラカワハギ。
キイロナマコの群れをバックにしたツノダシのペア。ハタタテダイに似ているが、尾びれが黒いことが特徴。
岩の斜面をウツボが泳いでいた。
体をくねらせながら泳ぐウツボのアップ。ここも背景にはキイロナマコの群れ。
半透明の体がきれいなツノザヤウミウシ。
こちらはセグロリュウグウウミウシ。しかし横のキイロナマコが邪魔。
岩場に潜むウツボ。色が違うので、別の種類だと思う。
薄い青色がきれいなウミウシ。おそらくアンナウミウシだと思うものの、名前を聞くのを忘れたので種類がわかる人がいたら教えてほしい。
この粒々はクマノミの卵。
卵の写真を撮っていると、親が威嚇してきたので退散。
オウモンカエルアンコウ。日本の海では何度も見たことがあるが、フィリピンにもいるとは知らなかった。
上の写真だと魚に見えないかもしれないが、角度を変えると魚だとわかるはず。
ゆったりと泳ぐ姿がきれいなハナミノカサゴ。もちろん毒があるので触ってはいけない。
ガイドがサンゴの中を指差していたので、覗きこんでみると極小サイズのカニがいた。
これはアシビロサンゴヤドリガニ。よくこんな小さな生き物を見つけられるものだ。
斜めの2本ラインで体の色がきれいに分かれている魚。目の後ろにある黄色いラインもいい感じ。フタスジタマガシラという魚だそうで、おそらく初めて見た。魚の模様って本当にいろいろあって面白い。
こちらはダイバーにはおなじみのカクレクマノミ。激しく動き回るので、写真を撮るのは意外と大変。
これでアニラオ最初のダイビングが終了。
- 天候:晴
- 気温:30℃
- 水温:28.0℃
- 潜水時間:50分
- 最大深度:26.1m
- 平均深度:16.6m
- 透明度:20m
たくさんの生物を見ることができ、楽しかった。
Daryl Laut
ボートで休憩し、続いて2本目。しかしタンク交換をスタッフがやってくれるのは楽。
潜行すると、このポイントには漁礁みたいな構造物が沈められていた。
ここで最初に見たのはウコンハネガイ。表面に光を反射させる細胞があるため、ライトを当てると点滅するように光って見える。別名「イナズマガイ」。
動画だと、こんな感じ。キラキラがきれい。
続いて、ガイドがイソギンチャクの上にいた生物を見つけてくれた。
たしかハゼの幼魚だったと思うが、ちょっと憶えていない。正式な名前がわかる人がいたら教えてほしい。しかし、よくこんな小さな生き物が見つけられるものだ。
ところで、熱帯の海に潜っているのに何でこんな生き物のアップばかり撮っているのかと思われるかもしれない。実はアニラオは「マクロ天国」などと呼ばれることもあるくらい、小さな生き物の宝庫になっている。というわけで、今回のフィリピン旅行記はマクロ写真が中心になるので、そのつもりで見てほしい。
こちらはキカモヨウウミウシ。
2種類のヒラムシ。ウミウシと同じように、いろんな模様があって面白い。
海底にニチリンダテハゼがいた。
背びれが本当に日輪のように見える。この名前を付けた人はセンスがいい。
まるでウミシダが漂っているみたいだが、これはニシキフウライウオ。
こんな姿をしているのは、もちろんウミシダ類への擬態が目的。海の中って、本当にいろんな生き物がいるものだ。
マクロ写真撮影の途中、ガイドにカメラを渡して自分の姿を撮ってもらった。
漁礁の上をあちこち漂うのも楽しい。
ここから、マクロ写真の再開。ウミウシみたいだが、この生き物はコノハミドリガイ。
もちろん、このポイントにもクマノミがいた。
体中の白い斑点が面白いシモフリタナバタウオ。大きな目玉があるが、これは本当の目ではなく単なる模様。
では目はどこにあるのかというと、目玉模様の反対側。つまり目玉模様は尾びれ側に付いているわけで、魚の前後が逆に見える。これは外敵を混乱させるための仕掛けらしい。
頭を岩場の穴の中に突っ込んで尾びれ側だけを外に出していると、ちょうどハナビラウツボが顔を出しているように見える。こういう擬態で身を守っているらしいが、そんな方法をどうやって見つけたんだろう。生物の進化って面白い。
最後に見たのがミスジアオイロウミウシ。ガイドからは「アンナウミウシ」と言われたのだが、これはどう見てもミスジアオイロウミウシだと思う。
これで2本目が終了。
- 天候:晴
- 気温:30℃
- 水温:29.3℃
- 潜水時間:44分
- 最大深度:27.5m
- 平均深度:15.2m
- 透明度:20m
これで午前中のダイビングが終わり、昼食のためいったんホテルに戻ることにした。午後のダイビングについては、次のページで。